映画レビュー「グッドフェローズ」(★10):騙されたと思ってご覧になって頂きたい
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映画レビュー「グッドフェローズ」(★10):騙されたと思ってご覧になって頂きたい

2013-02-25 15:29
  • 9

開始わずか3分で映画の虜に

今回紹介するのはマーティン・スコセッシ監督のギャング映画「グッドフェローズ」。僕の中で好きな映画ベスト3に入る大傑作である。
ちなみに、AFI(アメリカ映画協会)が出している映画ランキングの中でも100位以内に入る大健闘ぶり。これまで作られた全てのアメリカ映画の中で100位以内なのだから、恐ろしく高い評価を得ていると言えるだろう。(もちろん、ランキングが全てではないのだが)

そんな凄い映画だが、この表紙を見て「面白そう!」と思う人はまずいないだろう。
僕自身、かつてはレンタル屋でこの映画を手に取ってはそっと棚に戻したものだ。表紙には美女もいなければ、イカしたデザインが施されているわけでもない。男くさい野郎が3人並んでいるだけである。興味を惹かれるはずがない。

しかし、騙されたと思って冒頭の3分だけでもご覧になって頂きたい。わずか3分で映画に惹き込まれること間違いなしだ。

★★★★★★★★★★(10/10点)

あらすじ

主人公ヘンリーは少年時代からマフィアの世界に憧れていた。
彼はある日、地元のボスのポーリーのもとで働くことになり、ついにその世界へ足を踏み入れた。こうして、先輩のジミーやトミーから仕事のイロハを学び、ギャング "グッドフェローズ"として成長していく。
やがてカレンという女性と結婚し、自分の家庭も築くヘンリー。しかし、ジミーらと犯行に及んだ空港での大金強奪事件をきっかけに、ヘンリーの人生に狂いが生じ始める。仲間が事件の証拠を揉み消す中、FBIに目をつけられたヘンリーは、組織に関するあらゆる証言を迫られていくのだが…。

テンポ抜群。ナレーション快調。

実はこの映画、実話がベースなのだ。しかも99%が本当の話というから驚きだ。いじったところと言えば、話の順番を入れ替えたくらいだとか。
ギャング映画とはいえ、実話と聞くと硬派なイメージを持ってしまうかもしれない。しかし、この映画はまさに"映画"といえる楽しさに溢れている。

細かく組み立てられたカット、調子の良いロックンロールミュージック、そしてその上に主人公のナレーションがのっかり、ラストまで一気に突っ走る。テンポ抜群だ。

また、この主人公目線のナレーションが実に面白い。

俺は大統領よりもギャングになりたかった。」
「カスばかりの街でデカい顔出来る。」
「土曜はカミさんに家庭サービス、金曜は愛人と遊ぶ。」
「毎日地下鉄に乗って働くヤツは玉なしだ。欲しいものは奪う。」

などなど、とても共感(?)できる発言ばかりである。
普通の人に語らせたらなんともお堅いナレーションになるだろうが、ギャングに喋らせるだけでこうも面白くなるのか、と思った。これが映画を2倍も3倍も面白くしており、また全体のテンションもグッと引き上げている。

ちなみに、主人公ヘンリーの他にもう1人だけナレーションを担当する登場人物がいる。それはヘンリーの奥さんとなるカレンである。この映画がギャングの話だけでなく2人の物語でもあるからなのだろう。


ただお話しているだけですが、ここも恐ろしいシーンになっております。


奥さんとなるカレン。夫に負けずブチ切れまくりです。

美化されていないギャングたち

ギャング・マフィア映画と言うと、有名なものでは「ゴッドファーザー」がある。これも最高の映画だが、あそこで描かれているギャングはかなり美化されたものだと思う。みな真が通っていて、知的で、家族愛に溢れている。
しかし、この「グッドフェローズ」では誰もが実に人間臭い。浮気もしちゃうし、ヤクにも手を出すし、カッとなって人も殺す。とてもじゃないが友達に欲しいタイプではない。とはいえ、その人間臭さがまた面白いのだ。
簡単にグッドフェローズの3人を紹介しよう。

レイ・リオッタ演じる主人公ヘンリーは、子供の頃からギャングに憧れるちょっとひねくれた青年。たまに弱気な側面も見えるが、奥さんや愛人を困らせる奴は容赦なくボコボコにする(見ていてスカっとする)。誘惑に弱く、ヤクに手を出して抜けられなくなる。
レイ・リオッタのギラギラした顔つきが忘れられない。印象的なキャラクターである。

ロバート・デニーロ演じるジミーは伝説のギャング。頭が良くスマートで、凄腕の強盗犯でもある。ただ、たまに神経質すぎて仲間を皆殺しにしまったり…。
普段は主役として活躍するデニーロが今作ではちゃんとアシストに回っている。

そして本作で最も強烈な印象を残すのはジョー・ペシ演じるギャングのトニー。この男と一緒にいると、まるで秒読みの爆弾を抱えているようなハラハラ感がある。
ちょっとしたことが彼のカンに障り、ギャアギャアわめき散らしながら相手を叩きのめすか、そのまま殺してしまう。予測の出来ない爆発がとても恐ろしい。
ジョー・ペシはこの映画での凶暴な演技が評価され、アカデミー助演男優賞をゲットした。

撮影・カメラワークの面白さ

この映画は役者、音楽、撮影、編集、ナレーション、どれもが絶妙に絡み合って極上のエンターテイメントを作り上げていると思う。それぞれについて語り出せば切りがないが、ここでは撮影・カメラワークについて少し触れておこうと思う。

面白いのは、映画中にたまに登場するすごーく長い1カットである。
有名なのが、主人公ヘンリーがカレンと行きつけのレストランに入るシーン。この何気ないシーンが撮影の力でとても面白くなっている

まず、2人がレストランに到着する。お店の前には行列が出来ているが、2人は行列には並ばず裏口から入る。店員も特別な客だと理解しているようだ。ヘンリーは通路にいる店員にお金を渡しつつズンズン中へ進んでいく。厨房を通り抜け、2人はお店のフロアに到着する。するとフロアの中央にヘンリー専用の特別な席が用意され、そこに2人が腰をかける。目の前には愉快なショーが繰り広げられている。
と、驚くことにここまで1カットだ。

この長い1カットは、主人公ヘンリーの生き方を象徴するシーンになっている。行列に並ばず裏口から入る。このさりげないシーンが撮影の力によって意味のあるものになってしまうのだから、恐れ入る。これをわかって見るとまた面白い。



ギャングの楽しさと恐ろしさ

とにかく、前半では"グッドフェローズ"の3人がやりたい放題やるのがとても楽しい。
気に入らない奴は殴る。もっと気に入らなかったら、殺す。そりゃあ僕だって、たまにはぶん殴りたい奴もいるし、ぶっ殺したい奴だっている。しかしそんなことを現実でやったらしばらくは映画生活ともおさらばなわけで、歯ぎしりしながら我慢しているわけだ。そんな日頃の鬱憤を彼らが晴らしてくれるようで、僕はとても楽しかった。

しかし、当然ながらギャングの楽しさだけではなくゾッとするようなシーンも用意されている。例えばバーで青年が撃たれるシーンなどだ。ほんの気まぐれで失われる命と、それを特に気にもとめないギャングに恐ろしくなる。このシーンは映画会社からカットを要請されたそうだが、監督が止めたのだとか。僕はこのシーンがあって良かったと思っている。

主人公ヘンリーは決してギャングの親玉でもなんでもないが、彼の視点からギャングの全てが伝わってくるようだ。楽しさ、恐ろしさ、ギャングの掟、などなど。それらをひっくるめて楽しめる。



監督自身もパクるほどこの映画は面白かった

クライマックスになると、テンションの高さもMAX。
素早いカット、ロックンロール、次々と移動する舞台。ヘンリーは完全にドラッグでハイになっており、ヘリコプターに追われながらも家で料理のソースをかき混ぜるという謎の行為を繰り返す。この辺りの勢いが最高に楽しい。

ラストまで一気に突っ走ってきた「グッドフェローズ」だが、ある出来事を境にピタリと静かになる。それまで激しかったBGMも鳴りを潜め、忙しかったカットも落ち着き、主人公のナレーションだけが静かに響く。ヘンリーの身に何が起こったかは実際にご覧になって確かめて頂きたい。
極めつけはラストシーンである。これがヘンリーの人生において何を意味しているかは説明するまでもないだろう。

実在のギャングを題材に、ここまで映画的に楽しく仕上げてしまったのには脱帽する。
マーティン・スコセッシ監督自身、この映画独特のテイストが気に入ったらしく、後に「グッドフェローズ」に酷似した「カジノ」という映画を作る(こちらもオススメ)。自分でマネしてしまうほど面白かったということだろう。

例えこれを読んでもまだ「グッドフェローズ」に興味が湧かなかったとしても、騙されたと思ってご覧になってはいかがだろうか。冒頭わずか3分で映画に惹き込まれること間違いなしだ。



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これは騙されそう
88ヶ月前
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そうでしょう、そうでしょう
88ヶ月前
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レビューを見てとっても観たくなりました!
明日早速レンタルしてきますっ!(`・ω・´)
88ヶ月前
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おお、それはとても嬉しいです。ありがとうございます!
また感想も聞かせてください(笑。
88ヶ月前
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ネットだからこそ語れる映画だなあ
リアルでこんな感想言ったらドン引きw
79ヶ月前
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そうかもしれないですね(笑
79ヶ月前
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ゴッドファーザーみたいにカッコつけてなくて、マフィアのチンピラ感がよく出てるし、テンポもカメラワークもほんとに素晴らしい。
70ヶ月前
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そうですね。
「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」も似たようなテンポで作られていましたね。
69ヶ月前
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キアヌ混じっとるぞ
28ヶ月前
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