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「マリファナ銘柄に投資するべきか?」ビタリー・カツェネルソン
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「マリファナ銘柄に投資するべきか?」ビタリー・カツェネルソン

2019-08-28 14:15
    マリファナ銘柄で儲かるか? 米国のバリュー投資家、カツェネルソン氏の短いメモを翻訳しました。
    その他の情報は最後に置きました。
    (ちなみに、私自身はマリファナを摂取したことはなく、マリファナ解禁に特に賛成しているわけでもありません。この記事を面白い投資読み物と思い、翻訳しました。)
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    マリファナ銘柄に投資するべきか?
    What do you think about investing in marijuana stocks?

    ビタリー・カツェネルソン

    by Vitaliy N. Katsenelson

    原文1 原文2


    質問:マリファナ銘柄投資についてどう思う?


    ぼくの会社〔カツェネルソン氏の運営するファンド〕はマリファナ産業を最前列で眺めている。コロラド州はマリファナを最初に合法化した州の一つだからね。

    マリファナ銘柄への投資で儲けるのはすごく難しいと思う。酩酊性のあるTHC (テトラヒドロカンナビノール)の含有率が高い大麻草はマリファナ、含有率の低いのはヘンプ(麻)と呼ばれてるけど、そのどちらも。

    企業は躍起になって栽培者の確保に走るだろうか? いや、それはない。マリファナが「草」とか「葉っぱ」と呼ばれるのには理由がある――草だからだ。パセリ栽培が一番上手で一番儲かってる企業、とか思いつかないでしょ。バジルとか、コリアンダーもそう。なんでかっていうと、ありふれた作物(コモディティ)だから。厳しく規制された狭い区域でしか栽培できないあいだは、一時的にはものすごい利益が出る。でも、そういう規制の歪みから生まれる超過利潤は、マリファナが広く合法化されてゾーニングが緩和されたら、資本主義の仕組みによって猛烈な勢いで絞り尽くされてしまう。大麻栽培そのもので他人に差をつけたり、競争力を維持したりということはできないのだ。

    医療目的で使われる、という期待もある。なんだか話を聞いてると、カンナビジオール(CBD、大麻の成分の一つ)を三度の食事に取り入れたくなってくる。でも、そこで何が勝者と敗者を分けるのかというのは、すごく予測しにくい。いま、上場されているマリファナ関連企業は少ないけれど、ITバブルみたいな天文学的な株価になっている。でも、マリファナまたはヘンプからの抽出物に本当に医療的な効果があるのなら、最終的に儲かるのは製薬会社だ。臨床試験をして、販売活動(マーケティング)を繰り広げ、そして薬を消費者へと届ける。それをできるのは製薬会社だから。ここに関しては、ちょうど90年代のITバブルのようなものだ。ほんの数社が成功するけど、いったいどの会社が成功するかというのは、後知恵でしか分からない。ほとんどの会社は、成層圏を突き抜けた株価が仇となり、それを買った投資家とともに墜落することになる。

    マリファナは最終的には、ブランド化された嗜好品になる。大企業や投資家の出番となるのはこの段階だ。嗜好品としてのマリファナの販売活動(マーケティング)というのは、タバコのそれと大して変わらない。高収益のマリファナ栽培企業とか、ヘンプ栽培企業はありえないと言ったけれども、それはタバコも一緒。タバコもありふれた作物(コモディティ)だ。ではなぜタバコが儲かるのかといえば、ブランドとしてのタバコ会社があるからだ。

    マリファナを合法化した州は税収が増加するとともに、マリファナがまだ非合法の州があるおかげで、「旅行者」の流入で多少の潤いを得ている。いま、嗜好品としてのマリファナが合法になったのは10州で、医療目的の使用は23州で合法だ。医療目的の使用の合法化というのは、通例では、完全な合法化への最初の小さな一歩。ほんの数年後には、3分の2以上の州でマリファナは合法になるだろう。

    マリファナが合法化された州が増えるほど、水門の隙間はこじ開けられ、そしてある日、ダムが決壊することになる。こっちの州でもあっちの州でも合法なのに、連邦〔全米〕レベルでは違法。その馬鹿馬鹿しさに気付く人が増える。一例としては、こういうことがある。ネバダ州でもカリフォルニア州でも、嗜好品としてのマリファナは合法だ。この二つの州は隣接している。でも、ネバダ州からカリフォルニア州にマリファナを持ち込むのは違法。州際通商は連邦政府の管轄だからだ。こんなのは馬鹿げている。
    〔訳注 アメリカ合衆国は州ごとに法律(州法)が大きく異なる。連邦法は全州が従う法律

    連邦政府はマリファナを合法するか?という問題ではもうない。全国的な合法化はいつか?というのが焦点だ。で、全国的なマリファナブランドの構築が可能になるのはそのあと。――ここでようやく、大きなお金が動くことになる。主役に躍り出るのは誰か。いちばん準備ができているのはタバコ会社だ。「草」を育てて売ること(というか、少なくとも栽培業者との付き合い)のノウハウがあるし、製造も販売も得意。そして、溜めに溜め込んだ巨額の資本の使い道にウズウズしている。

    マリファナはタバコ会社の延命薬になるかもしれない。なにしろ、米国でもヨーロッパでも、タバコはますます社会に受け入れられなくなり、嫌煙熱は高まりっぱなし。中核事業たるタバコビジネスは、コップの中の氷みたいに溶け続けているのだから。


    〔おわり〕


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    【訳者より】
    米国のバリュー投資家、カツェネルソン氏の短いメモ。マリファナ銘柄を買ったら儲かりますか?という、顧客からの質問に答える体で書かれています。
    いつもながら、読みやすく分かりやすいカツェネルソン節ですね。日本にはまだマリファナに特化した上場企業はない(というか、未上場も含めてほとんどない?)ので、ちょっと実感しにくいところもありますが、米国ではすでに大麻関連製品に特化した上場企業が数社あり、マリファナ規制緩和のニュースや噂があるたびに激しく株価を変動させています。
    カツェネルソン氏はそういった銘柄への投資は勧めず、結論的には、タバコ会社が有望だろうという意見ですね。製薬会社も有望だけれども選択が難しい、と。
    ただし、時期に関しては、まだバリュー投資家の動ける段階ではないとの姿勢。大企業のマリファナ事業が本格化するのは、あくまで全米でのマリファナ解禁がなされてからだと言っています。


    カツェネルソン氏の過去の執筆記事
     「Q. 孫正義が WeWork に出資したのは大丈夫? A. 大丈夫じゃなくても心配ない」(2019年)
     中央銀行の危ない実験 株や債券の投資家たちがそのツケを払うときがきた(2018年)
     インターネットはもっと賢くなる――孫正義の11兆円投資計画の素晴らしさ〔2017年〕


    翻訳許可を下さったカツェネルソン氏に感謝いたします。

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    ビタリー・N・カツェネルソン Vitaliy N. Katsenelson Wikipedia

    ロシア出身。米コロラド大学および同大学院金融学科卒。CFA〔公認財務アナリスト〕。自身の投資情報ブログとして「コントラリアン・エッジ」。コロラド州デンヴァー市の投資ファンド「インベストメント・マネジメント・アソシエイツ社」の最高投資責任者。著書『Active Value Investing』〔邦訳『バリュー株トレーディング レンジ相場で勝つ』パンローリング社〕、『横ばい相場の攻略本 The Little Book of Sideways Markets』。著書は8ヶ国語への翻訳あり。フォーブス誌にて「ベンジャミン・グレアムの再来」と評される。

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