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ある日の出来事(小説)
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ある日の出来事(小説)

2015-09-21 00:40
    電話の音で目が覚めた。さちよは、受話器を取った。
    「生まれたよ」
     浩が言った。
     そうか。よかった……。
     さちよにとっての、初孫が誕生した。
     さちよは、いつも夜9時には布団に入る。この日も、いつもどおり、9時には布団に入っていた。
     電話が鳴ったのは、深夜1時すぎだった。
     電話の音で目を覚ましたさちよは、直前まで夢を見ていた。
     予定日まで、あと1週間あった。なので、さちよはその日も、ふだんどおり9時前には床についていたのだ。
    「そうかね。おめでとう」
    「……」
     浩の声が聞こえてこない。
    「もしもし?」
     さちよは、いやな予感がした。
    「う、生まれたんだが……頭がなかった」
     さちよは、意味がわからず、「頭がなかった?」と訊ね返した。
     浩はそれには答えず、「一度、帰るから。そのとき詳しく話すよ」とだけ答えた。
    「そうかね。じゃあ、気を付けて」
     さちよは電話をきった。

     浩が帰ってきた。
     浩が抱いている赤ん坊のおくるみをとると、電話越しにきいたとおり、首から上の部分がなかった。あるはずの頭部がついてない。口、鼻もないが、赤ん坊はすやすや眠っているかのような動きをしている。さちよは、(これならだいじょうぶかな)と、ほっと胸をなでおろした。電話越しではうろたえてたようすの浩も、そんなさちよの反応をみて、落ち着きをとりもどしたようだ。
    「名前、どうする?」
    「もしかしたら、自分で自分の名前を言えない、書けない子になるかもしれんが、元気な子に育ってほしいから、……これでどうだろう」
    浩は1枚のメモを差し出した。
    「親はあんたなのだから、あなたが決めた名前で、私はいいと思うよ」


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    小説教室に通っていた時に書いた作品です。
    (まだつづきがあるようにみえるけど、これで終わり!?)と思われた方もいるかもしれません。私自身、(これで終わりでいいや!)と思って提出したのですが、時間が経ってから見てみると、(これじゃあまだ終わってないな……)と思ってしまいました。が、つづきがまだ思い浮かばないので、この作品はこれでひとまず終了、ということにします。

    ちなみに、顔のない子が大人になった時のことを描いた作品は、頭の中に構想があります。
    その話も、機会を見つけて書いていきたいと思っています。
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