2019年11月15日(金)
詰め替え用のシャンプーを買おうとドラッグストアへ赴いた。
会計の際、クレジットカードを取り出そうとして、ふと、あることに気付く。
「うわ、カード割れてる」
「ほんとだ……」
クレジットカードの右上隅から見事に亀裂が入っている。
ほんのちょっとしたことで完全に折れてしまいそうだ。
「ええと、これで支払いできますか……?」
恐る恐る店員に尋ねると、
「わかりませんけど、やってみますね」
と答え、クレジットカードリーダーにカードを通してくれた。
試すこと幾数回、
「ダメみたいですね……」
だろうなあ。
磁気ストライプが断裂してしまっているもの。
「すみません、現金でお願いします」
「はい」
割れたクレジットカードを仕舞い、財布から現金を取り出す。
否。
取り出そうとした。
「やべ……」
財布の中に紙幣がない。
あからさまに足りない。
どうすべきか逡巡していたとき、うにゅほが、誕生日に贈った財布をバッグから取り出した。
そして、千円札を二枚トレイに置き、
「かいけい、おねがいします」
「はい」
と、つつがなく会計を終えた。
「ありがとう、ごめんな。まさか割れてるとは」
「びっくりした」
「使い過ぎでボロくなってたのには気付いてたけど……」
「げんきん、ちゃんといれないとだめだね」
「ほんとだな」
「でも、◯◯からもらったさいふつかえたから、まんぞく」
鼻息を荒らげたうにゅほが、得意げにそう言った。
「××、あんまりお金使わないからな」
「おかね、たまってる」
「もしものときのために、大事に取っておきましょう」
「◯◯、おかねつかいたいとき、いってね」
「だから、大事にしなさいってば」
「だいじにしてる……」
俺とうにゅほとでは、言葉の定義が違うのかもしれない。
購入したばかりのピュレグミを車内で食べながら、そんなことを思うのだった。
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