岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/09/06

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2017/08/20配信「みなもと太郎先生に教わる『マンガの歴史』」の内容をご紹介します。
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2017/08/20の内容一覧

ディズニーに「かわいい」を添加した手塚治虫

岡田:「マンガとアニメ」について聞かせてください。
 『ケトル』という本の横山光輝特集の中で、「横山光輝という作家がどんなにすごいか?」ということで、「荒木飛呂彦さんの『ジョジョ』というのは、『バベル2世』の影響で描かれている」と書いてあったんですよ。これは、荒木さん自身も仰られているという話なんですけど。
 こういうふうに「マンガがマンガに与えた影響」というのはよく話題に出てくる。
 次に、手塚治虫を語る時にも、「ディズニーから強く影響を受けている~」という話もよくされる。つまり、「アメリカの昔のアニメが日本のマンガに与えた影響」も語られます。
 だけども、「現代のマンガと現代のアニメの関係」というのは、ほとんど語られない。 でも、例えば『進撃の巨人』って、『エヴァンゲリオン』の影響下にあるような感じじゃないですか。

みなもと:確かに、まだそこまで話がいってないね。あんまり数が出過ぎたせいだ。はい。

岡田:ディズニーの影響は語られるのに、1970年代80年代くらいに日本のアニメがマンガ界に与えた影響というのは、なんで語られないんでしょうね?

(中略)

岡田:例えば、みなもと先生は一時期、『まどマギ』にハマられてましたけど。

みなもと:ハマったハマった。

岡田:まどマギは、マンガ家・みなもと太郎には影響を与えているんですか?

みなもと:影響を与えたと言われると、ちょっと困ってしまうけど。
 ハマったから、面白がって『風雲児たち』の中にゴチョゴチョつっこんだら、えらく反響があって。「あのジジイは何してやがるんだ!?」というようなことは言われましたね。
 劇場版も老人割引で見に行ったから。

岡田:老人割引で『叛逆』を見た!ここ2年ほどコミケに新刊を出されていないと思うんですけど、この『マンガの歴史』を書いていたせいですか?(笑)

みなもと:これの「せい」って言っちゃいけない(笑)。

岡田:「コミケに参加するようになった」というのは、「まどマギはマンガ家・みなもと太郎に影響を及ぼした」と言えるんじゃないですか?

(中略)

みなもと:あの頃は、そういうマンガだけのマニアの人たちは、マンガを読むことに忙しくて、まだアニメを把握できてなかった。「萌え」を理解するまでに、随分と時間が掛かったんですよ。
 萌えが出てきた時に、これをどう理解していいかわからなかったがために、そこから先を語らなくなった人たちはいっぱいいますよね。あれを乗り越えないと、アニメについては語れませんから。
 だからこそ、「かわいいとは何か?」という原点についての話になるわけで。にもかかわらず、手塚治虫の「僕はディズニーからすべてを学びました」という言葉を鵜呑みにしているから、今、わからなくなって、そこから先に行かないんです。
 かわいいはディズニーにはありません! これにみんな気付いていないんだ!

岡田:ほお! つまり、手塚さんはディズニーをそのまま導入したつもりで、実はディズニーの中に「かわいい」を添加しているんですね?

みなもと:添加している。
 それこそ、この『マンガの歴史』の中でも書いていますが、日本には、円山応挙の時代から「かわいい」があるんです。そして、日本にしかないんです。かわいいの文化は。

岡田:やった! いい話になってきた!(笑)

みなもと:この前、日本の芸人さんがテレビで外国のオタッキーなお店に入っていくところを見たんです。ほら、キャベツ畑人形とか、いろいろ懐かしのオモチャが置いてあるんですけど、どれを見てもかわいくない。
 「何を見てもかわいくないのどうしてなのかしら?」って謎になってたんですけど、それは当たり前で。西洋には、いわゆる「かわいい文化」がないです。

岡田:ない。うんうん。

みなもと:だけど、日本では、これはもう本当に謎なんだけど、円山応挙の時代からスタートしています。「かわいらしくあること」を目的とした絵画というものが。円山応挙の犬の絵を発見した時に、私はもう、ビックリしちゃったんだけども。

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