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加計問題は「3期9年」を認めたから起こった
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加計問題は「3期9年」を認めたから起こった

2017-06-19 08:00

     加計問題、文書が出たからって、いったい何が問題なのでしょうか。

     今の疑惑を概ね認めたところで、法律に明確に違反するようなものが出てくるのかというと、そこまであからさまなものは今のところなさそうにみえます。まあ獣医学部の建築会社から賄賂もらってたとかあったら明確に犯罪ですが。

     とはいえ、たとえば、なぜ来年4月開校にこだわったのかというと、やっぱり京産大とか他を諦めさせるため?と邪推できますし、さらに地域を限定するような制約を増やしたりとか、ある意味ちょっとやりすぎてる勢いです。

     むしろ本当に悪巧みをするなら、京産大にも立候補させて、その上で加計学園を選んでおけば、たとえ裏で様々な操作があったとしても、より疑われにくいですよね。いわゆる出来レースを組むのです。そんなことができないくらい加計学園は条件が悪かったのでしょうか?

     いずれにせよ、総務省としては獣医学部を新設するなら加計学園であるべきであるという何か信念があるかもしれませんし、そこは総理の意向を忖度してしまっているのかもしれませんし、そういう信念をゴリ押ししてしまった結末を今見ているのかもしれません。

     ただし、それがどのような信念であれ、結果としてそれが首相のお友達の学校というのは、それだけで疑惑の対象になるものであって、当然通常よりさらに厳密な手続きを踏むべきところです。

     それが今回なされなかった。首相の友達の学園なのに、手続きはむしろゴリ押しになってしまった。

     これは、官僚組織が普通に動いていれば、起こりません。だってどうせ後で問題になりますから。今問題になっているように。

     でも、なぜ起こったか。

     それは去年、自民党が総裁任期「3期9年」を決定したからです。

     自民、総裁任期「3期9年」を決定  :日本経済新聞 

     任期が2年も残っているのに早々と安倍3期を可能にしました。

     ご覧のように官僚の人事は官邸が決めることになってしまっていますから、当時からいえば5年間、官僚は安倍さんの言う通りにしないといけないことになります。任期切れが間近なら、たとえ官邸に反発して更迭されようと、政府が入れ替われば返り咲くこともできるかもしれません。しかし、まだ5年首相が変わらないとなったら、当面はもういうなりしかありません。

     安倍首相は前川前次官に「なぜ反対しなかったか」と不満を述べていますが、

     安倍首相、前川前次官を批判=「なぜ反対しなかったか」:時事ドットコム 

     これはある意味真実で、内々に異議があれば、もっと「ちゃんと」加計学園に決められたかもしれません。

     で、こういうのをぜーんぶ紐解いていくと、結局「3期9年」が悪いということになっていきます。官僚人事を官邸が決めるというのも、リーダーシップを持ってものごとを進めるためにはいいことかもしれません。でも、そこに「3期9年」の長期政権が対するとバランスが崩れてしまっているのです。安倍さんの場合は首相が2回目ということで、2回目の最初の立ち上がりも極めて迅速でした。「3期9年」は実質10年以上の重みがあるでしょう。

     今回のすべて、仮に、首相の圧力はなく、実は官僚たちの忖度の塊で、首相の友達学園に対してずさんな手続きに邁進してしまったとしたら、それは「3期9年」のせいなのです。仮に首相からの圧力があったとしてそれに反発できなかったとしたら、それはやはり「3期9年」のせいなのです。

     で、このことにおそらく自民党は気づいています。首相に力が集まりすぎて、いろんなところに歪みが出ていることに。そもそも「3期9年」があっさり決まったのも、「首相に力が集まりすぎ」てたからです。さらにはなにがあっても支持率が落ちないのも「首相に力が集まりすぎ」てるからです。

     でも、その歪みが今一気に噴出してしまいました。これがいままでと同じように一過性で、しばらくしたらまた支持率が戻りなにごともなかったようになる可能性はあります。

     しかし、自民党はすでに相当な危機感を持っていると思います。「3期9年」はまずいと。今後もそれを見越して方々が「忖度」しすぎて、同じような問題を起こすことでしょう。

     が、「3期9年」は決めてしまった。それは単純な制度の変更ではなく、事実上党内で安倍再選を前倒しで信任してしまっています。次の総裁選で、もちろん対抗馬くらいは立てないとなるでしょうが、それは直前の動きで、対して票も集められないでしょう。そういう出来レースが想定されているのです。

     そういうストーリーだったのに、「3期9年」はまずいという空気が生まれてしまいました。本気で総裁選で安倍か否かを問うのなら、今から対抗馬を育てなければなりません。

     その時点で党内には大きな軋みがうまれ始めます。そうなってしまえば、来年の総裁選まであれこれ軋むよりも、さっさと安倍さんを退陣させた方がダメージが少ないという思惑も生まれます。もし安倍降ろしが始まってしまったら、止めるのはかなり難しくなるでしょう。

     これが、「怪文書発言」の真相です。文書が出てしまえば、否定のしようのないところから、否定し始めたのは、この問題がたとえ贈収賄犯罪のようなものがなかったとしても、政府にしてみれば、自分たちを転覆させかねない問題だとわかっているのです。ですから徹底的に否定したのです。
     


    《ワンポイントミライ》(

    ミライ: 今までのように官僚を押さえつけられなくなったことも大きいですね。

    フツクロウ: 更迭したら、暴露されるからの。
     
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