松智洋&StoryWorks「メルヘン・メドヘン【4】」限定版
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松智洋&StoryWorks「メルヘン・メドヘン【4】」限定版

2018-04-28 09:59



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    極度な人見知りで、物語の世界にばかり浸っていた少女葉月が、偶然「原書使い」と呼ばれる魔法使いになり、同じ「原書使い」の静たちと「ヘクセンナハト」という「原書使い」同士の競技会に挑む姿を描いたラノベ、「故」松智洋先生&StoryWorksによる「メルヘン・メドヘン」(オーディオドラマ付き限定版)も今回の第4巻をもって、一先ず完結です(泣)

    卑劣な罠を張り巡らし、「ヘクセンナハト」で葉月たち日本校を窮地に陥れたアメリカ校のリンでしたが、静の規格外な「世界魔法」である「月世界」によって惨敗。
    さらに、その敗北によって、これまでアメリカ校を巡って行われてきた悪事の数々と、リンの黒幕として暗躍してきたリンとアンジー姉妹の養父ジェイムズ・デイヴスの存在が明らかに。
    一方、「ヘクセンナハト」では、これまで静の母や日本校学園長を含む日本チームに一度敗れただけで連戦連勝してきた強豪の「魔弾の射手」アガーテ率いるドイツ校と、「聖剣」アーサーを戴くイギリス校の試合が行われ、結果はイギリス校の圧倒的勝利で終わるかと思った寸前に、まさかのイギリス校による「棄権」宣言によりドイツ校が勝利してしまいます。
    そんな状況の中、葉月は「ヘクセンナハト」の後の自分の将来についてや、偶然出会って親しくなったアガーテから自分の原書である「シンデレラ」の来歴を聞いたことで、いろいろと悩むことが増えていき、静の方も、アーサーたちに呼び出され、来たる「破滅」を避けるための「予言」に基づき、協力を請われ、さらにはそのため「予言」のイレギュラー(!)である葉月とは距離を置くように言われてしまいます。
    また、アメリカ校を巡る悪事は、黒幕と目されたジェイムズ・デイヴスさえも傀儡であったことが明らかになる一方で、拘束されていたリンがルーシーとともに脱走、行方不明となる事件が発生する中で、日本校とドイツ校の「ヘクセンナハト」が強行されますが、その開会式にリンが姿を現わし、彼女の手によって真の黒幕たる、7年前に静の母が亡くなった元凶である最強魔法獣「暴食」が再来し、開会式が大混乱する中で、あろうことかアガーテが「暴食」に食べられてしまい、さらには食べられようとしたリンをかばってアンジーも食べられてしまうという最悪な事態になってしまいます。
    そして、辛うじて「暴食」から学園内に避難した葉月たちでしたが、彼女たちは「暴食」に食べられたアガーテが今度が禍々しい魔物となって自分たちに襲い掛かるという信じがたい事実に直面しますが、そんな彼女たちの前に、アーサーたちが現れ、自分と静を始めとする「予言」に示された二人の王と十二人の騎士の力をもって「暴食」を滅ぼすことを宣言します。
    しかし、葉月たち静以外の日本校メンバーは「暴食」との戦いに参加することは許されず、地道な救護などの後方支援をすることになってしまいますが、そんな中で葉月自身はアーサーの「予言」が「暴食」を倒す一方で、アガーテやアンジーといった「暴食」の犠牲となった人たちを「切り捨てる」ことに疑問を持っていたところ、相変わらずおバカで賑やかで仲間想いのロシア校の面々と出会い、さらには「シンデレラ」と直接言葉を交わすことで、「シンデレラ」と先代の原書使いが体験した複雑な経緯と想いに触れ、「予言」にはなかった自分でしか出来ないことに挑むことを決意します。

    ということで、二転三転する展開の中で、葉月、静、アガーテ、リン、アーサー、マリアといった「原書使い」の少女たちのそれぞれの想いがしっかり描かれていて、さらには極上の百合エンド(!)が味わえ、大満足でした!!!
    また、葉月に重要なアドバイスを与えられたのが、一見能天気なロシア校の面々だったというのも印象深いですし、「シンデレラ」の先代の原書使いが誰で、何を願ったのかという点が曖昧なままなのも却ってよかったように感じました。
    あと、この作品で唯一仲間も魔法も信じない正真正銘の悪党キャラと思われたリンに救いを、自分の呪われた魔法のため周りと距離を取らざるを得なかったアガーテに自分を肯定する力を、良くも悪くも人間離れしていたアーサーに人間らしさを、それぞれ与えてくれた展開の妙も素晴らしかったですね。

    それにしても、この作品、最近流行りのラノベでの、説明的な長ったらしいタイトルの平凡極まりない人間が異世界にいったら万能な人気者な主人公になって万事解決といったお手軽さとも、マニア受けするようなやたらダークな救いのない鬱展開とも、一線を画し、主人公であるはずの葉月が静を始めとする少女たちを振り回すのではなく、背中を押す、あるいは傍に寄り添う側の存在でありながら、最後はしっかりハッピーエンドで締め(あと現実の世界ともつながっていて、そちらでの義理の姉や母との遣り取りも軽視されていないとか)というところがすごく貴重のように思えました。

    元々この作品は、ありがちなボーイ・ミーツ・ガールとして構想されたそうですが、最終的にガール・ミーツ・ガールに変更されたのは大正解だったと思いますし、原作者である松智洋先生が亡くなられた後もその想いをお蔵入りにせず、(「白紙の頁」のままではなく)きちんとした物語として世に出してくださったStoryWorksの皆さんには改めて敬意を表したいと思います。

    「メルヘン・メドヘン」は今回で(一応は)完結ということですが、メドヘンたちの世界がまた違う角度から描かれる可能性もあるということなので、気長に待たせてもらいたいと思います。
    本当にお疲れ様でした!!!

    あ、あと、付属(?)のオーディオドラマのほうは、本編よりもぶっちゃけたドタバタ(?)でちょっと百合風味になっていて、こちらも気軽に楽しめてGJでしたよ~(笑)


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