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リバーブとピアノ録音
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リバーブとピアノ録音

2013-12-05 04:19
    リバーブ?ああうん、貯めとくと暖かいよね。serです。

     リバーブって何なんでしょうね。辞書を引いたら残響のことだと出てきました。では残響で引いてみると、音源が発音を停止した後も音が響いて聞こえる現象と出てきました。
     録音した音源を組み立てていくと、ああこういう感じじゃなくて、もっとああいう感じにしたいんだよなぁと思うことがあります。EQ、コンプ、テープシミュ等々も使いますが、空間を演出したり、全体的なトーンを変えたい時にはリバーブが有用です。

     さて、何でリバーブをかけるんでしょうか。

     ピアノ録音をしようにも書きましたが、作品をどう表現したいのかは人それぞれなので、自分が気に入ればそれでいいのですが、ここでは私の考えを言おうと思います。

     曲というのは音にして初めて作品になります。録音ではピアノから出る音だけを録れるわけではなく、空間での反射音だったり残響音だったりが録れます。空間の音が必要なければ、極力ドライなソフトウェア音源(例えばPianoteq)を選べばいいわけで、曲を音に起こす上で録音という手段を選ぶ以上、自分の作品に少なからず空間の音が必要だと考えていることになります。
     ピアノの音とそれの反射音、残響音のコントロールは非常に難しく、弾き方、ホールの特性、反射板の使い方、機材の特性、マイキングの全てを掴んでいないといけません。いつも完璧に行けばいいのですが、そう簡単には上手くいきませんし、数こなすうちに失敗は必ず起こります。また、実際録ってみるとなんか違うな、と思うこともあります。そこで使うのがリバーブです。

     ピアノを録音した音源にかけるリバーブの目的は、前述しましたが、大きく分けて2つあります。
     ・空間を演出する
     ・全体的なトーンを変える
     どちらも、録った音源を作品として自分の理想に近づける手段に違いありません。ただし、難しいのは前者です。トーンはリバーブを使わなくてもEQ等々でも変えられますし、併用すればより柔軟に変えられます。問題は空間を演出する場合のリバーブです。ステレオ音源で空間を認識させるには、人間の耳に錯覚を起こさせる必要があるので、まず、人はどういう要因からステレオ音源を錯覚し、三次元的な音場空間を認識するのかを掴まないといけません。
     また、ヘッドホンとスピーカーでは音場の認識が大きく違います。一部ハイエンドヘッドホンではスピーカーと方向性は違えど空間を演出してくれるものがありますが、多くは平面的な鳴りです。スピーカーであってもセッティングだったりスピーカー自体の特性だったりで、環境によっては全然違います。リバーブによる空間をつくる第一歩は自分の信頼できるモニター環境を最低2つ、ヘッドホンとスピーカーで揃えることから始まります。

     信頼できる環境はどうやって作ればいいのか。非常に難しい問題です。人によると思いますが、まず信頼できる音源を探すところから始めるのが一番近道だと思います。では、どうやって信頼できる音源を探すのか。
     音源探しはピンときた音源を色んな環境、ここでいう色んな環境というのは良い悪いではなく良くても方向性の違うシステムでということ、で聞くことから始まります。環境によって、スピーカーの後ろに音場が広大に展開するものだったり、左右のスピーカーとの間にポッと浮かぶものだったり、自分の目の前に迫ってくるかのごとく押し寄せてくるものだったり、空間の演出は様々です。
     当たり前ですが、人間の直感はそんなに正確ではないので、行ったり来たりを繰り返しつつ音源を見つけることになりますが、経験のうちです。何が信頼できる音源なのか、そもそも信頼できる音源って何なのか、何が正しくて何が間違っているのか、自分の表現したい音場空間とはどういうものなのか。自問自答の波をかぶりながら、正解を探す必要がありますし、それが空間の認識を育てます。
     ステレオ再生による空間の把握はなかなかに訓練がいる作業です。そして、信頼できる音源なんて、高音質とか謳っているそれっぽいCDでさえ、100枚買って1枚見つけられれば良い方です。足がかりとして、自分が使っている試聴用CDを参考にしてみてください。

     信頼できる音源をいくつか見つけたら、次は信頼できる環境作りです。空間の認識をしやすいのはスピーカーですから、まずスピーカーの環境を作ることから始めると良いでしょう。信頼できる音源は色んな環境で聞いてきたはずですから、その中でも自分に合ったもの、気に入ったものを思い浮かべてください。その環境を出来るだけ近づけるようにすると話は早いのですが、大金持ちでもない限り難しいと思うので、自分の手を出せる範囲で再現してくれる環境を作るために、また色んなものを聞く必要があります。
     注意してほしいのは、音源再生の要素の中でも取り分け音場空間は部屋の影響が大きいので、単純に繋いでいる機器だけで判断出来ないということです。一番良いのは気になった機材を実際に借りて家で鳴らしてみることなので、親切な楽器店かオーディオショップを見つけましょう。見つけられなくても、展示会のような大きな会場ではなく、オーディオショップ内の小さなスペースであればある程度想像することは可能です。ただし、可能であって容易なことではありません。良いシステムから悪いシステムまで、色んな環境で聞いて、その中で妥協点を見つけることが、信頼できる環境作りの第一歩です。

     信頼できる機材を手に入れたら、家で信頼できる環境を作る必要があります。機材をぽんと置いただけで自分が望む音が出たら、宝くじが当たるぐらい幸運なことです。セッティングに関してはレーザーセッティングを用いたスピーカーセッティングが一つの指標になります。スピーカーでは左右の音の重なりによって音場空間が形成されますが、スピーカーと自分の耳との関係を左右で均一にすることからスタートするのが良いと思います。そこから気になる箇所を消していく、オーディオ的には良いところを延ばしていく方が良い場合もありますが、モニターするにあたっては、悪いところを消していくことが大切です。もちろんスピーカーのセッティングだけで音が決まるわけではなくて、部屋の鳴りだったり、機材の共振だったり、ケーブルだったりで音はめまぐるしく変わっていきます。
     スピーカーの環境を作れたらヘッドホンです。ヘッドホンは部屋の影響を受けないので、スピーカーにかかった時間に比べたら、これまでの経験もあいまってすんなり決まると思います。もちろん、スピーカーとヘッドホンでは空間の聞こえ方が違いますから、違いがどのようになっているのか、両立できる音源とは何なのかの答えを見つけてください。

     さて、信頼できる環境を手に入れてしばらく音源を作っていると、大小問わず空間に対するアプローチを何かしら掴むことが出来るはずです。リバーブはこうかけると空間として認識しやすい、EQはこうかけると音源が後ろに行く、前に来る等々、そこまで来たら自分はどういう要因で音場空間を認識するのか掴んだようなものです。パターンがつかめるまで色んな音源で試してみましょう。
     
     なぜ、回りくどいことを言うのか、ピアノに関するEQポイントはここがキモで、こういう風なリバーブをかければ良いということを説明すればいいじゃないかと思うかもしれませんが、それは正しくもあり間違いでもあります。ピアノという楽器は帯域的にも音量的にもレンジがとても広く、リバーブ成分と元の音の関係による変化が曲調によって大きく異なります。もちろん、ある程度のこと、EQで1-2kHzあたりを触ると奥行き、60-180Hzと3-4kHzで上下感とか言うことは出来ますが、実際の変化を感覚的に掴むには環境を揃えざるを得ないのです。低域が出てる出てない等の表面的な帯域バランスはアナライザでつかむことが出来ますが、空間はアナライザで見て取ることは出来ません。もちろんフェーズメーターで左右の感じは受け取れますが、それは空間表現のほんの一部でしかないです。

     さて、ここまできてやっとリバーブをかける意義を問うことが出来ます。なぜ、直接音だけじゃだめなのか。空間の音を録音することに失敗するとはどういうことか。人工的なリバーブに何の意味/効果があるのか。

     答えは人それぞれです。自分もそれを見つけてる最中です。しかし、答えらしき切れ端は見えています。それが答えだと確信できるまでは結論は先送りにします。みなさんも、是非信頼できる音源を見つけ、信頼できる環境を作り、自信作を世に出しましょう。

     では、リバーブとピアノ録音について、でした。良いお年を!
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