【小話】砂の雨
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【小話】砂の雨

2013-07-24 14:18
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「今日は雨が降るから、傘を持っていきなさい」
 お母さんの声を聞いて、私はお気に入りの赤い傘を持つ。外
に向かって開くと、視界が真っ赤に染まった。
「血の色だ……」
 私は、お母さんに聞こえないように呟いた。


 この世界に降る雨は、砂だった。昔は水が降っていたようだ
が、今は水の雨なんて滅多に降らない。降るのは、砂の雨。だ
から、砂の雨が降る日は、滅多に人は外に出ない。
 私は、そんな雨の日に外に出るのが好きだった。
「珍しいな……」
 そう言ったのは、雨の日にしか会えない、黄色い人。服から
髪から黄色一色で、まるで、この世界そのもののような人。で
も、肌の色は真っ白だ。
「そう?」
「あぁ、雨の日が好きなんて人、ほとんどいない」
「だって、この世界はいつか、砂に埋もれてしまうんでしょ?
 だったら、好きになっちゃった方が楽じゃない?」
 私の“楽”って言葉に何を感じたかは分からない。でも、黄
色の人は、ほんのちょっとだけ寂しそうに笑った。
「砂の世界は綺麗だ。汚いものを全て覆い隠す」
「人間は汚いものなの?」
「人間は綺麗だよ、だから、この世界にいる」
 でも、そんな人間も、砂は隠してしまうんだな、と、黄色い
人は呟いた。


 今日も砂の雨は降る。ゆっくりと静かに。でも、確実に、世
界を覆い隠していく。私もいつか、この砂に埋もれて眠るのだ
と分かっている。
 その時は、この赤い傘を隣に置いておこう。


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【さらにしょうもないあとがき】
 とある方のボカロ曲を聞いて、思いつくまま書いてみました。もっとイラストの雰囲気とかも入れたかったのですが、ボキャブラリーがないので(;´Д`)
 ある意味、そのまんまなのかもしれませんがwww
 そのボカロ曲を呟いた後、とある方から、黄色い雨=黄砂?という返信がツイッターできたのですが・・・ なんだろう、黄砂ってよりは、普通に“砂”なんですよね。黄砂って言葉のイメージが悪いんだろうか?

 つくづく思うんですが、ボクはどうも“死”に繋がる小話を書くのが好きみたいです。ネガ思考の表れでしょうか?www

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直木賞狙ってるんですね がんばってくださいw
87ヶ月前
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ひょっとして拙作をモチーフに書いてくださったんですねw
ありがとうございます
荒廃した世界観が素敵です。SFな画面が浮かびますw
歌詞の中の、砂の雨とか黄色い雨とか、あの辺は比喩ですので、受け取られる方々が自由に妄想して頂ければ…と思っておりますので、こういった反応はバッチコイです!嬉しいです。

87ヶ月前
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