【レビュー】孤児たちの軍隊 -ガニメデへの飛翔-
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

【レビュー】孤児たちの軍隊 -ガニメデへの飛翔-

2016-08-31 00:52

    ●ハヤカワ文庫SF ロバート・ブートナー(著) 月岡小穂(訳)


    以下あらすじ(裏表紙より引用)----------------------
    西暦2040年、木星の衛星ガニメデに前進基地を築いた異星人からの攻撃を受け、人類は滅亡の危機に瀕していた。この危機を回避すべく、ガニメデ派遣軍が結成された。その中核は、敵の無差別攻撃により両親を失った一万人の兵士たち。彼らは強大な敵に敢然と立ち向かう!そのリアルな戦闘描写と戦争哲学で、アフガニスタン派遣米国軍兵士のあいだでボロボロになるまでまわし読みされ、大評判となった21世紀版『宇宙の戦士』!
    --------------------------------------------------------

    帯や広告にもあるとおり、21世紀版『宇宙の戦士』といってしまえば構成などはまったくそのとおり。 
    現在の軍隊組織に置き換えてアレンジしただけのようなもの。 

    ハインラインの『宇宙の戦士』を読んだ人なら楽しめると思うが、逆に類似性が気になってパクリっぽく見えてしまうという感想も多いようだ。

    新しい作品の方が技術的に後退した世界(パワードスーツも無ければハイパードライブの宇宙船も無い)というのが何とも皮肉だが、映画版『スターシップトルーパーズ』でも同様の表現はあるので、スーパー兵器が無い方がお話としては作りやすいのかもしれない。

    私的にはオマージュというか、今現在よりほんのちょっと先の軍隊が未知の異星人を迎え撃つとしたらこんな感じかなというところで、納得できる物語だが、昨今の侵略SFもの映画・小説などの多くの要素を含んでもいるので、その辺をパクリと感じてしまう人にはちょっと反論しにくい。

    第一巻は、間抜けなチンピラ同然の兄ちゃんが軍隊で鍛えられて一人前の男になるという単純な話でもあるので、これまた『宇宙の戦士』で軍国主義礼賛と感じてしまった人には辛いだろうか。 本当はそれぞれ主張するところがだいぶ異なるのだが、見極め難いのも確かで、そのへんは両者とも巻末の解説を読んでみると良いだろう。

    400ページ超えの作品だが、実際の戦闘シーンは1/4にも満たず、大半は新兵訓練の話なので、SF版『フルメタルジャケット』ともいえる。 結局、この巻では異星人の概要もほとんどわからずに終わってしまうので、構成的に不満を感じる人も居るかもしれない。

    個人的に期待してスカされた感があるのは、ガニメデにあるはずの遊星爆弾発射装置やその製造工場らしきものがまったく描写されなかったこと、また異星人の宇宙船が無かったことだろうか。
    これらは2巻以降のお楽しみなのかもしれない。

    もう一つこの作品の弱点は、リアルではあるけれどエポックに欠けるところだろうか。 独自の技術やアイディアの披露があれば、もう少し評価が上がっていたかもしれないと思うとちょっと残念ではある。

    だいぶマイナス評価のような書き方になってしまったけれど、ミリタリーSF好きなら楽しめる作品だと思うし、翻訳も素晴らしいので、私自身は佳作だと思う。 続刊もそのうち読むつもり。



    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。