岡山不思議獣譚(05/17放送分)
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岡山不思議獣譚(05/17放送分)

2014-06-03 00:09



     ――1990年代、岡山県北部で聞いた話。



     昭和の初め、初秋の頃。

     

     ある風の強い夜、けたたましい物音で目を覚ました。


     何かが屋根に落ちてきたらしい。


     物音は屋根の上でガタンゴトンと15分ほど続いた後、

     やがて地面に落ちたらしく、

     今度は、庭に置いていた物干し台が倒される音を耳にした。


     あまりの騒ぎに家族全員が起きだしていたのだが、

     おそるおそる雨戸を開けてみると、

     か細い電灯の光に照らし出されたのは、奇妙の獣だった。


     大きさは子犬ほど、顔は猿に似て、

     しかし手足となるようなものは何もついていなかったという。


     獣は人の姿を認めると、欠けた身体を器用に動かして夜の森に消えていった。


     怪異としてはそれで終わりだ。


     翌朝、日が昇ってから確認すると、何枚かの割れた屋根瓦が落ちていたほか、
     大きな衝撃を受けたのか、屋根の一部が陥没していたのが見つかった。

     
     ―――程なくして、その地域一帯には海水混じりの雨が降り、
     人々はあの獣の仕業なのだろうと噂し合ったそうだ。
     



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