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myutaさん のコメント

なるほど、わからん
No.3
145ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
 ABC予想がわかるとなぜすごいのか、先日   ABC予想とフェルマー最終定理との関係がなんとなくわかった気になるお話 の中で、フェルマーの最終定理との関係で示しました。今回はなぜそんなすごいことになるのか、なんとなくわかった気になるように示してみようと思います。特にプログラミングする人にお薦め。ABC予想は数学だけでなくプログラミングにも使えそうです。先日の記事は読んでおいてください。  ABC予想とは、  a + b = c のとき、  c < rad(abc)²  が成り立つという話でした。この左側の c は a + b のことです。一方右側は、そういう a, b, c について掛け算や掛け算の仲間である因数などの式になっています。  つまり、 足し算の式が掛け算の式で調べられる 、そのことがとてもありがたいのです。  例えば、 m, n 2つの数があって、2つの数を掛けた mn という数について、m, n の因数が分かっていれば、 mn の因数は m, n の因数からたちどころに分かります。では m + n についてはどうでしょう。たとえば、 1 + 8 = 9 ですが、1 は素因数分解すると 1 だし、8は素因数分解すると 2×2×2 です。では 9 の因数はどうなってる? と言われても、1と8の因数から調べる手がかりはほとんどなかったのです。(因数?と思ったら、約数と読み替えても良いです。) そこにABC予想の  c < rad(abc)² なのです。  1 + 8 である 9 についてABC予想を使えば、1と8の掛け算や因数の式で調べることができるようになるのです。そう思って、もう一度ABC予想からフェルマーの最終定理の関係を見てみましょう。   フェルマーの最終定理は、n ≧ 3 のとき、  x n + y n = z n を満たす整数 x, y, z がないというものです。証明するには、背理法とかいうのを使って、もしあるとします。そのx,y,zに対し  a = x n , b = y n , c = z n と考えると  c = z n < rad(x n y n z n )²  = rad(xyz)² (だぶってる素因数を省いた!)  ≦ (xyz)² (それは xyz より小さい)  < (z×z×z)² (zが一番大きい)  = z 6 とつなげられ、全体として  z n < z 6 となります。つまり、こういう x,y,z があるなら、 n は 3,4,5 のどれかになります。が、n = 3,4,5 の時は個別にx,y,zがないことが証明されているので、結局どんな n でも成り立たないということになります。  読み返してみると、 x n  と y n  については因数がよ〜く分かっています。それぞれ x が n 個、 y が n 個です。でもだからといって x n  + y n  の因数がどうなっているかはさっぱり分かりません。  が、ABC予想を使えば、rad(x n y n z n )² という式で、 x n  + y n  という数を調べることができるのです。rad(x n y n z n )² は掛け算や因数の式なので、簡単にいじることができて z 6  という式に行き着きます。  つまり、ABC予想は 足し算と掛け算の架け橋 になっています。y n  という式は掛け算の式 ( y × y × y × …) なので、x n  + y n  はつまり、足し算と掛け算が入り乱れています。だから、数学者を 360 年を悩ませてしまいます。それをABC予想を使えば、掛け算だけの式で調べられるようにしてしまっているのです。  それがすごいのです。特にこれがどうプログラミングに関わってくるかみてみましょう。最近はコンピュータが発達していますから、様々な問題に対してコンピュータで手当り次第にやってみることができます。なので、今「予想」と言われるものについては、コンピュータでどんどん試されていて、みんな「多分あってる」と言われます。ABC予想についても wikipedia にコンピュータで調べられている成果を見ることができます。  とはいっても、逆に言うとコンピュータでそんだけ調べないと「多分あってる」と言えないということです。今後望月新一氏の証明が正しいと分かれば、ABC予想でわかる部分は調べなくてよくなりますから、他の数学での難問を証明することに使えるだけでなく、コンピュータで何かを手当たり次第調べてみたいときに、手当たり次第ながらも莫大な計算を省略するのに使えるかもしれないのです。  つまり、ABC予想のもう一つすごいところは不等号(<)の式だということです。フェルマーの最終定理は、x n  + y n  = z n 、つまり等号(=)の式でそれがないというもので、だから?と言われかねないですが、ABC予想は c < rad(abc)² となっていて、「c を手当たり次第調べるときも rad(abc)² まででいいからね〜」と言ってくれてるのです。 プログラミングの言葉で言えば、 while (c < rad(abc)²) なんです。(右側にも c 入っているから少々工夫はいりますが)  たとえば、今将棋は人間とコンピュータがいい勝負してますが(先日プロの米長さんが初めて負けました)、碁についてはまだ人間が強いです。でも、もしかしたら、アルゴリズムにABC予想を組み込むことで、先を読める場合の数が飛躍的にあがってあっという間に人間に追いつくなんてことがあるかもしれません。ポータブルカーナビですら渋滞予測が超良くなって、結果として渋滞そのものが起きにくくなるとかあるかもしれません。あなたの Siri だって、人間と変わらない返事をするようになるかもしれません! ちょっと妄想広げすぎ?  ABC予想使って、さまざまな難問が解かれると言われていますが、その一方でどんなアルゴリズムが開発されて我々の生活がどう変わるのか、本当にわくわくしてきますね! (とはいっても今の時点でもだいたいあってることははっきりしていて、実用上は使って問題ないはずです。で使われていないのなら、さっきの妄想はやっぱり妄想かもしれません。偉い人に聞いてみます) ・併せてどうぞ [ 難解なABC予想を優しく解説してくれるサイト - NAVER まとめ ] ABC予想の解説ページをまとめました。ABC予想をもっと知りたい時はこちらへ! 【 ロングテールの、ほとんど知られていない、しかしもっとも重要な性質 】 数学が好きな人にお薦め 【 はてなブックマークコメントの表示は、はてブをありえない分布にできるかもしれない 】 ロングテールの応用編。これも数学が好きな人向け 【 「ABC予想証明できた!」のニュースの伝わり方が面白かった 】 ABC予想報道の裏話  註)なおこの話はとてもあらあらで、私が数学者じゃなくてエンジニアだからできるのであって、もしあまりにひどいとアドバイスあったら、適宜書き直し(あるいは撤回)するかもしれません。ごめんなさい。
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