与党候補が支持された北海道第5区補欠選挙
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与党候補が支持された北海道第5区補欠選挙

2016-04-24 23:49
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12日間の選挙戦を制したのは
         故町村信孝の娘婿である和田義明


上画像はNHKnewswebより。サムネ画像は北海道新聞4月12日より


(※本文内の「(日付)」は新聞記事の日付)

1、ハイスペックビジネスマン対草の根ソーシャル・ワーカーの北海道補選

 4月12日告示、24日投開票される北海道5区補欠選挙は町村衆議院議員の死去にともなう出直し選挙である。自民党にとっては、夏に控える参議院選挙を占うと同時に、参議院選を睨んで民主党と維新の党が合併した民進党にとっても来るべき参議院選への前哨戦という位置づけである。

 また今回の北海道5区補選は、今年3月に施行された安全保障関連法案、さらには憲法改正に対する是非を問うという一面もある。そのため、自民公認対無所属(野党統一候補)という2候補の直接対立でありながら、その後ろでは自民公認候補は、公明、日本の心、大地が応援し、無所属候補には、民進、共産、社民、生活が推薦するという安保推進対安保反対=改憲対非改憲という対立構図が浮かび上がっていた。この点でまさに与党候補がおらず、野党、無所属候補ら6名による混戦が展開している京都3区とは一線をかくす注目すべき選挙であったといえる。


2、北海道第5区の地域

 北海道第5区はもみじ団地やひばりが団地といった巨大な市営団地を有する人口約13万人の札幌市厚別区、札幌市のベッドタウンとなっている人口約12万人の江別市、北海道の玄関地であり、陸上自衛隊、航空自衛隊の基地を有する人口9万5,000人の千歳市、同じく陸上自衛隊の基地がある人口約7万人の恵庭市、道央の中心に位置し、工業団地があり、大手新聞の印刷工場などが集積する人口約6万人の北広島市、そして農業・漁業が盛んな人口約6万人をかかえる石狩市といった自治体が存在している。

 元来、北海道は組合活動が活発的であり、連合を抱える民進党が他に比べて強い地盤を持つことで知られている。北海道は、これまでの選挙では自民と民主がそれぞれ議席を持っていた。札幌市の一部が選挙区にある第5区の周りでは、現在、民進党の横路孝弘が第1区を死守しているが、ほかの隣接するすべての選挙区で自民党が議席を持っている。


3、選挙戦の展開

①プロフィール

 自民党公認候補の野田(44歳)は早稲田大学商学部卒業後、三菱商事に入社し、ペルーに1年間滞在、インドに5年間駐在した経歴をもつ。2014年に衆議院議員に町村信孝事務所に入所した。2013年正月に町村から「国のために働いてみないか」と後継者に指名されるも、和田は1年間の猶予を求めた。そして2014年4月に再度、町村から説得され、同年12月に町村事務所に入所した。町村信孝代議士の逝去にともなう北海道第5区は町村から後継者として指名されていたこともあり、1月31日の事務所開きの翌日には自民党から党の公認を受けた。後継者として野田は「多くの方に支えられて今日を迎えました。北海道生まれでなく、育ってもいない一介のサラリーマンだった私を受け止めてくれました。父町村信孝(前衆院議長)に代わって、私を育て、指導してくれました。ここに立てているのは皆さんの力のおかげです。」と語り、選挙への意欲を見せた。(4月12日)自民党にとっては準備万端で選挙戦を望むことになったといえる。

 無所属で立候補した池田(43歳)は高校中退後、子ども2人のシングルマザーとして働きながら、ホームヘルパー1級を終了し、東京都にある福祉事務所に勤務しながら福祉関係の専門学校教育を受けた。2011年1月より東京から北海道へ転居し、北海道NPO被災者支援ネット生活相談センター長や、北海道社会福祉士会被災生活保護受給者生活再建コーディネーター、内閣官房地域活性化伝道師などを務めた。また2013年より北海道大学公共政策大学院に入学し、2015年3月に公共政策学修士号を取得した。池田は今回の補選には安全保障関連法に反対する市民団体の要請を受け、昨年12月に出馬表明した。(4月12日)

 同年代に生まれた両候補者は一方は海外経験を持つエリートビジネスマンとして、もう一方は地域に寄り添った社会福祉士として活動してきた経歴を持っている。


②野田陣営の選挙戦

 12日より告示された第5区補選では、和田候補は13日、14日の両日に自民党による積極的な支援のもと、知名度ある人気者を街頭演説に投入した。小泉進次郎・自民党農林部会長や自民党参議院比例代表候補である音楽グループ「SPEED」のメンバーである今井絵理子らが野田の応援に入った。(4月15日)

 小泉進次郎は14日、厚別区の大型店舗前で北海道における農業・漁業の日本に対する重要性を説き、世界へ発信できるとして和田への支援を訴えたという。(4月15日)また、今井も和田への支援を訴えかけ、親子連れの有権者らから大きな拍手が起きた。

 和田陣営は、選挙区内で人口が多く、大票田である札幌市厚別区と江別市の無党派層の掘り起こしを定めて、重点的に行動した。というのも、この札幌市厚別区と江別市は有権者数の約46%を占めているためである。(4月16日)当初の予定では17日に安倍首相、21日に再び小泉が現地入りし、無党派層を取りこみ、いままでの町村支持層と合わせて一気に引き離す作戦でいた。和田は12日に選挙区内の全8市町村を回ったが、13日、14日はほぼ江別市と厚別区だけで遊説を行った。また和田は15日、自宅のある江別市内で街頭演説を行い、「江別の未来を一緒につくろう」と強調するなど、いかに人口密集地域に狙いを定めていたかがわかる。和田陣営は、注目度が低い補選では有権者の関心は低く、前回の2014年総選挙の投票率が低いと予測していた。今回の補選の有権者数は45万5780人であり、これまでの投票率からみて、約13万7000票を獲得すれば当選できるとみて行動していた。(4月17日)池田陣営は対照的に参議院選挙の前哨戦として位置づけており、前回の投票率を上回るとみていたという

 17日には自民党の石破茂地方創生担当相が駆けつけ、HTBの番組「水曜どうでしょう」で地酒が紹介されたことなどで有名であり、コメ作りが盛んな新篠津村で遊説した。ここでは石破大臣は「TPP(環太平洋連携協定)で北海道の農業に影響を与えるようなことはしない」と呼びかけた。(4月17日)元来自民党を支持している農家への締め付けを行った。本来のスケジュールでは安倍首相が応援に来る予定であったが、熊本地震による対応で取りやめになった。しかしながら、和田は選挙区外であるがJR札幌駅前など人が集まる場所で、無党派層にアピールを行うなど、作戦通り、無党派への浸透をはかっていった。

 18日、和田陣営は厚別区での演説で熊本地震に対する自衛隊について話した。「任務に従って国のため、地域のために働いている。いらないなんて言う人に憤りを感じる」と述べ、安保関連法については「国民の命と暮らしと財産を守るために必要」であるとの立場で、自衛隊の体制強化を訴えた(4月20日)

 これまでの選挙戦を終えて、いよいよ終盤戦に入るにあたって、新聞報道で「激戦」が伝えられるやいなや、和田陣営はこれまでの作戦を切り替えた。当初は早くから自民党公認に内定していた「町村の後継者である和田」という知名度を生かして無党派層の切り崩しを行っていたが、町村の次女で和田の妻があいさつするなど、今回の補選を町村の弔い合戦として強調することで同情票を狙う作戦に切り替えた。和田自身も町村信孝の父の時代からの取り組みである新幹線の話題に触れ、「新札幌の駅前再開発は、のるかそるかのプロジェクトだ」と演説するなど、地域ごとに演説の内容を変えた。(4月21日)和田を応援する自民党はすでに200人にのぼる国会議員を補選に送り込み、県内の地方議員や秘書をフル動員するなど、緊迫する選挙情勢に対して、人海戦術を取るようになっていた。

 和田を応援する道議員も「ここまでしたのは初めて」と話すなど、その接戦模様は想像以上に苦しい展開であったことを裏づけている。(4月21日)

 


③池田陣営の選挙戦

 一方、無所属で立候補した池田へは、民進党所属議員による強い支援を受けた。13日には民進党の玉木雄一郎が石狩管内の当別町と新篠津村の農協前で応援演説を行い、国会で問題となっている環太平洋連携協定(通称TPP)交渉過程の黒塗り資料を引き合いに、安倍政権の対応批判を行った。また14日には同じく民進党の安住淳民進党国対委員長が北広島市にかけつけ、集会で安倍首相や、小泉、そして補選候補の和田を「世襲議員・候補」であると指摘し、池田は国民の気持ちを国政に反映できるとして支持を訴えた。(4月15日)

 これまで自民党王国であった第5区は、自民党支持層が厚いことから、池田は自民党が特に強い地盤を持つ千歳市、恵庭市の自衛隊関係者へ支持を訴えかける作戦を取ることとした。

 和田が厚別区と江別市に狙いを定める一方で、和田は15日に千歳市内の自衛隊官舎前2か所で街頭演説を行った。池田は「戦後70年間続けてきた平和外交を一層進めるべきだ」と訴えかけた。(4月15日)この千歳市では補選を含めた過去3回の衆議院選挙では旧民主党と共産党候補の合計得票数が自民党得票数を大きく下回っていた自衛隊員だけではなく、自衛隊員の家族が多く住むこの地域で「集団的自衛権」の問題を強調することで、池田はこの地域での票の掘り起こしを狙ったといえる。

 17日には池田は和田陣営が同日に安倍首相が応援に駆け付けるとのことで、「市民対政権の戦い」を演出する予定組み、安全保障関連法に反対する若者グループ「UNITE&FIGHT HOKKAIDO(ユニキタ)」などの支援団体のメンバーらが池田の愛称である「イケマキ」コールを繰り返した。しかしながら、安倍首相が熊本地震での対応から北海道へ来なかったため、池田陣営の思惑とは異なる結果に終わったとみえる。

 池田を応援しに恵庭市へ来た共産党の池内沙織衆議院議員は18日に「自衛隊が献身的に活動している」と語り、池田も熊本地震での自衛隊の行動には「今回の出動に心から敬意を表したい」と語った。(4月20日)また、19日に池田の応援に入った民進党所属で北海道第1区の横路隆弘元衆議院議長は「自衛隊は外に出て行かない。軍事的に介入しない。それが70年間の基本政策だ」と呼びかけるなど、和田陣営とは一線を隔した平和外交を訴えかけた。(4がつ20日)また、政党関係者だけでなく、作家の澤地久枝や評論家の佐高信といった著名人が東京で池田の応援集会を開いた。北海道外の市民団体が第5区内の有権者に300人態勢で電話作戦を展開するなど、選挙区内のみならず、外からの支援の活発化がみられた。(4月21日)

 池田は21日石狩市で安倍政権批判を行った。安倍政権の年金改革の先送りを強調し、選挙終盤、人海戦術を駆使する和田陣営に対し、これまでの福祉の専門家としてだけでなく、年金や子育てにテーマを絞るなど、有権者にとってより身近な問題をアピールする作戦をとった。これまで生活保護や、自身の不遇な体験などで有権者に訴えかけてきた池田であったが、陣営幹部は「有権者に人間性は伝わった」と判断し、和田が浸透を図っていた無党派層の取りこみが池田陣営にとっても鍵であるとみて、厚別区の住宅街にのりこみ、2分間の短い演説を繰り返して行うといった作戦へ変更した。(4月21日)

 応援の主体となっている民進党や共産党が団体、企業へローラー作戦を徹底し、和田と接戦へ持ち込んだ。しかしながら、池田陣営としては手詰まり感が漂っていたという。というのは、終盤に有権者の心をつかむ仕掛けがなかったという。(4月21日)


4、選挙戦の争点

①安全保障政策

 和田と池田の政策対立として一番の違いは安全保障関連法に対する評価であった。和田は自民党公認候補として、「政権与党は、国民の生命と財産を守り抜く決意が必要。日本を取り巻く国際情勢が厳しさを増す中、必要な法律だ」と同関連法を積極的に評価した。これに対して無所属野党支援候補である「他国の戦争に巻き込まれる危険性を高める法律。専守防衛の原則にのっとり、廃止すべきだ」という認識のもと、反対の立場を強調した。(4月21日)

②経済政策

 経済政策では、和田は先ごろ開業した、町村が推し進めていた新幹線の整備事業である北海道新幹線について触れ、北海道新幹線による地域経済の活性化を強調した。また日本有数の農業地域である北海道ではTPPに関心が集まる。和田はTPPについて「農家は守りつつ、輸出できるものは輸出するという攻めの側面を利用すべきだ」として経済成長への可能性を強調した。くわえて北海道電力が抱える泊原発の再稼働について、「電気料金を下げるため、安全が確認できれば早期にすべきだ」とする。 一方、池田は和田と真っ向から異にする。政権与党が取り組んできたアベノミクスは、その「恩恵が及んでない中小企業は中間所得層への支援」が必要だと強調した。TPPは「1次産業だけでなく、食の安全や国民皆保険が脅かされる懸念がある」として農家以外への影響も指摘し、TPPの批准には反対の立場をとった。泊原発の再稼働には「再稼働に対する市民の不安は払しょくされていない」とし、再稼働は否定的だ。経済政策について多くの点で、両者は政策対立がみられたが、消費増税については10%への引き上げに「今の経済状況では難しい」と一致した認識であった。(4月21日)

福祉政策

 北海道新聞が15日から17日に第5区有権者を対象に行った世論調査では、補選で重視する政策は「年金、医療、介護などの社会保障」が36%と最も多かった。有権者は福祉政策を強く重視していることが明らかになった。この福祉政策については、和田、池田両者とも、「日本死ね」で国会でも注目され議論されている保育園の待機児童問題については、待機児童解消を掲げている。

 両者の福祉に対する違いは、和田は「健康寿命を延ばす住宅医療・介護の充実や高齢者の生きがいづくりを進める」と高齢者重視の福祉政策を強調していたが、池田は「給付型奨学金の創設や子育て世代の年金保険料の軽減を実現する」、「安倍政権は年金改革を先送りしてきた。だから皆さんの年金が下がっている」と主張するなど、全世代に向けた政策強調がみられた。(4月21日)


5、選挙結果

 4月11日現在で選挙区内の有権者は45万5972人(在外登録者含)である。24日の投開票前の期日前投票は17日の中間結果では、前回選挙より高いポイントを示した。4月24日、投票が開始され、同日午後8時より開票された。

 午後4時時点で投票率は28.27%であり、前回の2014年衆院選挙に比べて1.89ポイント下回っていた。通常の補欠選挙では投票率は下がる傾向にあるといわれている。そのような傾向があるにも関わらず、今回の補選は午後4時現在でも前回の衆院選挙とほとんど変わらない投票率であったということは、いかに今回の選挙が接戦であったのかを裏づける結果となっている。

 開票時刻の午後8時を回ると、京都3区補選は同時刻で民進党の泉健太候補の当選確実が発表された。京都補選の投票率は、与党候補の不出馬という不戦敗の選挙であり、補欠選挙としては戦後最低を記録する恐れが出るなど、非常に関心の薄い選挙であったことを示している。北海道5区補選は開票時刻を過ぎてもどの報道機関からも当選確実の情報は発表されず、和田、池田両陣営が大接戦を繰り広げていた。

 午後10時10分過ぎ、当確が発表された。12日間の選挙戦を制したのは和田義明であった(下記図表参照)。



表は24日午後11時現在


6、選挙結果の意味

 ある学者によれば、投票は「選挙過程のごく一部にすぎないが、その中でとくに重要視されるのは、投票が一般有権者の政治参加モードの中で、最も基本的、最も一般的なものであり、一般有権者の政府コントロールの唯一といってよい、制度化された、有効性の高い手段」であるという。

 選挙というのは、民主政治において最も基本的な政治参加の一形態であることはいうまでもない。また今回の北海道補選というものは、日本全国で一斉に行われる総選挙ではなく、295ある小選挙区のうちの1つのなかでの選挙に過ぎないというみかたもできるだろう。そういった意味でいえば、補選というのは政府の形成に寄与せず、一地域での民意を計り知るという程度でしかないようにも捉えられるだろう。しかしながら、別の学者は補選とはひとつの意味を持つという。「政界再編期以降『中間選挙』として大きな意味を持つようになった補欠選挙は、中略、今後の日本政治のうえで重要なものとなっていくだろう」と補欠選挙に対して展望している。

 北海道第5区補選の場合、政治不信というよりも前任者の死去にともなう、その地域の代議士を新しく選びなおすという面があったことはいうまでもない。だが、補選は先の学者がいうところの次の全国規模で行われる総選挙や参議院選挙への『中間選挙』であるという側面もまた持っているのである。政権与党のこれまでの政権運営の評価を知ることができる。補欠選挙は、政権交代に直接的に結びつかなくとも政権がこれまで進めてきた政策を変更させるだけの影響を有しているといってよいだろう。



表は北海道新聞4月17日より

 北海道第5区は、これまでの選挙では2009年の政権交代選挙以外では自民党の町村信孝が当選しており、自民町村王国としての特徴を持っていた(上記の表参照)。ところが王国を築いた町村が逝去したことで行われた今回補欠選挙は、与党自民党にとって、町村の娘婿である和田が町村から選挙区の支持を継承できるのかが問われた問題である。さらにいえば、今回の補選で自民党、安倍政権の支持率の高さをうかがう選挙でもある。つまりは、衆参同日選挙に踏み切ることができるかを見定めるひとつの指標でもある選挙であったとみることができるのではないだろうか。

 これに対して、野党陣営は、民主党と維新の党が合併して誕生した民進党という新党の出発を占う選挙であったともとれる。同日に行われた京都3区補選には民進党公認候補が出馬しており、純粋にいえば、京都3区補選が出発を占う選挙であったが、自民党の宮崎議員の一連の不倫騒動にともなう議員辞職によって行われることになった京都補選は、失態を犯した自民党という立場上、立候補者を出すわけにはいかず、自民党の不戦敗であった。自民党に対抗できる政党として誕生した民進党にとっては、不戦勝であり、自民党とどれほど戦えるのかを検証することはできなかった。そのため、北海道補選は無所属候補でありながらも、民進党が積極的支援を行うことで、自民党との対立構図をつくり出していたともいえる。

 また一方で野党にとっては、民主(現民進党)と共産党というそれぞれ自民党に対抗して図らずも選挙区内で対立していた野党が、対自民党という無所属候補への統一支援という戦略の有効性を検証する選挙となったといえるだろう。

 選挙結果から、与党候補の和田義明が選出されることになった。これは自公政権が支持されたかたちとなったといえる。下村博文総裁特別補佐が「負ければ、ダブル選の選択肢は難しくなる。勝った場合も、どういう勝ち方をするかが影響する」との見方を示していたが、勝利したことで衆参ダブル選の選択肢は残された。しかしながら、町村信孝の地盤を引き継いで圧勝するとみられていた選挙であったが、選挙戦後半になるにしたがい、野党統一候補の池田が追い上げをみせ、思わぬ大接戦となった。和田はギリギリ逃げ切った構図となったことから、自公政権にとって、夏の参院選に弾みをつけたとは安易に喜べないのではないだろうか。次の選挙でも引き締めて選挙へ望む必要があるだろう。

 野党統一候補として立候補した池田は惜しくも敗れた。野党4党の推薦を得たが無所属のため、党公認の相手陣営が2台認められている選挙カーが1台しか使えない。政見放送ができず、法定ビラも4万枚少ないなかで選挙戦を接戦に持ち込んだのは一定の評価ができるといえるだろう。野党側は統一戦線において、次の参議院選挙での一つの経験を得た。

 今回のダブル補欠選挙は京都では民進党の勝利、北海道では自民党の勝利と1勝1敗の結果となった。


6、補論

今回の選挙でひとつ注目すべきは18歳をむかえる高校生が今回の補選に合わせて模擬投票を行ったことである。高校では、選挙の前週に3年生60名に対して、模擬選挙を実施した。各立候補の政策を読みこみ、実際に使用される投票箱を用いて模擬投票を実施した。18歳への選挙権は実際には次の参議院選挙から付与されるため、今回は、模擬投票となった。参議院選挙目前に模擬投票を行ったことは、実際の選挙で投票する手順だけでなく、選挙の際にはどのような点に注目して投票するべきかという方法を喫緊に学ぶことができたことは有権者教育として意義のあることであろう。今後18歳から選挙の際に投票できるということは、17歳にあたる高校2年生から模擬投票を行うなど、高等教育課程でより実践的な有権者教育が行われることになると予想される。若者の政治への関心、そして選挙への積極的な参加を推進するためにも、高校や中学校での現実的な有権者教育が望まれる。

 高校生が模擬選挙を行うだけでなく、今回の北海道補選では若者が選挙に行くように啓発した活発的な活動もみられた。大学生らのグループである「どさんこyouth」や、若者が政治を学ぶためにつくった「道若会」といったグループが大学前など若者が多く集まる地域で、ポスターを掲げたりチラシを配り、「4月24日に選挙があります」と投票を呼び掛けたことも、若者の政治参加という視点から積極的に評価できる。これまでも選挙管理委員会や明るい選挙推進協会(通称明推協)が街頭や学校などで選挙での投票参加を呼び掛けたりしていた。だが、近年大都市圏で活動している20代の投票率向上を目指した学生団体ivoteや、今回のように一地方で、若者のグループらが投票参加を啓発する活動を自主的に行う動きがみられるなど、若者の政治参加にひとつの転機が起こりつつあることをしめしているのではないだろうか。

参考
北海道新聞 どうしんweb、各記事より
三宅一郎『投票行動』など
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詳細な内容と対比させながら記載してくれたので大変分かりやすかったです。
背景や主義主張が分かった上で選挙を見ると若者含め(18歳学生です)、関心が高まるのではないかと思います。
次の参院選接戦になりそうですね
(=゚ω゚)ノ
46ヶ月前
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