日経 サイエンス 2013年 01月号にABC予想の特集が掲載されました。

日経 サイエンス 2013年 01月号 [雑誌]

 ABC予想そのものの説明も丁寧ですし、またディオファントス問題やタイドマン予想といった他の問題との関係も詳しく書かれています。数学の好きな人にお勧めです。

 特にこの表現が分かりやすかったです。

だがabc予想は,「a, b と c の間に和の関係があるとき,3つの数が同時に素数の大きなべきを含むということは起こりにくい」と言っている。
 これってそのままフェルマーの最終定理の直感的説明にもなっています。つまり、

xn + yn = zn

という式で、 xn と yn と zn の間に和の関係があるとき、nが大きいことは起こりにくいということです。

さらに、
つまり,「整数の間にある和の関係によって,その整数を構成する素数の積が制限される

とabc予想の直感的意味合いを説明しています。以前も取り上げたようにコンピュータで探索問題に取り組む場合にもこの性質をもちいれば探索範囲を大きく制限できる可能性があります。

 それにしても、「a, b と c の間に和の関係があるとき,3つの数が同時に素数の大きなべきを含むということは起こりにくい」のかもしれませんが、どうして起こりにくいのかはさっぱり分かりません。つまり500ページと言われる証明を直感的に言うとどうなるのかということですが、いつか一言で言えるようになるのでしょうか。

 ちなみに日経 サイエンス 2013年 01月号ですが、個人的には「【特集】ヒッグス粒子の先へ」の中の「余剰次元を探る」も超面白かったです。素粒子の世界もこれから数年で次々と新しい事実がわかりそうで目が離せないですね!

・併せてどうぞ
ABC予想とフェルマー最終定理との関係がなんとなくわかった気になるお話
さらにABC予想のすごさがなんとなくわかった気になるお話