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“少女が失った日常”衝撃93秒、日常生活が紛争で一変した1年を表現。 | Narinari.com
ありふれたバースデイのシーンから始まりその一年後のバースデイまでの93秒。シリアの内戦に巻き込まれ、変わり果てた環境に追い込まれる少女。全く非現実的な映像と信じたいですが、それは現実に起こっていることです。
しかし、あまりにも想像を超えていてその映像以上にシリアに思いを巡らせることすら難しいのです。そこで、一つ図を作ってみました。
外務省では渡航情報を公開しています。各国ごとに見ることができて、シリアは最高レベルの真っ赤な「退避勧告」で埋め尽くされていました。周辺国もいろいろ出ています。ただ、一度に見ることができないので、ちょっと、画像処理ソフトを使って周辺国の状況と合わせてみました。ついでに同じ縮尺の日本も隣に。
なんと日本の面積に匹敵する範囲で真っ赤や橙色の「渡航延期勧告」が出ています。日本にいる外国人に例えれば、東京で暴動が起こったから、ちょっと宇都宮に逃げとこうとか大阪に逃げとこうとかでなくて、日本中で暴動が起こってるから国外退避だという状況ということですよね。田舎までは分かりませんが、主要都市はすべて戦闘状態。なんという惨状。
そして、思いを巡らせるほど、もう一つ気になることがあります。冒頭の他愛のないバースデイのシーンは日本でも普通にあるシーン。つまり、日本だって、こうなっちゃうかもしれません。日本中が戦闘状態。地震・津波は防げませんが、これは防がなくてはいけません。どうすれば防げるのでしょうか。
ちょうど今、NHKの朝ドラ「ごちそうさん」では太平洋戦争を扱っていて、まさにクライマックスを迎えています。戦争時の庶民の心情にスポットが丁寧に当てられています。息子が出征することになって、「こんなことのために飯作ってきたんやない」と悔しがる母。みんなが「こんなの絶対おかしいよ」と思いながらも、「お国のため」の論理の前にみながそれに従っていってしまっていました。
今このドラマを見ている人にとって、それはかなり奇異に映っていないでしょうか。国と言っても人の集まりです。なのになぜ人が家族が犠牲にならなければならないのか。子ども達は素朴に「訳が分からない」と言います。なんで人が死ぬようなことをしなければならないのかと。
しかし、昨今の国際情勢を感じれば、シリア少女の動画を見て、こんなの日本では絶対起こらないと言える人はそうそういないでしょう。
それでも日本は回避できるはず、そう思います。
まず、国という得体のしれないものがなくなりつつあります。国はありますが、それは人の集合です。政府・官僚・国会・裁判所そういった国の仕組みのその中にいるのは、結局どこにでもいるおっさんおばさんです。人々が嫌だと思うことは、国の仕組みの中の人だって嫌です。国という意志を持つ実体はありません。
でも、国の意志という幻想が生まれないためには、俯瞰できる情報と想像力が必要です。
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