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記事 25件
  • 特許から見える企業の課題と仕事

    2018-09-03 14:14  

     特許とは、特許法に基づいて出願人が権利化したい技術範囲を文書化したものであり、その実態は技術課題の課題解決方法を文書にまとめたものである。  企業での技術開発は利益追求を目的として行われるが、具体的には世の中に受け入れられる製品の開発やサービス創出のための研究開発が行われる。  ところで、課題とはマクロ的には企業の目標として設定されるものであり、ミクロ的には課題が細分化された上で、企業に関わる様々な人の業務として課題解決が実行されることになる。  このように、特許とは個々の企業が利益追求を目的として課題を設定し、その解決方法をまとめたものであるから、関心のある企業や製品カテゴリーに関連する特許を調べれば、企業が利益を創出するための根拠にアクセスすることが可能となる。  もちろん、特許を細部まで理解するには特許法が規定する「当業者」としての技術レベルが必要となるが、個々のレベルに応じた
  • 気になる企業の特許を読んでみよう!

    2018-04-03 01:34  

     「特許」は法律用語であり、Wikipediaによれば 「法令の定める手続により、国が発明者またはその承継人に対し、特許権を付与する行政行為」 となっている。  この場合の法令とは特許法である。  特許権付与までの実際の流れはこんな感じである。  発明者が自らのアイデアを明細書にまとめたものを特許庁に出願し、  出願から3年以内に審査請求を行い、  特許査定となれば発明に対して出願から20年間有効な排他的独占権が与えられる。  ゆえに、世の中のニーズに合致した発明であれば発明の対価として大きな利益を得ることも夢ではない。  特許権は製品の独自性を保護するものであるため、競争が激しい業界では特許権を巡って熾烈な競争があるのも事実であり、特許侵害が認められると販売差し止めや巨額の賠償金を支払わされることもある。  例えば先端的な4Kテレビのような規格に準拠した家電製品では、製品化に必須とな
  • CEATEC JAPAN2017で見た未来

    2017-10-20 02:51  

     2017年10月3日~6日に幕張メッセで開催された CEATEC JAPAN2017に行ってきました。  今回は私が見た中で面白いと感じたものをみなさんとシェアしたいと思います。新しい技術に触れながら、未来を想像するのはとても楽しい時間でした。 ■株式会社村田製作所(6981)チアリーディング部  チアリーディング部のパフォーマンスを見てきました。  身長36cm、体重1.5kgの小さな4体の可愛いロボットが「倒れそうで倒れない」「ぶつかりそうでぶつからない」統率の取れた動きを見せてくれました。  これは村田製作所の技術を応用したもので、体の傾きを「ジャイロセンサ」で測り、ボールの真上でキープするようバランスをとっているのだそうです。  「ジャイロセンサ」は自動車の横滑り防止装置に使われているとか。  また「ワイヤレスセンサネットワーク」では2つの発信機から出された超音波と赤外線を受
  • 企業評価は難しい

    2017-06-07 13:09  

     株式を上場していると結果として投資家から評価を受けて株価が日々変動します。  企業の評価は基本は業績の数字に基づくことは誰の目にも確かなことですが、尺度の大きさをどうするのかは投資家個々人で異なります。  PER、PBR、配当利回りといった尺度で評価された株価が一般的になっていることがまずは投資家の頭に入っているものと思いますが、これに時価総額の考え方や将来性、資産内容、ブランドなどの知的財産を加味しながら評価するとなるとなかなか一筋縄にはいかないことになります。  また、同じ業種であっても人気度や需給などによっても評価は異なります。  業種ごとにも評価の度合が異なりますのでことさら複雑な様相を呈することになります。  IPOしたばかりの企業は業績に対しての信頼性に不安が残りますが、それが下方修正されるか上方修正されるのかによって評価が異なってきます。  株式市場にはトヨタ(7203
  • 決算発表

    2017-05-15 15:20  

     3月期決算会社の前期実績と今期予想が徐々に出揃ってきています。  発表された実績を見ると、為替の影響を受ける輸出企業の第四四半期は概ね健闘していたとの印象ですが、その一方で、今期予想が思いのほか控えめと感じます。前提の円ドル為替も108円~110円が多く、売上増予想でも(様々な理由はあるのでしょうが)営業利益ベースでは減益予想をしている会社が多く見られます。  トヨタに至っては円ドルを105円前提として不透明要因も加味しているのですから、営業利益が20%もダウンする予想になっています。  資源価格などからも交易条件が前期と比較して特に悪化している訳でも無いはずですが、今年は政治面での不透明性が高く、地政学的リスクも高まっているなどの理由でしょうか?経営者が強気になり切れないムードを感じます。  株式市場では、その様な控えめな予想(今期減益など)が出るなり、あっという間に売り込まれ「こ
  • 就活生と投資家は似た者同士

    2017-03-08 15:36  

     今年も来年卒業の大学生の就活シーズンがスタートしました。  3月1日から表向きはスタートしたようですが、実際にはもっと早くスタートしていたと言えます。  大学に入学し約3年近い学生生活を終えて待っているのは厳しい就職活動。  とは言え人材採用難が言われる昨今だけに学生さんにとっては売り手市場となっていて、早く決まるケースが多くなっていると考えられます。  企業側ではできるだけ早いうちに良い人材を確保しようとしますのでこの時期から学生にアプローチして各企業で人材争奪戦が繰り広げられることになります。  就活生にとって社会人活動の第一歩となる就職先選びは長い人生の重要なスタートとなります。有名ブランドの大学生なら比較的就活はスムーズなのかも知れませんが、有名な大学ではない場合は希望の就職先に入るのはなかなか大変な場合もありますが、このところの採用市場は比較的順調に就活ができる状況になって
  • ファンドマネジャー、株を語る(6)

    2017-02-20 19:35  

    ■ファンドマネジャー、株を語る  0006 ☆☆ 1000年続く組織について 英国のオックスフォード大学は、世界的に有名な大学です。 少なくとも1090年代には講義が行われていた、といいます。 1000年以上、続いていることになります。 少なくとも、卒業生の方々や英国民は、 「オックスフォード大学にはこれからも末長く存在してほしい」 と願うでしょう。 一方、オックスフォードの学生は、数年間で卒業します。 学長は次々と移り変わりました。 学生も移り変わっていきました。だが、大学は受け継がれていきました。 そういう意味で、学長の資質というものが、 どれほど、大学の永続性に重要であったのでしょう? 大学のスピリッツ(精神)は、時間軸や個には依存しないもので なければならないのです。☆☆企業とは何か?? 企業にも大学と同様に存在意義があるでしょう。 社会への商品の供給者、新商品の創造者としての意
  • バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略 第15回

    2016-11-25 12:51  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 12月号連載記事■ナンバーワン企業その3 クレディセゾン ●金融には「安心・安全」が重要である  日本は、文献がはっきりしているだけでも、同じ「王朝」が、約1300年続く世界でも稀有な安定した国です。また3・11(東日本大震災)の直後、ファミリーレストランの店員の誘導で避難した顧客たちが、翌日以降、未払いの代金を支払うために続々と戻ってきたというとてつもなくモラルが高い国でもあります。  米国、英国、フランスなどの先進国といわれる国々でさえ、このようなときにはしばしば略奪や暴動が起こりますから、日本人の高いモラルに世界中が驚愕しました。  私が日本人であるという贔屓目を割り引いても、世界で最も安心して資産を預けることができる国は日本です。その次がスイスあたりでしょうか?  金融ビジネスにおいては、このような
  • 利子と利回り

    2016-10-27 14:55  
    ■有限の現実世界と無限の複利世界  全宇宙の原子の数は10の80乗を越えない程度であることが観測結果からわかっているそうです。  複利で1000年運用すれば、計算上、宇宙の原子の数を超える金銭価値が得られます。  1円のコインに原子が何個使われているかを考えれば、10の80乗億円のコイン(コイン10の80乗個)を実現することは不可能です。  ネズミ講は必ず破綻するのは、複利の世界が現実の世界とは全く違うからです。■複利計算  小さな塵も、積もり積もれば、山となる、といいますね。  株式投資では、将来の配当や業績の見通しが不確実です。  様々なリスク、つまり、不確実性があります。  それらは、期間が長ければ長いほど、積み上がっていきます。  公共性が高い事業には、国有化のリスクがあります。  この先、10年間は顕在化しないかもしれませんが、20年先、30年先はわかりません。  ですから、30
  • バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略 第14回

    2016-10-26 18:02  
    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 11月号連載記事 ■ナンバーワン企業その2 良品計画 ●日本発のブランド  良品計画という社名に聞き覚えが無くても、「無印良品」は大概の方がご存知でしょう。私は、かなり以前から「「無印良品」=良品計画は凄い!」と言い続けています。  例えば、地下鉄などの車内で若い女性が手に持つ紙袋。そこに書かれているブランド名や企業名がつい気になってしまいます。彼女たちが買い物帰りであれば、その店の商品が売れているということであり、紙袋が再利用されているのであればそのブランド(ロゴ)の紙袋が人前でも恥ずかしくない、あるいはそのロゴを見せびらかしたいということです。  そのようなブランドやロゴの大半が横文字(アルファベット)であり、カタカナ表記であることさえ稀です。ですから、「無印良品」と漢字で大書きされた茶色の紙袋を持って、