のすじいの追想駄文・・放課後の=真(笑)=グリーンスリーヴス
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

のすじいの追想駄文・・放課後の=真(笑)=グリーンスリーヴス

2020-06-11 18:15




    その日、せんぱぁいと呼ばれてた極楽とんぼなチューバ吹きは
    講義後の学内、渡り廊下を通り、学生食堂に向かう近道の
    図書館裏の坪庭のような場所に生えた広葉樹の木陰を静かに通過し

    ああ、まあ、合奏前に珈琲なぞ飲むかなあ・・などと考えながら歩いていた。

    そのとき、此の兄ちゃんの耳に・・凄まじい=怪音=が思いっきり=聞こえて=きた。

    ・・・ありゃりゃ・・こ、此れは=酷(ひど)い=・・
    な、何という旋律、いや戦慄かい・・こりゃ=異音(ノイズ)=だろ。


    呆れて音のする方向をちら見すれば、
    フルートのちびの1回生が健気に練習中。

    肩に力が入りまくり、幾分紅潮した頬・・
    必死に多音階のドレミファのお浚(さら)い。


    楽器初心者と思しき其の1回生少女と、
    まあ4回生で往時10年以上チューバ吹かされてた
    其の兄ちゃん、せんぱぁいを比較すること自体に
    無理はあると言うものの・・

    既に其のフルートの音は常軌を逸脱し
    明らかに=どれみふぁそらしど=を通り越し
    =どれかはしらねど=に変貌していた。

    言うならば=音階=ならぬ=音怪=である。

    他人の事には存外に無関心だが
    こと、演奏と音楽って部分になれば
    見過ごせないと言う楽器莫迦の
    ポリシーめいたものを
    此の必死の怪音が直撃したと言っても良い。


    まあ、あまりの=凄さ=に流石に看過出来かねたのだがw

    半解放型の渡り廊下の腰まである仕切りをひょいっと乗り越え
    つかつかっと其の必死に雑音製造中の小娘に近づいた彼は・・

    「・・がんばってんのは判る・・・真面目に吹いてて偉い。
    ・・だが正直、かなり酷(ひど)ぞ・・音程が特に
    ・・ええっと・・・お前さん、なんて言ったっけが?・・・」


    此の時点で此の兄ちゃんは在ろうことか
    此の1回生のちびデブ少女の名前さえ=記憶していなかった=


    「・・弓丘・・ともみ・・ですぅ・・先輩(せんぱぁい)・・・。」

    体躯に似ず優しく柔らかめに語りかけたせんぱぁいに反応し
    即、恥ずかしげに頬を染めて雑音製造を停止したとこを見れば
    まあ、=音の酷(ひど)さ=は吹いてた本人も重々承知だったんだろう・・・

    其れでなければ、まだ入部ひと月足らずの花の短大女子が
    貴重な休憩時間に人目の無い場所で楽器の練習などすまい。

    逆にある意味・・下手だけど、物凄く真面目な子なんだろうな、と
    4回生の兄ちゃんは、珍しくも此の女の子に=好感=を持った。

    此の栗毛色ウルフカット豆タンクグラマー乳娘な1回生に、である。

    で、其のちびデブ一回生のほうも性格が幼いうえに
    かなりの世間知不足で、はっきり言えば=脳足らず=な
    ある意味の天然危険物のような生き物だった。

    しかも、実のところ・・・部で一番お偉いさんの4回生幹部の男子、
    チューバ吹きのお兄ちゃんに
    声を掛けられ吃驚して固まった彼女は、
    友人にくっ付いて勢いで此の吹奏楽部に入ったある種の付録組。

    音楽・楽器はほとんど初心者で譜面読むのもやっとのレベル
    どうしても吹きたいと言う楽器さえ無かったと言う状態の子だったので
    女性の多い、楽器の余ってたフルートに回されたと言う経緯の新人で

    酷い言い方すりゃあひと月持つか?と危惧される
    新人部員の筆頭候補だったのだが・・

    そのおっとり脳足らずな外見には
    不似合いなくらいの芯の強さが在ったらしく

    始めて手にした楽器を飽きもせず
    空き時間に人気無い場所で必死に練習してたと言う

    =誠に健気(けなげ)=な子だったのである。




    4回生幹部で実は本人自身も楽器吹くことだけは
    密かな努力家だった此の兄ちゃん・・せんぱぁい・・にとっちゃ、

    真摯で懸命な新人ってのは、あらゆる意味で=褒めてやるべき存在=。

    男であろうが女の子であろうが其れは平等に変わらないのであって
    逆にそういう意味で女の子だから何ぞと言う妙な遠慮が
    此の兄ちゃん、哲学専攻のチューバ吹きには無かった。

    まあ、其れゆえ、あまりの音の凄さ(笑)が
    逆に彼にこのちびっ子を傍観させ得なんだ訳で・・・


    いわば=教育的指導=のようなお堅めなカテゴリーの
    同じ音楽部の演奏者同士の会話なはずだった、此処までは。


    女の子と会話することは同期であっても
    向こうから用事でも振られなきゃ
    まず成立しないと噂されてた此の兄ちゃんが

    独りで居る女の子に自らすすんで声なぞ
    掛けたこと自体が既に奇跡の域だったからである。


    で、普段なら・・技術的な事を端的にそっけなく言うか、
    同じ楽器の先輩に練習方法を間接に提言し、
    巧くなるように指導させる
    なんて対応をする、
    此のどっか大人びた人見知り気味のせんぱぁい。

    実の処・・・
    どうも・・やはり、本人は自覚してなかったが
    この手の短躯童顔脳足らずな小デブが・・好みだったらしいw

    如何にも羞恥心って風情で固まったこのフルートお嬢ちゃんに向かい
    彼には珍しくかなり渋めの笑顔まで見せながら、ちょいと優しげな声で・・・

    「えっと・・弓丘だっけ?・・楽器の練習はとにかく反復。
     そして考えて吹くんだぞ、ただ音出せばいいって訳じゃねえから。

     それと、指が動くだけじゃ駄目だ・・呼吸法もしっかり教えてもらえ。

     まあ、頑張ってるのは見てれば充分判るからよぉ・・
     考えて、そう、気持ち入れて・・頭使って吹かねえと駄目だぜ。」


    と、珍しくも気合いの入ったニュアンスの=指導=なんぞを始めてしまった。

    で、普段は他人を韜晦するような駄言吐くのが常の
    此の兄ちゃんの意外な低音の美声で語られる=指導=を

    フルートの1回生弓丘嬢は神妙そうな顔つきで拝聴していたのだが・・・

    最期の気持ち込めて吹け云々(うんぬん)の部分で
    ちょいと首を傾(かし)げつつも・・
    おずおずと、此の先輩に=すなおなしつもん=を投げる。

    「せ、せんぱぁい・・気持ちを込めてって・・
     ぐたいてきにぃ・・何すればぁいいんでつかぁ?」


    ああ、此の1回生は、紛れもなく脳足らずな女の子だったw。

    彼はちょいと考え込んでいたようだったが、
    その問いにおもむろに応えて・・・


    「んだなあ・・吹くときに・・好きな人の事でも考えたら?・・・

     其の人に聞いてもらうんだ、とか、想いながら吹くと好いかもなあ。」

    明らかに彼らしからぬムードっぽい台詞を
    半ば冗談のような雰囲気も交えながら
    其の甘めの低音で何の気なしに樹下で囁いてしまったのだった。

    普段絶対にそういう言動を取らぬ、どっか捻くれた行動のせんぱぁいの言だけに
    本人は珍しく軽い洒落と言うか緊張緩和のつもりの軽口だった其の一言は・・・
    想像外の色っぽさと真実味を帯びて此の脳足らず娘に響いたらしい。

    で、其れを聞いたちびデブ脳足らずちゃん・・妙に頬を染めながら・・
    おずおずと、だが真っ正直に、ちと恥ずかしそうに上目づかいで

    「す、好きなひととかぁ・・全然、居なかったらぁ・・・どうすればぁ・・・?」

    と、真顔で訊いたものだから・・此処で話は微妙に=違う方向=に動き出す。

    日常の些事や、まして男女の色恋沙汰なぞ
    其の時まで=我関せず=だった哲学専攻のせんぱぁいは

    よせばいいのに不慣れな=茶目っ気=を起こし
    此の悩んでる脳足らずに軽い冗談口で・・・
    本人はたぶん言ったつもりだったのだろう・・・
    珍しくも優し気な微笑で・・かなり渋く(笑)。


    「・・困ったな・・じゃ、おめえ、・・ついでに=恋愛=でもしてみ?」
    「ええええっ!・・・だ、誰と・・そんなことしろって・・・あの・・・?」

    思いもかけぬ=指導=を戴いた脳足らずロリっ子の吃驚目(びっくりめ)
    心なしか其の肌がぽおっとほんのり染まって来て・・

    「ふん、弓丘ぁ、おめえ=可愛い=から、大丈夫だ。
     其れにちびの癖に乳もでかいから頑張ればモテるぜw
     
     じゃあ、(練習)頑張ってな・・判らない事あったら、
     フルートの誰かか、ああ、=(先輩に)直接=いつでも聴いてこいや。」

    そう言うと彼は存外颯爽と、渡り廊下の手すりを
    乗り越えて去っていく・・其の巨躯に似合わぬ身軽さで。

    内心で、=うん、珍しく姉ちゃんと喋ったな、俺=、
    とか微妙に不思議がりつつも、何処か楽し気に・・・


    が、彼を見送ってお辞儀をしたフルートのちびデブ乳娘一回生の目のいろが
    先程までの先輩に対する畏敬のいろから妙に何処か甘めな憧憬っぽいそれに
    微妙に変化し始めてたことになんぞ・・・気付く様子は微塵もなく。

    「せんぱぁいに・・おしえてもらっちゃったぁ・・・。
     そっ、其れより・・かっ、=可愛い=って
     ・・い、言われちゃったぁ・・・うううう・・・・


     どっ、如何しよう・・・勧誘の時も
     おとなでぇ、ちょっとぉかっこいいってぇ・・思ってぇ・・・

     咲喜ちゃん(同期のクラリネット1回生)にぃ
     此処にくっ付いてきちゃったのにぃ・・・」



    間の悪いことにと言うべきか幸運な偶然と言うべきか・・
    此の脳足らずな今でいうちびデブ爆乳な
    1回生ちゃんの
    俗に言う=タイプ=なお兄さんと言うのが


    =大人で弁の立ちそうな年上の大きいおにいさん=だったのが
    致命的と言えば致命的な邂逅になっちゃった訳である。


    しかも初めての楽器に四苦八苦しつつも懸命に練習する彼女にとっちゃ
    学生の身で大きな楽団統括する立場の先輩と言う存在は
    其れでなくとも=潜在的憧憬=のまさにど真ん中に
    鎮座する対象に充分成り得る条件揃ってた訳で・・・

    しかも、対象のせんぱぁいのほうもちびデブ巨乳好きという絵に描いたようなww
    まあ、此れ、出会いがしら無意識のレンアイ衝突事故確定の瞬間である。



    で、此の記憶を限りなく美化した詞をジョニさんのメロディに
    乗っけさせてもらったのが此れ、って訳なのよね・・ああ、青春してたわねえ(爆)

    放課後のグリーンスリーヴス  ONE・IA (CeVIO合唱団)



    ああ・・6月だ・・ちょうど今頃の梅雨晴れの日。
    妙に瑞々しいみどりの若葉がもっと濃くなる昭和の東京、文京区。
    其の木漏れ日が少し目に痛いくらい強くなるころ

    無茶苦茶な音怪wのフルートの異音は・・
    何処か素直で線が細い、幼いが妙に沁みる音色に化けていた。

    グリーンスリーヴスとサリーガーデン、アッシュグローブ・・
    イギリスの旋律が妙に好きな、背丈の低いフルート吹きの演奏に。




    ちなみにこっちがのすじいがセルフカバーさせて戴いた
    銀咲大和バージョンの放課後のグリーンスリーヴス。
    中年男の遠い記憶への独白のようなもの、とご笑覧下されば幸い・・
    ああ、此れ、自前の声で唄ってみようかなあ・・死ぬまでに。


    放課後のグリーンスリーヴス=遠い日の恋バージョン= 銀咲大和(CeVIO)



    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。