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katonさん のコメント

こうやって小説も配信できるなんてブロマガはすごいんじゃぁ~
No.1
131ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
     ***  放課後になっても、クラスのテンションは低空飛行のままだった。 「メルティちゃんがいない学校が、これほどつまらないものだとは!」 「まったくだね……。明日元気な姿が見られることを祈ろう」  御笠と佐伯はどんよりしながら語り合っている。たった一日でこれなのだから、二日、三日……一週間と続いたら、どうなってしまうのだろうか。 「ふたりとも、落ち込みすぎだって。元気を出しなよ」 「深見くんは転校してきたばかりだから、俺らがどれだけメルティちゃんに救われているかわかるまい」 「そうさ。まさに心の太陽だ。あの人を思うだけで僕は、僕は!」 「明日はきっと来るって」  零次は沈滞した空気の教室を抜けて、一足早く出ていた崇城に追いついた。 「あ、あのさ。これから先生の家に行ってみようと思うんだけど……一緒に来てくれないかな」 「私は早く帰りたいんだけど……」 「猫の動画は、ちょっと我慢して」 「そ、そういうんじゃないわよ!」  わりとごまかすのが下手な性格らしい。 「……なに、本当に無断欠勤かどうか、確認するの?」  メルティはただ休んだわけではない。彼女は先日逃がした襲撃者の残党に襲われ、そして……。  頼みがある……零次はあの電話でそう言われた。まずは自分のマンションに、崇城と一緒に行ってほしいと指定された。断られるわけにはいかない。なんとしても連れて行かなければ。 「崇城さんは先生のこと、気にならない?」 「昼も言ったけど、あいつがどうなろうと私の知ったことじゃないわ。……まあ、仕方ない。あなたをひとりで行かせるわけにはいかないから、付き合ってあげる」  零次はホッとして、メルティのマンションに向かった。何があってもすぐに対応できるようにと、崇城はすでに油断のない顔つきをしている。  まさかもう一度来ることになるとは。しかも自分から……そう思いながら、メルティの部屋の前に立った。隣人とすれ違うこともなく、周囲はしんと静かだった。 「……この中からは、メルティの魔力を感じないわね」  崇城はインターホンを鳴らす。二十秒ほど待ったが、当然、反応はない。 「家にいないのなら、いったいどこに」 「……崇城さん、これ」  ドアノブを捻ると、鍵がかかっていなかった。顔を見合わせる。 「この際だから、入ってみましょう」  無遠慮に上がり込む崇城。零次は慌てて後に続いた。  崇城は荒々しく扉を開け、部屋をチェックしていく。  ……零次はすでに知っている。この部屋からは一切の物音はせず、電気も付いてはいない。メルティの姿は影も形もない。 「いないわね。……私の魔力探知の範囲を超えるほど遠くへ、衝動的に旅行に出かけたとか?」 「……いや、それは」 「ええ、ありえないわよね。あなたを放ってそんなことは」  崇城は顎に手を当てて考え込む。 「まさかとは思うんだけど、昨夜の時点で殺されたか、あるいはどこか遠くにさらわれたか……。メルティに限って、誰かにやられたなんてこと……。でも、あいつは常に狙われている。あいつがいきなり姿を消したということは……何者かの手にかかった。どのような方法を用いたかはわからないけど、やっぱりそれが一番しっくりくるのかな」 「あ、あの……」 「だとしても、深見くんにできることは何もないわね。もちろん私も、校内での監視以外の任務をするつもりはないわ。どのみち手がかりがないんだし、おとなしくしているしかないのよ」 「……」 「確実に何かあるって思うわ。おそらく、あいつの身に何かがあった。でもそれを調べる術はない。事が起こるまではね。……さ、もういいでしょ。帰りましょう」  ふたりは部屋を出る。  そろそろだ。そろそろ、次のステップ。  零次は五体を強張らせ、心臓を加速度的にバクバクさせる。  間もなく、そのときは来た。 「うわ?」  ビクッとして後ずさる。見るからに凶暴そうな、子供が見たら泣き出しそうな、強烈なインパクトの黒い大型犬が、零次に向かって廊下を駆けてきた。 「犬……? 違う。こいつ、ただの犬じゃ……!」  とっさに身構える崇城。瞬時に、この前も見た炎を宿す魔法剣を右腕に帯びさせる。 「ま、待って、もうちょっと様子を……」  黒犬は急ブレーキをして零次の目の前に停まった。そのまま、低く唸りながら見上げてくる。  背中にバンドでくくりつけられているものがある。  レターサイズの封筒、だった。 「……手紙かしら。こいつ、メッセンジャーってこと?」 「そうみたいだ」 「誰が送ってきたっていうの。まさか……」  零次は慎重に封筒を手に取った。黒犬は来た道を速やかに引き返していく。  封を開け、中身……一枚の便箋を取り出す。 『我々は逆襲に成功した。  今、不朽の魔女は我々の手の中にある。  彼女を取り戻したくば、午前零時、学校のグラウンドまで来られたし。  深見零次の体内にあるエターナルガードと交換する。  来なかった場合、彼女の命は保障しない。』  零次と崇城は、その文面を食い入るように見た。  内容は非常に簡潔で、そのひとつ以外の解釈を許さないものだった。
【学園魔法ラノベ】オンリー☆ローリー!
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