前々回、前回の続きです。
[S]朝日新聞がトリガーを引き、業界再編が始まった
若者の新聞・テレビ離れのもっとも簡単な理由
朝日新聞への追求は日に日に激しく「国民的憎悪」に発展しているとこの記事では分析しています。
朝日新聞への憎悪はどこまで?--「血祭り」後を考える
バブル崩壊後の銀行、2000年ごろ、06年ごろのベンチャー企業叩き、継続する官僚叩き、個人では検察に逮捕された堀江貴文氏、鈴木宗男氏などが対象になった「国民的憎悪」について詳しく書かれていて参考になります。こうなってしまうと、やりすぎに発展してしまいます。
さて、この騒動の後、メディアはどのように変わっていくのでしょうか。
すでに身の回りでも解約の声は聞かれますし、朝日新聞ははっきりと購読者数を減らすことでしょう。読売新聞があからさまに契約を取りにいっているようです。
読売新聞、朝日の慰安婦報道検証で攻勢 チラシを各戸配布
ではその減った分は、単純に他の新聞社に流れるでしょうか。残念ながら、全てが流れることはないでしょう。今回、他の新聞社もここが自社のパイを増やす瞬間とばかり朝日新聞のネガティブキャンペーンを張っています。でも、これはブーメランとなり、なにか類似の問題を追求されることになるでしょう。悪いのは朝日新聞だけで、他の新聞は素晴らしいということにはならず、新聞全体にある種の失望感が産まれることになると思います。今マーケット全体が縮小しているので。
したがって、新聞以外のメディアもこの機会に飛躍しようとするでしょう。
その時に原動力になるのが、朝日新聞など各新聞社が抱えきれなくなる新聞記者です。
今ネットには様々なメディアがあるように見えますが、肝心の記事は1次ソースに近いものは、既存のマスメディアが発信しているものがほとんどです。新しいメディアが発達するには、優秀な記者を抱え、自分たちで直接取材した記事を発信していかなければなりません。
そのためには、記者クラブの問題が無視できません。今、朝日新聞の優秀な記者がただやめてフリーになったとしても、記者クラブに入れなければ本格的な記事は書けないかもしれません。
しかし、昨日池上彰さんの記事の掲載が拒否されたことで、朝日新聞の記者が何人もツイッターに反対の意見を表明しました。いてもたってもいられなくなったのだと思いますが、これは裏を返せば、将来場合によっては朝日新聞を辞めることがあるかもしれないというイメージトレーニングがもともとできている人たちです。縮小市場ですから自分に落ち度がなくても、リストラだってあるかもしれません。優秀な記者は当然そういった場合も想定しています。そういう人が、今回自社であっても明らかに間違っている行動に対して NO を叫んだのです。
今回、そのような記者が朝日新聞にいるということは分かりましたが、つまりこのように腹は括っている記者は朝日新聞に限らず相当数いることでしょう。
こういった人たちが、なんらかの形で記者クラブに入れる手段を確保したうえで、新しいメディアを作ることが考えられます。ネットメディア中心に流すことを前提にするようなです。
あるいは、朝日新聞がふらつく中、今ある様々なネットメディアが一斉に記者クラブに加盟するようなこともあるかもしれません。同時に新聞社が抱えきれない記者がそれらに移籍するのです。
そうすると、ネットの上では新聞社に頼らないニュースメディアができるようになります。
ちょうど先日取り上げたバイラルメディアについて(バイラルメディアが作った癒しメディア空間)、アメリカの動向も踏まえた解説記事が出ました。
バイラルメディア、日米で人気過熱 一過性か革命か :日本経済新聞
アメリカのバイラルメディアでは癒し系だけでなく、「ウクライナなど紛争地帯を取材する本格的な報道記事」なんてのもあるようです。それは興味深いです。とりあえず buzzfeed と upworthy フォローしてみました。将来は元新聞社の記者がバイラルメディアの記者になるとかあるかもしれませんね。