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自作SS「ユリ」 (転生もの)
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自作SS「ユリ」 (転生もの)

2021-05-17 22:05

    「此度の生、本当にお疲れ様でした。
    「残念ながら、寿命までは生きられませんでしたが
    「どうかお気を落とさずに。


    目の前に座る女性が語りかけてくる。
    ひらひらとした白い衣服をまとい
    その周りには、風もないのにストールらしきものがたなびいている。
    羽衣…というのだろうか。


    「ここは転生の間。
    「何かしらの理由で生を全うできなかった方を
    「私が次の生へと導く間となります。


    ユリのような芳香が立ち込めるこの空間は
    何処までも暗闇が続いているが、不思議と恐怖感は無い。
    自分と目の前の女性がいる付近の床だけぼんやりと光り
    どこか安らぎを覚えるほどだ。
    ユリは、好きな花だ。
    その好きな香りが、そう感じさせるのだろうか。


    「俺は、死んだん…でしょうか?」


    とりあえず質問する。
    本当は確認を取るまでもなかった。
    最後の光景は… まだ、しっかり焼き付いている。


    「はい。残念ながら…


    おそらく神的な存在なんだろう。
    彼女の、人とは思えない美しさが
    今この瞬間を現実だと自覚させる。
    …既に死んではいるのだが。


    「そう、ですよね…」


    俺は、花を育て花屋に卸すのを生業にしていた。
    世俗からそれなりに離れ、ユリの様に笑う妻と二人
    ふもとの町でつつましやかに暮らす…「幸せ」がそこにはあった。
    そんなある日の悲劇だった…。

    ぶんぶんと首を振る。

    そうすることで、あの最悪な記憶を振り払えればいいのに。
    それでもこの部屋のおかげか、
    死んだばかりだというのに、不思議と心は落ち着いていた。

    …あ、そうだ。


    「妻は、無事…ですか?」


    大事な確認を怠っていた。
    これを聞かなければ、死んでも死にきれない。


    「はい。あなたのおかげで。
    「今は勿論、悲しみに暮れていますが。


    「…よかった。」


    よかった。
    安堵のため息が漏れる。

    …本当によかった。


    「それで、転生の間? でしたっけ?」


    漂うユリの香りを感じながら

    (そういえば、一番卸していた花はユリだったな…)

    と、心の余裕ができたせいか、そんなことを考えつつ
    目の前の彼女が最初に言っていたことを思い出した


    「はい。
    「何かしらの理由で生を全うできなかった方を
    「私が次の生へと導く間となります。


    ユリの香りが、彼女の美しい声にのって鼻腔をくすぐる。
    心なしか、香りを強く感じた。


    「はは…」
    「ほんとにこういうのってあるんですね…」


    正直半信半疑ではあるが…
    既に死んでいる身である。真偽は特に問題ではない。


    「はい。
    「それで、何に生まれ変わりたいでしょうか?


    そんな質問をされ、一考する。

              ユリの香りが脳を刺激する。

    できるだけ妻の近くに…

              ユリの香りが充満する。

    いや、でも…

    ……

    ………


    「…ユリ。」
    「…山にひっそりと咲く、ユリに…なりたいです。」


    …ユリ。そう、ユリだ。
    部屋いっぱいに広がる香りのせいだろうか。
    気が付けばそう答えていた。


    「ユリですか…
    「わかりました。


    彼女が笑う。


    「あ!」
    「私の家が見える場所に咲かせてもらえないでしょうか?」
    「妻を…見守っていたいんです。」


    フフッ
    彼女が笑う。


    「最初からそのつもりでしたよ。
    「安心してください。


    「では、あなたに新たな生を!


    そう彼女が叫ぶと

    床の光が強くなって目の前が白く…

    最後に見た彼女は


    ―にんまりと笑っていた。



    --------



    意識が戻ると、見慣れた光景が眼前に広がっていた。
    勿論、以前より目線はかなり高い。
    俯瞰視点とまではいかないが、彼女を見守るには十分な視界だ。

    うん。
    女神さまはしっかりと仕事をこなして下さったようだ。
    そのことに、心の中で感謝する。

    ―ありがとうございました。女神さま。

    そんなことを考えていると
    不意に後ろから何かが近づくのに気づく。

    小動物…か、何かだろう…

    そう高を括っていたら、いきなり自分の体が掴まれ…











    ―ブチィッ

    ―ッッ!!


    痛い!!
    痛い!痛い!


    イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!痛い!イタイ!イタイ!イタイ!
    痛い!痛い!痛い!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!
    イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!
    イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!痛い!痛い!いたい!
    イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!痛い!イタイ!イタイ!
    イタイ!痛い!痛い!痛い!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!
    イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!
    イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!
    痛い!痛い!いたい!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!痛い!イタイ!イタイ!イタイ!
    痛い!痛い!痛い!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!
    イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!
    イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!イタイ!痛い!痛い!いたい!





    懐かしいぬくもりに包まれながら

    最後にみた光景は自分の名が刻まれた墓石。

    最後に浮かんだのは、転生の間であった彼女の…にんまりとした笑顔だった。



    -------------------------------------------------


    はい。お疲れ様でした。
    転生ものを一度書いてみたいと常々思っておりました。
    ある日お風呂に浸かっていると、ふと思いついたので
    2時間ほど筆を執った次第です。

    どうでしたでしょうか?



    ―痛いッイタイ!
    物を投げないでください。

    転生は都合がいいものと思うほうが悪いのです。
    現実とはどこで誰に恨みをかっているか、わかりません。

    それにしても、文章を書くことは難しいですね。
    何処をどれだけ描写すればいいのか…
    説明がくどくなりすぎてないか…
    読んでいる時の語感が悪くないか…考えることが沢山です。
    そもそもそこまで本を読んできてないので
    どれくらいちゃんとした文章になっているのか不安でしかないです。

    それでも、本編だけで
    どういう事だったのかわかるように
    文を書いたつもりですので
    余計な注釈をここでは入れません。悪しからず。
    どうしても分からないことがあれば、↓のコメント欄にどうぞ。

    では、自作SS4作目。
    あまり成長してませんが
    楽しんでいただけてることを願って。
    またどこかでお会いしましょう。
                     ニルギリ。
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