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アメリカの一人あたり面積もロングテールだった〜ロングテール解析法大公開〜の続きです。全ての元凶オーストラリアのデータも手に入りました!
この話題、もともと、オーストラリアのこの地図がきっかけで調べ始めました。 この黄色い部分に人口の2%しか住んでいないというのです。
日本、そしてすぐデータの手に入ったアメリカについて、国民それぞれが住む場所の人口密度のデータを入手し、偏り方を調べました。
となるともともときっかけになったオーストラリアについても知りたくなります。無事見つけることができました。統計用に全国を 2196に分割したStatistical Areas Level 2 (SA2) と呼ばれる地区それぞれについて、人口や人口密度が掲載されていました。
早速見てみましょう。人口密度から一人あたりの面積(逆数)を計算し、一人あたり面積の大きい人から順に並べてその面積をグラフにしたのがこれです。
…とこれでは「わけがわからないよ」なので、目盛りを10, 100, 1000, ... と対数にしたのがこれです。 なんと、一人あたり面積が 1,000,000,000平方メートルつまり、1,000平方キロメートルを超えている人がいます。縦横 32km の広さに一人。各国一番狭いところでは100m2を切ってきますから、1千万倍以上の開きです。仮に所得でこの差を考えると年収10万円と1兆円!
ちなみに、SA2で総数2196に分割された地区の中には人口0の地区が36あり、その総面積は約13,000m2、なんと日本4位の長野県(約13,600m2)と5位新潟県の(約12,600m2)の間です……。
横軸を普通に戻したのがこちら。
曲線の姿は日本、アメリカとはかなり違ったものになっています。オーストラリアとアメリカを比べると上位1割ではオーストラリアのが広く、下位9割の大部分ではアメリカが上です。さらに40%辺りでは日本とほとんど変わらないと、抜きつ抜かれつの大デッドヒートです。(苦笑
次に一人あたり面積の大きい人から、その面積の累積するとこのようになります。
これは、なんと、オーストラリアの 2% 人口のところは約90%になっていて、つまり、人口の残り98%は国土の10%に住んでいることになります。対するアメリカは国土の50%、日本は国土の67% に住んでいるのに対して圧倒的な違いです。
さすが、冒頭の印象的な地図と共に記事として紹介されることはあります。
(注:以前は画像から分析して75%と書きました。値がかなり違いますが、国土を2196 に分割しているこの例よりはるかに少ない数に分割していることによると思われます。日本は75%と書きました。それは市区町村の人口順で求めたからです。人口密度で並べればよりシビアになります。)
さらに前回紹介した「規模別合計」を見てもその違いは際立ちます。「規模別合計」は、ロングテール分布の特徴を調べるのに好都合です。なお、「規模別合計」については、改めて本家で式を用いた解説をしましたので、興味ある方はそちらを参照してください。
ロングテールを調べるのに便利な「規模別合計」の数学的解説
この「規模別合計」を各国の一人あたり面積で行ったものが次になります。
日本・アメリカはじわ〜っと全体に広がっていて、いかにもロングテールな感じですが、オーストラリアは面積が広い方に極端に偏っています。さすが2%の人口で国土90%を占めてしまっているだけのことはあります。
明確な基準があるわけではありませんが、有り体に言って、オーストラリアはロングテール分布と言えないくらいの偏りだと思います。同じ「一人あたり面積」という統計で、国が違うことで分布の性質がここまで違うという例は少ないので、いろんな国で見ると極めて興味深い結果が出るのではないかと思います。
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