うにゅほとの生活3035
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うにゅほとの生活3035

2020-04-02 02:30

    2020年4月1日(水)

    「◯◯ー」
    「うん?」
    「エイプリルフール、ことしからなくなったんだって」
    「──…………」
    うにゅほが、いたずらっ子の笑みを浮かべている。
    嘘だ。
    顔色を窺うまでもないけれど。
    「そっか。じゃあ、今年からは嘘つけないな」
    「ざんねん」
    さて、どこで突っ込んでやろうか。
    そんなことを考えていると、
    「おかあさん、タルトかってきたって。たべる?」
    「──…………」
    なるほど、これが本命の嘘か。
    二段構えとは凝っている。
    「うん、食べる食べる」
    「もってくるね」
    恐らく、タルトに代わる何かはあるのだろう。
    うにゅほのことだから、"やっぱり何もありませんでした"とはならないはずだ。
    何が出てくるか予想しながら待っていると、
    「はーい」
    うにゅほが自室へと戻ってきた。
    その手には、タルトがあった。
    「──…………」
    意想外の結末に、思わず沈黙する。
    「××、タルト……」
    「タルトだよ?」
    「タルトだな」
    何度見てもタルトである。
    「タルト買ってきたっていうのが嘘だと思ってた」
    「エイプリルフール、なくなったもん」
    なるほど。
    二段構えの嘘ではなく、嘘を補強するための言動だったのか。
    「腕を上げたな」
    「うへー」
    うにゅほの笑みを見ていて、ふと思いついたことがあった。
    「唐突ですが、問題です」
    「ててん」
    「"私がエイプリルフールに発する言葉はすべて嘘だ"と言う人がいる。さて、彼の言葉は嘘か本当か」
    「……うーん?」
    うにゅほが首をかしげる。
    「なんかへん……?」
    「自己言及のパラドクスってやつだな。嘘でも本当でも矛盾が起きるんだ」
    「へえー」
    うんうんと頷く。
    「ちょっとおもしろい」
    「だろ」
    今年のエイプリルフールは、俺がひとりで自爆してしまった。
    来年は頑張ろう。




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    小説家になろうで異世界小説始めました


    異世界は選択の連続である ~自称村人A、選択肢の力でヒーローを目指す~
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