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イラストストーリー第5話シナリオ掲載(オーディオドラマはチャンネル会員になってお聴きください)
エアコンのぬるい空気が眠気を誘う教室。
お昼休みのふんわりした空気に、とろとろとまどろみながらイツキくんはダルそうに机にもたれた身体を起こします。
『……ライブの疲れがまだ残っているのかな?』
腕や肩、太ももに残る疲労に、熱気にあふれたライブがよみがえります。小さなステージで、身体いっぱい使ったパフォーマンス、沸きあがる歓声、そして“あのコール”――
『ぼ、僕、ツバサちゃんのほっぺに…
ちゅ、ちゅ、ちゅーしちゃったんだよね……』
白くて、柔らかくて、ほのかに赤みをおびた、ツバサちゃんのほっぺたが間近に……。
「――ツキ、
お~い、イツキ!
イ ツ キ !!」
イツキ「うわぁあっ!」
ツバサ「おわっ!? ビックリした!」
気づけば、目の前にツバサくんの顔。
ツバサ「なにボケっとしてんだよ?
はやく弁当食べないと昼休み終わっちゃうぞ?」
イツキ「あ…もうこんな時間か」
ツバサ「最近、ボーっとしてること多いよな?」
イツキ「そ、そんなことない…よ?」
のぞき込むように近づくツバサくんの顔に、重なるのはツバサちゃんの笑顔。
『うぅ…ツバサとツバサちゃん……似てる?
ライブのことを何度も思い出しちゃうのもツバサと一緒にいるから…なのかな??』
そこまでわかっていて、いまだに気づかないイツキくん。でも、戸惑っているのは彼だけではないようで……
『イツキ…オレのこと見てボケーっとしてるし…。
も、もしかして、いいかげんオレだってバレたのか!?
――なら、こないだのチューって!????』
おたがいに顔を見合わせながら、次の言葉に迷う二人――先制を仕掛けたのは積極性にまさるツバサくんでした。
ツバサ「そ、そういや~イツキ
『CherryLips』ってアイドル知ってるか?」
イツキ「ぶはっ!?!?」
ツバサくん、大胆なキラーパス!
間隙を突かれたイツキくんは必死にとりつくろい態勢の立て直しを試みます。
イツキ「ちぇ、ちぇりーりっぷす??
し、知らないなぁ~? あはははは…」
『も、も、もしかして僕がアイドル活動していること
バレた!?』
あれあれ? 大胆すぎたパスはツバサくんの思惑とは大きく外れた方向に突き刺さり、ゲーム展開は思わぬ心理戦の様相に!?
イツキ「ど、どうしたの? とつぜんアイドルの話とか??」
ツバサ「今朝、ちかくで配られてた冊子に
記事が載っててーーーほら、ここ」
ツバサくんの切り札はクリスマス特集と銘打たれた街の情報誌。駅前の商店街の情報に混じって、サンタ風コスチュームの2人の“アイドル”の写真が掲載されています。
ツバサ「ご町内注目のアイドルユニットーーだって」
イツキ「へ、へぇ~~そうなんだ~
ほかのページにはナニが載っているの?」
ツバサ「隣はメイドカフェの紹介かな?
――でも、いまはこっち見てくれてよ。
CherryLipsの二人、オレたちと名前が一緒なんだよ。
気になるだろ?」
イツキ「ぜ、ぜんっぜん!! ままま、まったく!」
ツバサ「そんな、めいっぱい否定しなくても…
オレはカワイイと思うけどな~」
『あああ…オンナのコの恰好してる僕を見ないでぇ~!
絶対バレるぅううう!』
攻める手を休めないツバサくん。しかし、イツキくんが守ろうとしているゴールがそもそも検討ちがいなモノで……。
イツキ「ま、まぁ、ツバサちゃんはカワイイんじゃないかな…」
ツバサ「へぇ~、イツキはツバサちゃんが好みかぁ~」
イツキ「ニヤニヤしながら冊子を近づけてくるなっ!
ちかい、ちかいっ!」
ツバサくん、当初の目的をちょっと忘れ気味です。
ツバサ「で?で?
どんなところがいいと思うんだよ?」
イツキ「え? そ、それはーー
見た目もとびっきりカワイイと思うんだけど…」
ツバサ「うん、うん」
イツキ「明るくて天真爛漫ってカンジのところとか…」
ツバサ「なるほどぉ」
イツキ「ちょっと、お茶目なとことか…
ご、強引に見えても、いろいろとこっちのことを
考えてくれるところとか……」
ツバサ「へ、へぇ…」
イツキ「なにより、ライブ中のパフォーマンス!
キラキラした笑顔でその場の空気を
パッと華やかにしちゃうんだ!
本当にすごいよね!」
ツバサ「お、おぅ…」
あれれ、いつの間にか攻守逆転?
イツキ「――って、友だちが、
友だちが言ってた!」
ツバサ「そ、そっか、友だちが…ね」
イツキ「あれ? ツバサ、なんか顔紅いよ?」
ツバサ「いいから、早く弁当食べきっちゃおうぜ!
昼休み終わっちゃうぜ!」
イツキ「う、うん」
『イツキのヤツ、ほ…本人を目の前にしてぇ……。
ま、この様子ならまだ気づいてないな……はぁ…』
あわててお弁当を頬張るイツキくんの様子を見ながら、ほっとしたような、どこか残念なような、ツバサくん。
でも…イツキくんにも思うところはあるようで……。
『こうして改めて写真と見比べると……
ツバサとツバサちゃん……たしかに似てる…なぁ』
[つづく]
ストーリー:恵村まお・わたび和泉 / 脚色:Col.Ayabe
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オーディオドラマ「第3話」シナリオ掲載(オーディオドラマはチャンネル会員になってお聴きください)
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ツバサ「ワタシも着替えてくるね♪」
イツキ「う、うんっ、いってらっしゃい!」
金色のサイドテールをひるがえし、カーテンの奥へと姿を隠すツバサちゃん。「ふぅ」と一息、それは“切り替わり”のスイッチ。
ツバサ「あはは…ビックリした。
まさか半裸のイツキとシズカさんがじゃれてるとは。
……ごめん、イツキ
ちょっと――いやぁ、だいぶ見えてた。
イツキの“オトコのコ”ってトコロが」
シズカさんと絡みあうイツキの姿を思い出し、思わず笑ってしまう“ツバサくん”。自分の正体に気づかない、イツキくんの慌てように楽しいやら、申し訳ないやら。
ツバサ「とはいえ、“オンナのコ”に着替えてから事務所に
来るのってメンドーなんだよなぁ…時間かかるし」
学校の帰り道、イツキくんと別れたツバサくんは回り道をして“ツバサちゃん”にチェンジするのが日課となっていました。
ツバサ「でも――、決めちゃったんだもんな。
『CherryLips』を結成した、
初めてこの姿でイツキに会った、
あの日に――」
苦笑いしながらツバサくんが思い出すのは、あの日のコト――
◇◇◇◇◇
イツキ「ひゃっ、ひゃじめまして!」
ツバサ「はじめまして?」
ファンデーションをのせた頬をうっすら紅潮させて、早口にまくしたてるのは、はじめてのアイドル姿に緊張気味の“イツキちゃん”。同じくアイドル姿の“ツバサちゃん”との初対面なのですが……幼馴染に「はじめまして」とは?
イツキ「シシ、シズカしゃんから、一緒にユニットを組む
オンナのコが待っているから会いに行けって
言われたんだけど……あ、あなたが“ツバサちゃん”?」
ツバサ「う…うん」
イツキ「ぼく……じゃないっ、ワタシ、イツキです!
ふつっ、フツツカモノですが、よ、よろしくっっっ」
ツバサ「ちょ、ちょっと待って、イツキ!?」
イツキ「ひゃいっ! なんでしょうか!!!」
『イツキ…オレだってわかってない!?』
おいおい…シズカさんはどんな説明をイツキにしたんだ(いや、説明をしていないのか?)。
ツバサくんの頭に浮かんだのはイタズラっぽい表情でウィンクする小悪魔シズカさん――「てへぺろ▼」
『イツキもイツキだろ……“ツバサ”って名前を聞いていたのに、なんでわからないんだよ』
さあ、困った…と眉をゆがめるツバサくん。出来損ないのVtuberのような、ぎこちないモーションをつづけるイツキくんに、なんて説明したらいいものか……。
『“オンナのコ”のツバサちゃん……かぁ』
――と、小悪魔シズカさんの横に別の影がチラリ?
『“オンナのコ”のツバサちゃん……?』
ツバサ「あっ――」
小悪魔シズカさんの影からあらわれたのは小悪魔ツバサくん。
シズカさんより、もっともっと悪い笑みを浮かべてツバサくんの耳元でなにかを囁くのでした。
ツバサ「ごめんね★
ちょっと緊張がピークに達してヘンな声出ちゃった。
えへへっ。
――はじめまして、イツキちゃん!
ワタシがあなたと一緒にユニットを組むツバサです。
一緒に素敵なアイドルになろうね♪」
◇◇◇◇◇
ツバサ「お着替え完了しました~♪
イツキちゃん、どうかな? おかしなところない?」
イツキ「うん、今日もばっちりだよ」
ツバサ「えへへ、よかった♪」
あの日からはじまった不思議なカンケイ。
ここではツバサくんは“ツバサちゃん”――小悪魔の囁きからはじまった不思議な空間。
ツバサ「今日はイツキちゃんにプレゼントがあるんだ」
イツキ「プレゼント?」
ツバサ「じゃーん」
イツキ「それって……リップ?」
ツバサ「そう、私のオソロイなのでーす♪」
イツキ「おそろい!?」
ツバサ「ユニット名が『CherryLips』なんだし、
リップがお揃いだったら素敵でしょ♪」
イツキ「それは…そう、かな?」
まだまだメイクに恥ずかしさをおさえられないイツキくん。お揃いと聞いて、思わず目線をそらしてしまいます。
そんなイツキくんの表情に、ふたたび姿を見せた小悪魔ツバサくんがニヤリ。また、よからぬことを囁きます。
ツバサ「――じゃあ、塗ってあげるね▼」
イツキ「ええっ!? い、いいよっ、自分でやる!」
ツバサ「ワタシがやりたいの!」
ぐいっと鼻先まで顔を近づけて、お願いする“ツバサちゃん”に、イツキくんは従うしかありません。
イツキ「う……じゃあ、おねがいします」
ツバサ「は~い♪ じゃ、お口『ん~』ってして」
イツキ「んぅ~~~~」
目を閉じ、唇を突き出すイツキくん。
あらわになった肩が緊張でぷるぷると震えて……。
ツバサ「あははは、目は閉じなくても大丈夫だよ」
ぬりぬりぬり…ぬりぬりぬり…。
『イツキ、すっごく堅くなってるw
こういう反応が楽しくて、ついついからかっちゃうんだよね』
それは小悪魔の囁きではなく、ツバサくんのつぶやき。
『ツバサちゃんが、オレだって知ったら、どんな顔をするのかな、イツキはw』
ツバサ「はい、できたよ~」
イツキ「あ、ありがとう」
ツバサ「鏡見て。ほら、ワタシの唇とおんなじ色」
イツキ「ほ、ホントだ。なんか照れくさいね」
ツバサ「……そう?」
鏡に映るのは、頬を寄せ合う2人の顔。
『うーん、オトコ同士ではこんなことできないよなぁ』
コロコロとかわるイツキくんの表情が、ツバサくんには楽しくてしかたありません。
『イツキのこんな顔が見られるのなら、まだまだバラすのはもったいないな。もうちょっと続けてみるかw』
ツバサ「――ま、オレのことにまったく気づかない
イツキの天然ぶりは心配になるレベルだけどなぁ……」
イツキ「え? 何か言った?」
ツバサ「ううん★ なんでもないよ!
それじゃ、今日のライブもがんばろ~!」
イツキ「お、お~~」
『次はどんなことをイツキと楽しもうかな?
ふふふ…アイドル・ツバサ、しばらくやめられそうにないな♪』
イツキくんの手をとり立ちあがるツバサくんの表情は、小悪魔そのものなのでした。
[つづく]
ストーリー:恵村まお / 脚色:Col.Ayabe
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オーディオドラマ「第2話」シナリオ掲載(オーディオドラマはチャンネル会員になってお聴きください)
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イツキ「はぁ、はぁ……事務所まで、全力疾走してしまった」
ここは駅前の、その商店街のはずれの雑居ビルの、そのまた2階。
落ち着こうと大きく深呼吸するイツキくんでしたが、心臓が脈打つ理由は走ってきたからだけではないようで――。
『だって…ツバサにバレたら、すっごく困る……
僕のバイトが…バイトが…“アイドル”で……
しかも、ツバサに“そっくりなオンナのコ”とユニットを組んでるなんて!』
ガチャリ――
イツキ「お、お疲れさまで~す」
右を見て、左を見て、事務所のなかを伺います。
小ぎれいに整えられた室内に、人の気配は無さそうです。
『よし、まだ誰もいない。
“ツバサちゃん”にオトコの姿を見られる前に着替えないと…
そ れ に ――あのプロデューサーにも』
そそくさと更衣室に飛び込むと、そこにはフワフワ・キラキラのドレス。
クリーニング店のビニールをめくり、急いで着替えてしまおう――と?
イツキ「相変わらずヒラヒラしてるなぁ……僕の衣装。
正直、まったく着たくない」
ゲンナリとした表情を浮かべるイツキくん。
オトコのコとしての“なにか”が、はやる気持ちにブレーキを掛け、着替えはなかなか進みません。
とはいえ、ノンビリもしていていいのかな? タップでリズムを踏むように軽やかなヒールの足音がそこまで……。
イツキ「今日もチェリーリップスのライブは告知されてるから…
やるしか――」
シズカ「そうっ! 君は今日ステージに上がるっ――
それがディスティニー!!!」
イツキ「ぎゃああああ! 出た!!!!」
絹糸のような艶やかなロングヘア―をなびかせて、さっそうと現れたのは『CherryLips』のプロデューサー、シズカさん!
キュッと引き締まったシルエットのスーツ&タイトスカート姿に身を包んだ“女装の麗人”ですw
シズカ「おやおや、どうしたんだい、そんなに驚いて?
敏腕プロデューサー、シズカさんの顔を忘れてしまったのかい?
教えたはずだろ。事務所での挨拶は
『おはようございます』だって――」
イツキ「挨拶うんぬんの前に、いま着替え中なんで出てって――」
シズカ「いまさら、着替えを恥ずかしがる仲でもないだろう?
ま、ファンが見たら大興奮モノかもしれないケドネ▼」
イツキ「これファンが目撃したら男ってバレる大事件ですよ!」
シズカ「私はオトコのコでも、オンナのコでも、
カワイイものに区別はないと思っているんだけどねえ…
――よし、着替えを手伝ってあげよう」
イツキ「なぜそうなる!?」
話すあいだもタップは止まず、二人の距離をどんどんと詰めていくシズカさん。気がつけば、イツキくんのすぐ隣に……。
シズカ「まだステージ衣装に慣れていないのだろう?
アイドルを手助けするのもプロデューサーの務めさ☆彡」
イツキ「ま、まあ慣れてはいないですけど……」
鼻先に迫るシズカさんの端正な顔に、思わずイツキくんが目をそらした瞬間、シズカさんはヒラリと華麗なターン! イツキくんの背後にまわると、細くしなやかな指先が彼を捉えます。
シズカ「ふ~む、ふむふむ…
繊細な肌をしているね、イツキ。シャープなアウトラインと透明感、
そう、喩えるならば古代の大理石像のような――
私の眼に狂いはなかったということかな……デュフフ」
イツキ「だあああ! どこに鼻息荒くしてアイドルの肌を撫でまわす
プロデューサーがいるんですか!?」
シズカ「いいかい? 珠は磨かねば輝かない!
私は君という才能を磨いているのさっ!!
――というわけで、す~りす~り、す~りす~り」
イツキ「んなわけあるかぁ!」
シズカさんの魔手が、イツキくんの太ももを下から上に、スカートをめくりあげながら這わせている、と――
ツバサ「おはようございまーす」
ショートめパーカーにスカートとスニーカー、シンプルだけどフェミニンなコーデがかわいらしい“ツバサちゃん”も事務所へ。気になるのは、カーテン越しに更衣室から響くアヤシゲな声…。
「わぁ、ちょ、そんなトコめくらなっ――!」
「もっと、その美しい姿をシズカさんに見せてくれよぅ~」
ツバサ「……2人とも更衣室?」
ほらほら、イツキくん、“ツバサちゃん”がすぐそこまで来てますよ。
ツバサ「おはようございまーす、シズカさん、イツキちゃん!
――――って?」
イツキ「え!?」
シズカ「やあ、おはよう。マイ・アイドル・ツバサ!」
蔦のようにイツキくんの身体に絡まるシズカさんの指先。ステージドレスはところどころで肌蹴て、見えてはいけないトコロもチラリ……。
ツバサ「えーっと
……もしかして、お邪魔でした?」
イツキ「うわわあああああ!?!?!?」
イツキくんは力いっぱいにシズカさんを振りほどき、のぞいてしまったツバサくんとあわせて更衣室の外に放り出します。
シズカ「どわっ!」
ツバサ「ひゃ!?」
勢いあまって床に倒れこんでしまうシズカさん。
マンガのように転がった彼を心配して、ツバサくんが声をかけますが…。
ツバサ「大丈夫ですか、シズカさん?」
シズカ「ふふふ……ナイスタックルだね、イツキ。
アイドルには押しの強さも必要だぜ!」
ツバサ「大丈夫みたいですね」
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いまだに動揺のおさまらない胸に手をあてて、アイドル“イツキちゃん”が更衣室から出てきました。
ツバサ「あ、イツキちゃん」
イツキ「おはよう……ツバサちゃん。
えっと……あの……さ…さっきのドコまで見た?」
ツバサ「ドコまで?
シズカさんが、イツキちゃんの足をナデナデしてるところ~かな?
イツキ「よし、下ならセーフ!」
ツバサ「セーフ?」
イツキ「ううん、なんでも! 大声出しちゃってごめんね。
シズカさんとは何も、全く! ぜんぜん! なかったんだけど、
恥ずかしくって思わず……」
ツバサ「そうだったんだ~。
イツキちゃんってば、相変わらず恥ずかしがり屋なんだから。
たまには一緒に着替えたいのにな~」
『一緒に着替えるとか絶対無理!』と心のなかで即答しつつ、ひきつった笑みを浮かべるイツキくん。
イツキ「あ、あはは…はは、ごめんね。
ツバサちゃんの私服可愛いから
わ、私は衣装以外で会うの恥ずかしいな、って」
ツバサ「ええ? そんなことないよ~」
イツキ「そんなことあるよ!
今日もその……とっても可愛いし」
ツバサ「え、えへへ、ありがと。
イツキちゃんに褒めてもらえてとっても嬉しいな。
じゃあ、ワタシも着替えてくるね♪」
イツキ「う、うん! いってらっしゃい!」
『あ、危なかった……
それにしてもツバサちゃん、相変わらずいい子だ……
あんないい子を騙してるなんて、知られたくないし、
これからも絶対、オトコだってバレないようにしないと!』
ふんわりと身を返し、更衣室へと入る“ツバサちゃん”の後ろ姿。
ほのかなベルガモットの香りがイツキくんの鼻孔をくすぐり、拍動はさらに、さらに激しくなるのでした。
シズカ「ツバサぁ~~着替えを手伝ってあげよう♪」
イツキ「――って、やめんかぁ!」
[つづく]
ストーリー:恵村まお / 脚色:Col.Ayabe
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