2015年 七夕に添えて
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2015年 七夕に添えて

2015-07-07 23:26

     七夕という時期はとっても悲劇的だなあと毎年思う。一年に一度織姫と彦星が出会うというストーリーがあるのは有名だけれど、一体どういう理由で一年に一度しか会えないのか、それに加えて二人がどういういきさつで恋仲であるというのか、知らないでいる。付け加えると日本では大概梅雨の季節で、晴れ空が期待できないではないか。曇ったり、雨が降れば彼らが逢えないように感じるのは人間の勝手であることは承知なのだけれど、一年に一度も逢えないでいる恋人を想像してしまう人間の想像力ってものは残酷だ。
    大好きな人の訃報を聞いて五ヶ月が経過して、彼女の迎えるべきであった誕生日から三ヶ月が経過する。私が恋して、愛した人にはもう二度と逢えない事実がある。それがどうにも納得できずにいて、今生でこれほどに苦しい出来事が存在するのかと思うほどに七転八倒したというのに、今は何の痛みも苦しみも無い。
    本当は何かの痛みを感じていて、その痛みを感じる受容体のような物が壊れてしまっているだけだと好意的に理解されるのは困る。彼女の事を引きずる様子もなければ、明らかに過去の出来事として処理しているのだ。それも、死人に口無しといった風で自分の都合の良いように解釈して処理してしまっている。七夕への夢想の中で、残酷な物語を想像している市井の人々をどれほど批判できる事だろう。自分の身の上に起こった事を、苦しみや痛みが無いものとして袋に包んで、ゴミ箱のようなところに閉じ込めてしまえるのだ。
    こうやって考えると、私が善人であるとは思えない。けれど、あまり良く知られていない人には善い人だと思われたり、そう評されたりする。評価と実際の自身が大きく乖離していく事は、とても悲しい。それは、七夕というストーリーに登場する織姫と彦星のように引き裂かれてしまった二人への悲しさと残酷さを併せ持っているような気がする。



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