先日中国漁船が尖閣沖で衝突し、その乗組員が日本の海上保安庁の巡視船に救出されるという事件がありました。
これについては、当初中国政府が形式的なコメントを残していましたが、その後正式に謝意を表明し、へえそんなこともあるのかと不思議に思っていました。
なんとその裏には中国国民の世論の力があったそうです。
中国衝撃、尖閣漁船衝突|ニューズウィーク日本版
しかし中国政府を非難するコメントは増えるばかりで、中国大陸のネットが炎上し始めた。
すると11日の夜になって、中国外交部(外務省)の華春瑩・報道官(外交部新聞司副司長)は「日本側の協力と人道主義の精神に称賛の意を表す」と明確に口頭で表明するところに追い込まれたのである。
おお、そんな背景があったからなんですね。なるほど。
中国政府はいろいろ報道を規制していますが、
中国漁船が沈没したのはまあ規制しないし、
それを日本が救出したことは、言わざるをえないし、
それに形式的なコメントをして流そうとしたら、
その非礼な対応に炎上した、
と。
そこで後手に回った上に、キーワードで完全規制するようなことが難しい案件です。
ミラフツ的には、中国の今の政治体制はちっとも持続的じゃないし、そうでないならもはや早く崩壊してもらった方が傷口がひろがらないです。前回のSMAP問題と同じで。
中国の普通の市民はコミュニケーションしてみれば、私と同じ普通に人間ですし、ですからいろんなネットの規制には、きっと私が思うようなことと同じような「異常」さを感じていないわけがないでしょう。
ですから、今回のような針の穴が空けば、どっと炎上するのだと思います。
しかも、そのきっかけとなったのが、日本の海上保安庁の「普通」の対応にあったというのが痛快です。
事故そのものは公海であったようなので、日本の海上保安庁の対応はただひたすら「普通」の対応だったようにみられます。またその乗組員を無条件に返したことも、日本政府も含め「普通」の対応だったことでしょう。
日本は、人も国もいろいろ甘いと言われがちですが、一方でこういうところを普通にできてしまいます。
この件も日本は「普通」に対応したために中国も完全な規制をかけることが難しく、でもその針の穴に中国国民がすかさず反応していまえ。
この件、日本以外だったら、こんな「普通の対応」をしないのが「普通」です。外交上の厳しい対応を迫られる国であれば、「普通」なんらかの交渉を考えます。交渉を考えた末無条件で返すことはあるかもしれませんが、こんな風に世論的にも議論の余地も無く当たり前のように帰るというのは、世界的にみれば「普通」ではありません。
少なくとも、「普通」の国であれば、尖閣という神経質な領域で起こったこの事件について、こうやって無条件で返したことは寛大な措置であるとマスコミが取り上げます。世論も盛り上がることでしょう。なぜそんなことをしたのかという批判も含め。
でも日本人的にはそんなことは当然なことであり、興味の対象にならないのです。
私はそんな「異常」な日本に帰ろうと思い帰ってきました。アメリカでは永住権を申請しながら働いてたので、いようと思えば一生いられる予定だったのですが、アメリカを始め世界の普通って、平凡で、未来的ではなくて、持続的な感じではありませんでした。
日本は世界からみるとかなり変わった国ではありますが、持続性という点では、抜きん出ています。天皇も世界一続いてますし。
そんな日本が常識的な「ルールにしたがって普通」に遭難した中国人を救出して普通に引き渡せば、中国国内では勝手に炎上が起こってしまったのです。日本ではほとんど話題にもならないのに。
こんな風に息をするように持続的な日本にいたくて帰ってきました。アメリカはとっても刺激的な国でしたが、持続的には見えませんでした。自分の子供が大人になるようなせいぜい20年先もわからない国という印象でした。
今後世界が持続的社会を追求する上での、日本は間違い無く最先端の一翼ですし、そんな日本で私もなにか貢献できればと思います。
《ワンポイントミライ》(?)
ミライ: てか、この漁船の乗組員は軍人ではないかとか、軍から命を受けた漁民ではないかとか、そういう可能性がマスコミやネットで指摘されてないことが、海上保安庁や政府の対応とは別に、日本人の反応を如実に表してますよね。
フツクロウ: ホウじゃな。