のすじいのそーさく日誌108・・見ちゃいけないもの・・
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のすじいのそーさく日誌108・・見ちゃいけないもの・・

2019-06-20 18:48
    此の世の中には様々な規範や価値観による
    禁忌とでもいうべきものが存在する。

    法的にとか倫理的にとかじゃなく
    もっと原初の感性のようなものに触れる禁忌も。

    一度だけ東京、文京区の路地で見た光景・・

    梅雨明け間近のうっすら雨の匂いがする夕間暮れ
    不似合いなほど派手な色帯、金糸縫い取りの名古屋風に
    無地、紬に似た古渡り様(よう)の留袖もどき。

    古風な稲荷面と明らかに手で篝(かが)った小手毬。
    少女ともおんなともつかぬ孤影が其処に居た。



    一瞬、驚愕と恐怖に何故か駆られながらも
    其の立ち姿から目を離すことが出来なくなった。

    何処か生き物の匂いに満ちた夕暮れの風が吹き往き
    アスファルトの切れ目、湿った土から立ちのぼる水の匂い。

    其れは何処か沈殿した白泥(はくでい)の其れに似て・・

    ただ、あらぬ方向を微笑んで見据える其の生き物の後ろ
    音も無く、黄色の古い型の路面電車が行き過ぎる。

    彼女の遥か向こう、路地の奥にほんの僅か覗く空間
    都電線路に沿う細い横道が在るであろう狭間を・・

    その時、自分は狂気と言うものが内包する優しさや
    其れに染まらねば見えて来ない美しさの片鱗を覗いたように思う。

    小生と共に在るはずだった生き物の死を知らされ
    ひと月が経つか経たぬかの初夏だった。

    何の目的も無く、職務を欠勤し東京を彷徨って
    確か・・3日目の夕方・・だったかも知れず。
    ああ、其の横顔は何処か・・あれに似て居た・・。



    恐らく生涯で見た一番鮮やかで美しい色合いの一枚絵。

    ただ、惜しむらくは其れが本当に現実に見たものなのか
    壊れかけたこころが描き出した極上の戯れ絵だったのか

    今は・・どうにも判別が付かぬのだ、哀しいことに(微笑)



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