○女子更衣室
着物姿で刀を腰に帯びている破れかぶれ玉三郎(中年)が高校の女子更衣室に現れる。
周りでは女子高生が着替えている。
玉三郎「ぬぅあああああああ!おなごおおおおお」
女子更衣室の窓から飛び出す玉三郎。
女子高生「うわっ、びっくりした・・・。って何あれ」
女子高生「覗き?・・・でもどこから出て来たの?」
○中庭
窓から出て来た玉三郎と窓の下を歩いている冴内陽一(17)がぶつかる。
冴内「いてて・・・。おじさんコスプレ? すごい格好だな・・」
玉三郎「ご堪忍を!ご堪忍をおおおお!」
走り去る玉三郎。足元に昔のメモ(帳面?)が落ちている。走っていく玉三郎。拾ってメモを開く冴内。
○焼却炉前
走ってきて焼却炉に隠れる玉三郎。
○焼却炉の中
燃えカスが詰まっている。その上に座り込む玉三郎。
玉三郎「なぜだか思い出せない・・・こ・・・ここは・・・名前も思い出せない・・・こ・・これは・・・なんという香ばしき匂い・・・」
○焼却炉前
冴内がメモを手に歩いて来る。
冴内「拙者は風、キミの心に流れる桃色の風」
× × ×
焼却炉の中の玉三郎。
玉三郎の声「はて・・・この詩は・・・しかしなんだ・・・この懐かしくも・・・優しい感じは・・・」
× × ×
玉三郎が焼却炉の中から出て来る。
冴内「おじさんこの詩感動したよ!おじさん名前は?」
玉三郎「・・・」
冴内「おじさん名前思い出せないの?・・・じゃ僕がつけてあげるよ」
冴内は周りを見渡した。焼却炉のゴミ置き場の向こうにスナック・破れかぶれの看板が見える。
メモを見る冴内。メモの隅に玉三郎の文字。
冴内「メモには玉三郎、前に破れかぶれ・・・決めたよおじさんの名前!破れかぶれ玉三郎!」
玉三郎「おお!なんだが知らんがどこぞの剣豪を匂わせる響き!気に入った!お主、名前はなんと申す?」
冴「・・・実は僕・・・自分の名前・・・あまり好きじゃないんだ・・・」
玉三郎「名前があるだけマシじゃわい」
冴内「あ、えっと・・・冴内・・・です・・・」
玉三郎「拙者はどういうワケだか何も思い出せんからの。がーはっはっはっは!」
玉三郎の腹が鳴る。
玉三郎「拙者、腹がへったでござる」
冴「玉三郎おもしろいね!良かったら家に来なよ!」
○冴内家・陽一の部屋
冴内と履物を手にした玉三郎が居る。
冴内の母「陽ちゃん~おやつよー」
冴内「とりあえず押入れに隠れてて」
押入れを開ける冴内。
○冴内家・リビング
冴内の母と冴内がいる。
テーブルの上にカステラの乗った皿。
カステラを取って部屋を出ようとするる冴内。
冴内の母「陽ちゃん、どうしたの?慌てて」
冴内「今日は部屋で食べるね!」
○陽一の部屋
カステラを食べている玉三郎。
玉三郎「これはカステイラと申すか!なんと現し世のものとは思えんうまさでござるな!」
皿の上にカステラが一切れ残っている。
冴内「食べなよ」
皿を玉三郎の前にやる冴内。
玉三郎「かたじけない。・・・カステラよ、あわい甘味の、黄色箱」
メモを取り出し読む冴内。
冴内「華に風・・・星には夜を・・・姫には愛を・・・拙者には夢を・・・」
× × ×
ぼやけた景色の中に姫らしき格好の女性が見える。
× × ×
冴内「まだ思い出さない・・・?」
頭を押さえる玉三郎。
玉三郎「拙者・・・今何か・・・」
冴内「もう一度あの場所に行けば何か思い出すかも。でも勝手に入れないし・・・とりあえずしばらくは家にいなよ!食事なら心配いらないから」
玉三郎「しかし・・拙者穀潰しにはなりたくないでござる。働きたいでござる!拙者働きたいでござるよ!」
冴内「でも記憶もないのにどうするの?とりあえずここで何か思い出すまでここに居いなよ!」
玉三郎「・・・この恩はいつか必ず」
冴内のナレーション「この出会いから僕らの不思議な学生生活がはじまったんだ・・・」
○他に書く予定だったもの
翌日 仕事探しで偶然校長を助ける
玉三郎「拙者、このお尻のほくろが特徴でござる」
陽一「それ僕にもある!」
まさかの先祖フラグ
陽一のクラスの女の子が玉三郎の憧れている姫に似ている
警察「すいませ~ん、ちょっと質問させてもらっていいかな?」刀の職質