前日に続き同じ依頼者から頼まれていたので、夜から渋谷でフランス料理店に行くことになっていた。昨日だいぶ食べ過ぎてしまったのでちょっとお腹の調子が悪い。あの食事以降だいたいちょうど24時間、何も食べないでそのまま行くつもりだ。
その前に、渋谷での待ち合わせだったので久しぶりに街の掃除をしていくことにした。
アウターさん主導による渋谷掃除はここ最近していないが、掃除用具の貸し出しは渋谷駅の地下にあるロッカーからいつでも持っていけるので単独でもできる。
レンタルニート看板を背中に提げて宣伝しながら1人でのゴミ拾い活動を行った。
ボランティア活動よりはどうせならニー株で清掃の仕事を受け付けるとかしたい。だが、宣伝活動の一環であると考えると1人だけでも割と意欲的に取り組めた。
1人でならほかのみんなとペースを合わせなくて済むのがよい。どの程度細かく街を回るか、どの程度丁寧に掃除をするかを自由にやることができる。これならレンタルニート宣伝のために思いついたときに1人でゴミ拾いやるのもいいな。
ここ数か月やってなかったが、夏場になったこともあり以前よりも飲み物のゴミが多かった。
1人でやったにしては結構たくさんのゴミを回収できたものだ。
集積所の美竹公園トイレ裏でゴミ袋の口を縛ったりしていると蚊が寄ってきて結構刺された。蚊に刺されながらもしっかりボランティア活動する俺ってば偉い。
午後6時半ごろにセルリアンタワーで待ち合わせをして、現地のフランス料理店まで歩いて行った。
着いてみると場所はいつも渋谷掃除のときに通っている通路わきのお店であり、さっきの単独掃除でも横を通ったばかりだ。
前日の尾山台のところに続きなかなか自分の金では来る機会がなさそうな高級な雰囲気のお店だ。
すぐ隣の席に若い男女が来ていた。男の方は俺と同じくらいの歳だろうか。
まぁいい歳した大人なら普通女の人をこういう雰囲気のいいお店に食事デートに誘ったりするもんだよな。互いに敬語で話し合う間柄みたいだけど、どの程度の仲なんだろうか。やっぱり全額男のおごりなのかな?
など、そんなことが気になった。
さて、今日もまた結構たくさん食べる必要がありそうだ。
依頼主はさすがの食通なのか、今日もまた昼間には別のお店で食事をしていたらしく、あまりたくさんは入らないから大皿の料理を俺の方にたくさん食べて欲しいとのこと。
肉と一緒に煮込んだ豆料理の「カスレ」。
鶏肉がホロホロに柔らかくなっていておいしい。いろんなスパイスのような香りもする。
アルザス地方というところの郷土料理「シュークルート」。
発酵させた酸っぱいキャベツと一緒にこれまた豚肉やら鶏肉やらソーセージを一緒に煮込んだもの。フランスで食べられる伝統的な家庭料理にはそういった煮込み料理が多いそうな。
日本流とは粉が違うらしい本格的なバゲットなんかも付属したけど、
これら料理のボリュームがなかなか大きかったので大して食べられず。
2日連続の大食いで胃にかなりダメージが来ている。
最後はオススメされるがまま再びデザートをアイスとクリームブリュレの2つもたのんでしまった。もう胃の容量がいっぱいで、なんとかギリギリ入ったぐらいだ。
やばい、昨日と同じでもう胃が痛い。気持ち悪くなってきた。
食べ終わり店の外に出たところで俺は動けなくなってしまった。
腹が重すぎるし、無茶して動くのは危険だ。
休憩してから移動するしかない。
レンタルは終了して先に帰ってもらおうかと思ってたのだが・・・
植込みの石段に座ってうつむくやばそうな俺の姿を見て、依頼主が液状タイプの胃腸薬を買ってきてくれたのでそれを飲み干した。
しかし、もう完全に吐き気がきていたので飲み終わった少し後に限界が来てついに吐いてしまった。
おいしいものを食べさせてもらっておいて依頼主の目の前で吐くわけにいくか!と気を張って我慢したつもりだがダメだった。
さっき掃除したばかりの渋谷の街の汚れを最小限に抑えたいという気持ちもあったので、とっさの判断で道路わきの排水溝に駆け寄って吐いた。
ついにやってしまったという脱力感。本当にごめんなさい・・・
レンタル料は清算して先に帰ってもらうつもりだったが、そのまま帰るのもたいへんそうだからと、なんと宿を取ってくれるという。
タクシーに乗りそのまま近くのビジネスホテルへ移送された。
正直、余計な出費になるしそこまでの施しをしてもらうわけにはいかないと思ったが、放置した結果容体が急変して救急車を呼ぶことになってもまずいということだったので。
そんなわけで急遽渋谷に泊まることになった。
タクシーで俺を送り届けた後はそのまま自分の取っていたホテルに移動するとのことだったので、深くお礼を言うと依頼主は道路で待たせていたタクシーに戻るため急いで行ってしまった。
本当にありがとうございました。