ショータさん のコメント
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今年の夏も暑いですが、となると気になるのが“体臭”の問題であります。たとえば、汗だくで満員電車に揺られているときなど、隣の人から鼻をつくような刺激が漂ってきて、「自分は大丈夫だろうか…?」などと心の中がザワつく瞬間は、誰にでもあるんじゃないかと。
となると、いよいよ体臭対策が気になってくるわけですけども、この問題について近ごろ東海大の先生方が日本人を対象に良い研究( R , R )をいろいろしてくれてて大変参考になります。体臭の研究ってのは世界的に行われているんですが、「何を臭いと判断するか?」ってのは各国の文化も強く関係しているので、欧米のデータだけを見てもわからないところが多いんですよね。
ってことで今回は、日本における体臭の問題を解きほぐしていきましょう。東海大の指摘によると、まず「現代社会は特に“臭いに敏感”になっている!」ってあたりが強調されております。近年の日本は、かつてよりも他人の体臭に敏感になっているってデータがいくつかあるんだそうな( R )。
その背景はいくつかありまして、だいたい以下のようになります。
空気がキレイになった → 匂いの“コントラスト効果” :高度成長期の日本は大気汚染がバリバリだったのが、その後の建材の規制、換気設備の改善(コロナで一気に加速)により、空気が一気にキレイに変化。その結果、人の体臭が前より目立つようになった。
マスク時代の反動と、嗅覚の再校正 :新型コロナの期間は長期間のマスクが普通だったため、匂いを嗅ぐチャンスがあまりなかった。嗅覚は慣れやすい感覚なので、入力が少ない期間があると、閾値(臭気を感じ始める強さ)の設定が変わり、再び匂いが入ってきたときに敏感に反応しやすくなる。そのため、マスクを外した瞬間に相対的な刺激が強く感じられてしまう。
気候変動&都市の高温多湿 :高温・高湿は常在菌の繁殖と揮発性物質(臭いの正体)の放散を促進しやすい。その点で、最近の日本はヒートアイランド+満員電車+空調待ちの行列などの要因が重なって、「ぬるい密室」のようになっており、体臭が立ち上がりやすくなった。
日本の生活様式(近距離・再密集) :日本はもともと小さな空間を共有する文化がある(電車、エレベーター、会議室)。一般に、距離が50cm縮むだけで体臭の知覚確率は体感で一段上がるとされており、これもまた臭いへの反応を敏感にしている。
日本の「迷惑をかけない」規範と“評価懸念” :日本は同調圧力+配慮規範が強い社会だと言われている。その点で、「におい」は他者の快不快に直結するので、「自分が迷惑になってるかも……」という評価懸念(人にどう見られるかの不安)をブーストさせやすい。
ストレス社会は“内側から出る匂い”が増えやすい :睡眠不足・心理的負担・暑熱などのストレスが増えると、アンモニア(疲労臭)が上がりやすくなる。そのため、外から拭いても取りきれないタイプの匂いが目立ちやすくなり、「ケアしてるのに消えない…」という問題が起きやすくなる。
素材と衣類の問題(見落としがち) :化繊(ポリエステル等)は皮脂・ニオイ成分が付きやすく残りやすい。そのため、速乾Tシャツを何度も着回す→洗っても臭いが微妙に残る→時間差で再び香り立つ、のループに陥りがち。一方でウール(特にメリノ)は比較的においを溜めにくい傾向がある。
情報環境が“気づき”を増幅 :近年は、SNSやメディアで「体臭」「スメハラ」「デオドラント新製品」などの情報が常に目に入るようになっている。人間は見聞きしたテーマに注意が向く傾向があり(利用可能性ヒューリスティック)、結果として、同じ匂いでも前より気づきやすくなるという心理効果が働く。
ってことで、こういった現代に特有の要因がいくつも重なり合って、現代の日本に特有の「体臭が気になる!」って問題を強調してるんですな。おそらく、この傾向は今後も続くので、どんどん「体臭が気になる時代」になっていくんでしょうなーって感じです。
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