【レビュー】必殺の冥路
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【レビュー】必殺の冥路

2016-06-30 20:08

    ●ウォルター・ジョン ウィリアムズ (著) 酒井 昭伸 (訳)『必殺の冥路』


    以下あらすじ(裏表紙より引用)----------------------
    クローンとなって死から甦った企業傭兵スチュワール。だが、“前世”の自分が記憶を更新していなかったため、生涯最後の15年分の記憶は欠落している。なぜ死ななくてはならなかったのか?自分を殺した犯人は?謎を解明する鍵は、惑星〈冥土〉をめぐる企業抗争にあるらしい。過去の自分の足路をたどるスチュワールが、記憶の冥路の果てに見た真相とは?好評『ハードワイヤード』に続くサイバーアクション超大作登場。
    --------------------------------------------------------

    表紙だけ見てミリタリーSFと思い込んで買ったら、ぜんぜん違ってw、今となってはすっかり陳腐化したサイバーパンクの残り滓のようなお話だった。

    簡単に言うと「クローン人間の自分探し物語」である。

    既に国家としての枠組みが崩壊した未来社会。 それに代わって企業が兵士を雇い、利権をめぐって争う・・・今となってはわりとありがちな設定(マクロスFとか)だが、執筆当時(1987年)は新鮮なものだったのかもしれない。 いや、そうでもないかな? 映画のエイリアンシリーズなんかもそれに近い感じだったような。

    結論から言うと、面白かったのだが、何かこう乗り切れないモタモタ感というか冗長感があるのも否めない。 500ページが如何にも長く感じる。


    最初、主人公が入院しているところから始まるのだが、退院までに50ページ近くを費やしていて、もうちょっとで放り出すところだったw。
    状況説明に時間を掛けるタイプの作家なんだろうけど、普通なら数ページくらいで済む内容ではないかと思う。

    中盤以降はそれなりにエンジンが掛かってくるのか、イライラさせられることも無く話が進んでいく。 本作は、基本的にSFのスタイルを借りた推理小説というかスパイ小説のような展開で、最初に述べたとおり主人公の自分探しが主題である。

    この世界でのクローンの定義は、スペアの肉体というようなもので、事故や病気で生命が失われた際の保険として存在している。
    また、クローンは最初のオリジナルの記憶や人格をそのまま踏襲しており、主人公のスチュワールも自分の死の原因を探るとともに、オリジンの目的を遂行することを存在証明としている。

    この辺の設定は些か疑問を感ずるところでもあるが、本筋には関係ないので軽く流しておく方が賢明だろう。

    恒星間航行の技術が確立されていて、馬みたいな異星人が登場するが、これも80年代の流行だろうか? 但しテクノロジーや生命体に関してはあまり興味が無いのか、描写は最低限で済まされている。

    終盤はまるで2時間ドラマの断崖絶壁シーンwのような謎解きと「明るい未来クソ食らえ」的なヤケクソ展開が楽しい。

    全般にサイバーパンク的な味付けが仇になって古臭さは否めないが、そのあたりが気にならない人なら十分楽しめる作品だろう。




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