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夢の中で人助けをする主婦(小説)
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夢の中で人助けをする主婦(小説)

2015-09-29 23:12
    おはよう。私、羽田奈緒子。26才。主婦をやってます。
     旦那はトラック運転手。毎朝5時起きで、お弁当を作った後は、皿洗い、風呂洗い、洗濯、掃除……、気づいたら9時。家事をやってくたびれるからすぐまた眠るの。
      長距離運転手の旦那は、1回家を出ると、1週間以上帰ってこないことが多いから、私はその間、自由に時間がつかえるわけ。主婦仲間からは、旦那さんが家を あけてばかりで寂しくない? なんてきかれるんだけど、私、いったん眠りにつくと約30時間も目が覚めないこともザラだし、こういう生活がかえってちょう どいいみたい。
     1日の睡眠時間は6~8時間が平均て言われるわよね。私も、独身時代はそのくらいだったの。
     だけど……
     結婚 するまで実家暮らしだったせいかしら。家事をほとんどしないまま結婚したから、最初は主婦のしごとがなかなかキツくて。だからかな、睡眠時間が24時間を 超えるようになったの。気づいたら日にちが変わってるの。そりゃ、もちろんびっくりしたわよ。まさか自分がこんなに長時間、眠りっぱなしだとは思わないし ね。眠ってる間は夢なんてみないから真っ暗で、しかも起きるまで時間の感覚なんてないし。
     だけど、ある日をきっかけに妙にリアルな夢をみるようになったの。いつだったかしら……たしか、雨が降っていたわ。傘をさしても防げないくらいの横殴りの雨で、近所の八百屋さんへ買い物に行くとちゅうだった。信号機のすぐ下に猫がいたの。ダンボール箱の中に。
      生後3ケ月くらいの猫かしら。雨に降られて寒そうだし、食べ物もなくてひもじそうだったけど、うちでは飼えない。でもかわいそうだからせめて雨宿りだけで もさせようと思って、30メートルくらい離れた屋根付き駐車場までダンボール箱ごと運んでみた。僕を拾ってよ、と言いたげな目でミャアミャア泣いていたけ ど振り切って帰ってきたわ。
     旦那がいないときは1日1食でまにあうから、この日も買物から帰った後そのまま眠ってたの。そうしたら……夢に見知らぬ人が出てきてね。
    「すみません、この辺で小さな猫を見ませんでしたか?」
     気がつくと、さっき買物をしたはずの八百屋の前に私はいたの。知らない人から質問され、もしかしてと思い、雨宿りさせた猫のことを話してみた。
    すると「ありがとうございます。見てきます」
    と言って、その人は八百屋から100メートルほどの駐車場まで走っていったわ。私は仔猫のようすが気になっていたので歩いてついていった。
    「おぉ、コロちゃん。ようやく見つけた」
     その人は私を見て、
    「う ちで飼い始めた猫だったのですが、1週間くらい前に突然いなくなってしまったんです。きっと誰かがダンボールを用意してくれたんだ。あなたがいなかった ら、他の人に拾われて、うちに戻ってこなかったかもしれなかった。コロちゃんは僕にとって家族同然だから、また一緒にいられるようになってうれしい」
     その人はポケットからなにかを取り出して私に差し出した。
    「これはお礼です。ケータイとか、ポーチに付けられますのでよかったら使ってください」
    という声をききながら目が覚めた。布団の中で横たわってる私。手には何かが握られている。あれ、もしかして?
     握った手をほどいてみると、猫のストラップが出てきた。
     あれ? 私、寝るときは何も握ってなかったはずなのに……。
     飛び起きて服を着替えて、きのう猫を移動させた場所まで走っていった。ダンボール箱は、なかった。猫も、いない。
     夢? 現実? どちらがどうかわからないが、夢でしか見てないはずの贈り物がこうして手の中から出てきたのが不思議でしかたがない。喜んでくれたからいいけど、こんなふしぎなこともあるのね、と、私はカラッと笑って小石を蹴った。
     この日以来、3回に1回は何かしら人に関わる夢を見るのよね。だんだん慣れてくるとまほうも使えるようになってこの夢を見るのがたのしみになったんだけど、もう眠くなっちゃったからづつきはまた今度話すわね。
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