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  • 歌ってみたの編集、個人的にこだわった所を説明したい!(リバーブ編②)

    2021-08-19 21:17
    【前回の記事】
    歌ってみたの編集、個人的にこだわった所を説明したい!(リバーブ編)

    前回の記事で、「反響をほとんど残さないリバーブで、それほど広くない空間を演出してみた」と解説しましたが、オケになじませる工夫としてもう2つのプラグインを使っているというところで終わりました。

    今回はその2つが何かについて語っていきたいと思います。






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    この記事では、歌ってみたのmixのノウハウを提供する意図はありません。
    本当に単純に、「個人的にここをこうやってこだわったよ」ということを伝えたいだけのものです


    全く知らない人の為に、なるべく基本を説明しつつ、それを踏まえた上で私がいかにこだわったかを偉そうに力説する。



    それが趣旨でございます。


    歌ってみたの編集、個人的にこだわった所を説明したい!(基本の説明編)
    より




    インサートとセンドリターンの違い




    一番最初に投稿した、
    歌ってみたの編集、個人的にこだわった所を説明したい!(基本の説明編)
    にて、
    「インサートと書かれている場所に、先ほど言ったプラグインをいくつか設置したりして、トラックごとの音色を作っていくのです。」と書きました。

    でも実は、プラグインを扱える場所はインサートだけではなく、
    センドリターンという場所もあるのです。ここで、インサートとセンドリターンの違いについて軽くご説明しましょう。





    インサートは、元の音に対して直接エフェクトをかけるものです。
    つまり、ボーカルに対してリバーブ効果を発揮するプラグインを入れたとしたら、
    「リバーブのかかったボーカルの声」という、″ひとまとまり″となった音で出力されていきます。

    色眼鏡に例えると分かりやすいかもしれません。
    赤色のフィルムを貼ったグラスをかけると、視界が赤くなりますよね。
    その赤の度合いが強ければ強いほど、視界もそれに伴ってより強い赤となることはイメージできると思います。

    インサートとはつまりそういうことです。
    元の音自体がエフェクトを通した音に変化しているため、そのプラグインの設定を変えるということは元の音にも影響を与えるということになります。


    これに対しセンドリターンは、元の音に、エフェクトのかかった音が混ざって出力されるのです。
    もっと単純に言ってしまえば、元の音と、エフェクトのかかった音がそれぞれ独立している状態になります。

    先ほどの例え話でいくと、インサートが両目にフィルムを貼っているのだとすれば、センドリターンは片目だけにフィルムを貼っていることになります。
    片方の色合いをどれだけ濃くしても、何も貼っていない方にはなんの影響も及ぼしません。

    つまり、元の音を保った状態で、エフェクトのかかった方の音も流すということです。





    インサートとセンドリターンの違いを踏まえてこちらをご覧ください。
    前回はインサートにさしているMixVerbというプラグインについて説明しましたが、
    センドにはRoom Rverbという、別の種類のリバーブのプラグインを指しているわけです。
    こちらの設定の詳細については割愛しますが、実はインサートに刺さったMixVerbで作られた反響音の後ろで、Room Reverbによる反響音も後ろでうっすらと鳴っているのです。
    イヤホンなどでよくよく聴いていただけると分かると思います。

    センドで鳴らすリバーブに関しては、あくまでもオケになじませるという意図で挿入しているので、MixVerbで設定したような「狭い空間」ではなく、それ相応のサイズ感にしています。

    このように、インサートとセンドでリバーブを分けることにより、
    オケになじませつつ空間を演出する、という試みを行ってみたのです。






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  • 歌ってみたの編集、個人的にこだわった所を説明したい!(リバーブ編)

    2021-08-15 23:30
    【前回の記事】
    歌ってみたの編集、個人的にこだわった所を説明したい!(コンプレッサー編)


    前回では、コンプレッサーのこだわりについて語りました。

    今回の記事では、コンプレッサーで作った迫力を更に生かすために、リバーブではどんな処理を行ったか、についてご説明させていただきます。

    あと、今までの記事は少し長くなりすぎてしまったかなと思いましたので、今回は短めにまとめてみました。








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    リバーブについて





    リバーブとは、音声に空間の広がりを感じさせるためのエフェクトです。
    具体的にどういうことかと言えば、お風呂やトンネル、学校などの体育館などで声を出す時のことを思い浮かべていただくと分かりやすいかと思います。

    お風呂で歌うと声が響いて、心地よく感じられることが多いと思います。お風呂の広さはさほど広くないことが多い為、反響する時間は短くなります。

    トンネルの場合、声を出してみるとかなりくぐもった声質で反響します。トンネルの距離が長いほど、遠くの方にまで長い時間をかけて反響していきます。

    体育館だと声は響きますが、お風呂やトンネルなどと比べると幅が広い分、声の広がりも大きくなります。そのため一人だけで声を出した場合、反響の大きさに比べて声量が足りないと感じられるかもしれません。しかしその分、全校生徒で本気で合唱などをすると相応の迫力が出ることもあります。

    では、家の中や自分の部屋で声を出すとどうでしょうか。
    もちろん部屋の構造や広さなどにもよりますが、多くの家の場合、殆ど反響しているようには聴こえないのではないでしょうか。
    なぜかと言えば、家具や衣類、畳など、音を吸収してしまうものが多く存在しているので、反響する成分が殆ど残らないのです。
    引っ越し先の内見や、引っ越す際に荷物を片付けた経験がある方ならわかるかもしれませんが、家具がある場合とない場合とで、かなり反響の仕方が変わります。

    これらの例から分かるように、空間の環境によって反響の仕方は様々に変化するわけですが、この様々な反響というものを再現することができるプラグインが、リバーブとしてDAWにも備わっているのです。

    その中でも、まずはこちらのMixverbからご説明したいと思います。



    Mixverb



    こちらはStudio one 5 proに予め入っているプラグインですが、リバーブ系のプラグインの中でもかなり簡易的に操作できるものとなっています。
    今表示しているのは、サビ以外を歌っているボーカルに挿入している設定です。




    まず左のPre-delayですが、これは元の音からどれくらい遅らせて反響音を付け加えるか、というものです。これを多く回せば回すほど、声を発してから反響音が聞こえるまでの時間が長くなります。

    そして中央のSizeはその名の通り、反響の大きさを変えることができます。すなわちこれは自分のいる空間の広さと言い換えることができます。

    そして右のDampingは、反響している時間を決めるものです。
    Dampingのパーセンテージが大きければ大きいほど、反響する時間が短くなります。


    さて、この画面で見て頂くとわかる通り、Dampingは100%に設定しているわけですけれども、これはつまり反響をほとんど残さないようにしているのです。

    実際に聴いていただけると分かると思うのですが、私の声に対してふわっとした広がりがあるものの、それがトンネルや体育館のように、時間をかけて残るようなことはなく、すぐに消失すると思います。

    なぜこのような設定にしてみたかと言うと、それは前回の記事の最後らへんでご説明したように、「それほど広くない空間」というのをここで強調してみたかったからなのです。

    また、Pre-delayを早めに設定していることも同じ理由です。声を発してからそれほど時間を要することなく反響が聞こえ始めるということは、それだけ壁が近いということになります。

    この二つの設定で、私のイメージした「それほど広くない空間」というものを演出してみました。


    では、それさえ演出できればいいかと言えば、そうでもありません。これだけだとオケに対してあまりにもボーカルが浮いて聞こえてしまうからです。
    これをオケになじませるための工夫として、実はあと二つのプラグインを挿入しているわけですけれども、そちらはまた次回にお話ししたいと思います。















  • 歌ってみたの編集、個人的にこだわった所を説明したい!(コンプレッサー編)

    2021-08-12 18:38

               【前回の記事】
    歌ってみたの編集、個人的にこだわった所を説明したい!(基本の説明編)



    前回では、こちらの歌ってみたのmixでこだわった所を説明するにあたって、基本の説明だけざっくりと行いました。

    この記事では、前回で説明の途中となったコンプレッサーで何をこだわったかについてお話したいと思います。







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    コンプレッサーで音のダイナミクスを調整





    こちらが、上に紹介させて頂いた曲をmixしたときの、サビ以外を歌っているボーカルに設定したコンプレッサーの画面です。
    前回お話した通り、コンプレッサーとは音を調節する為のプラグインです。
    ミュージシャンのCDやMVの歌を聴いている際に、サビで急にボーカルの声が大きくなったり、AメロBメロで声が小さくて聴こえなかったりといったことが起こらないのは、声量をなるべく一定に保った処理が施されているからであり、その為の調整を行うプラグインの代表的なものがこちらのコンプレッサーにあたるわけです。
    副タイトルにある「音のダイナミクス」とは、音量差のことを意味するのです。

    ちなみに、僕の使っているコンプレッサーはDAWソフト「Studio one 5 pro」の付属のものです。





    コンプレッサーを使うにあたって、まず録音した声の音量を全体的に上げなくてはなりません。なぜなら、最初に録音した段階ではかなり小さめな音で録音しているからです(理由については割愛させて頂きます)。

    全体的な音を上げるには、画面右のMakeupと書かれたつまみを操作します。
    この画面では15.12dB(デシベル)となっていますね。つまり音量を15.12dB上げたということになります。
    もちろん、ただ音量を上げただけではいけません。
    ここままだとまだ音量差(ダイナミクス)が大きすぎて、サビでビックリするか、もしくはAメロBメロで何言ってるか聞こえないか、どっちかになってしまいます。

    その音量差をなるべくならすにするために、今度は画面左の二つのつまみを操作します。
    上のつまみのThreshold(スレッショルド)では、どこから音を下げ始めるかを決めます。
    -26.80dBと書かれているということは、私の声が-26.80dBを超えたあたりで音量を下げ始めるということになるのです。

    続いてその下のつまみ、Ratio(レシオ)では、スレッショルドで決めた値を超えた音をどこまで下げるかを決めます。

    デジタルの世界では、0dBまでが綺麗に記録できる最大音量という基準になっています。0dBと聞くと、一見ボリュームが0で何も聞こえないということをイメージしてしまうかもしれませんが、実はデジタルの音声データにおいてはそうではありません。テレビやスマートホンの音を調整するとき、0dBにしたら何も聞こえませんが、あのときのdBというのは人間にとってどの程度聞こえるかを基準にしたものです。物理空間である自然界において、人間に聞こえないところを0dBとした考え方なだけなのです。しかし、情報空間であるデジタル世界においては違います。0dBまでは処理できるが、それ以上音を大きくすると音が割れたり歪んだりするのです。単純に、デジタル内での捉え方が違うと思っていただければ構いません。




    アタック、リリースで迫力を調整





    さて、私が一番伝えたいこだわりポイントはここからです。

    Envelope内になる2つのつまみですが、まず左はAttack(アタック)といって、
    レシオで決めた値に音を下げるまでの時間をここで決めます。
    つまり、スレッショルドの値を超えた音を素早く下げるか、遅めに下げるかというタイミングをここで決めているのです。


    タイミングがそんなに重要か?と思われるかもしれませんが、実は曲の世界観を作り上げる上でかなり重要なのです。

    なぜなら、このタイミングによってボーカルの迫力が変わるからです。

    簡単に言ってしまえば、
    音を下げるタイミングが早いということは、声量がスレッショルドの値を超えた瞬間に音を下げるということです。つまりボーカルが平坦に聞こえやすいです。

    逆にタイミングが遅いということは、スレッショルドの値を超えて少し経ってから音を下げるのです。すなわち、一瞬だけ大きめの音を挟んでいるということになります。

    全ての音が下がっているのと、一瞬だけ大きめの音を挟んでから下がるのとでは、後者の方が迫力がありそうなのがイメージしやすいでしょうか。

    こちらの画像では、アタックを49.9ms(ミリセカンド)と設定していますが、これはつまり声量がスレッショルドの値を超えてから、0.0499秒後に下げるということです。
    これはどちらかと言えば遅い方です(本当は比べた上で判断しないと意味がないのですが)。


    ※ちなみに右のRelease(リリース)ですが、
    これは超えた音を下げてから、音がもとに戻るまでの時間を決めるものです。
    アタックがスレッショルドの値を超えた音にアプローチをかけるものであるのに対し、
    リリースとは、スレッショルドの値を一旦超えてから、また下回った音に対してアプローチをかけるものです。
    長くなりすぎてしまうので、こちらを詳しく語るのは今回はやめておきます<m(__)m>



    ではここから具体的に、なぜ遅めに設定するというこだわりを入れたかを説明していきます。

    私がこの曲に関してアタックを遅めに設定した理由は、オケにあります。

    この曲って、最初かなりシンプルな音から始まりますよね。

    冒頭からバーンというシンバルと同時にドッドッドッド... というドラムと、一本のベースから始まるわけですけども、まずそこで緊迫感を感じました。

    そして途中でまたシンバルがバーンって鳴ったかと思うと、今度はピッピッピッピ・・・というリードが入ってくるわけですけども、このリード音は奥行きがあるような音だったのです。

    正確な言い方をすれば、リード音が鳴り終わった後にもディレイとして、同じ音が遅れて山びこのように聞こえていたわけです。それも、その山びこが左右に聞こえるのではなくて、奥に響いていくような聞こえ方です。
    作曲者様が本当にディレイという意図で効果を付けていたかはわかりませんが、私は「あ、ドラムとベースは割とドライな音だったけど、実は奥行きがあるんだな」って思ったんです。


    で、その次はピアノが入ってくるわけですけれども、このピアノもまたミソでして、
    高音域の成分が少なめな音だったわけです。

    どういうことかと言えば、グランドピアノをコンサートホールで弾いた場合って、きらびやかな音が響くっていうイメージがありますよね。
    もちろんそれはホールが意図して響くように設計されているというのもあるのですが、基本的に空間が広いと音の高音域が豊かに反響して聞こえます。

    しかしこの曲で聞こえてくるピアノというのは、グランドピアノの音でありながら煌びやかな音ではないわけです。つまり、そこまで広い空間ではない、ということです。

    「空間があるんだったら全部の楽器を響かせるべきじゃないか」と思われるかもしれませんが、おそらくですけど、全部の楽器に空間系のエフェクト(リバーブなど)をかけてしまえば、一つ一つの楽器の輪郭がぼやけてしまいます。
    もちろんそういう演出もあると思いますけど、この曲に関しては、リズムを刻むドラムとベースの輪郭を保ったうえで、リードで空間を演出していると思ったのです。

    極めつけは、サビに入る直前の、「ジャンッ ジャンッ ジャンッ」というところです(安直な表現ですみません;)。
    ここではしっかり、ピアノだけは一定の間隔で反響するのがわかります(ディレイ)。

    だからこそ、ボーカルによってその空間をより具体的にすれば、私の感じた緊迫感を伝えることができるかもしれない。

    そういう意図からまず初めに、コンプレッサーのアタックを遅めに設定し、迫力を作ってみたのです。そうした方が、空間で歌っている生々しさをより伝えられるからです。




    これが、空間を演出するうえでの第一段階です。

    リバーブなどについては別の記事で述べたいと思います。



    ※2021年8月19日より追記

    アタックを遅めに設定することで迫力がうまれ、説得力を増したボーカルになる効果を生みますが、逆にアタックが早いと単にダメかと言えばそうではありません。
    例えば、曲のビートの一環としてボーカルをなじませたい場合にはアタックを早く設定し、曲全体として一体感を持たせることはあります。

    例を挙げると、過去にアップした『シニカルナイトプラン』がそれに当たります。