自民党と野党がそれぞれ気をつけるべきこと
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自民党と野党がそれぞれ気をつけるべきこと

2016-04-27 20:00

     北海道補選に関する動画が政治ランキングで上位にあったので見てみたところ、思うところがあったので、書いてみた。

     まず、ゆっくり保守チャンネルの投稿動画「【ゆっくり保守】敗北から目を背ける自称リベラル達。」は「SEALDsの手法に問題がある」と指摘したうえで、今回補選について「接戦だった!」「勝負には勝った!」「大きな一歩を踏み出した!」という意見を引き合いに、前回北海道第5区での自民党と非自民党との票差と2016年補選での自民党と非自民党票の票差を比較して、前回より票差が悪化した(票差が広がった)という。そして、補選で非自民の野党連合が行った選挙戦での運動が裏目に出ているという。これを「左派の力を総動員した結果」(動画4分過ぎ)と主張しているが、選挙の見方が少し甘いのではないか。

     また、KAZUYAの投稿動画内で、産経新聞の記事を読み上げた。読み上げたものを再びこの場で書くと、「民進、共産、社民、生活の野党4党は、『野党統一候補』としてともに推薦した無所属の池田真紀氏が敗れ、夏の参院選に暗雲がたれ込めた。だが、幹部からは強気の発言が相次いだ。(中略)野党4党は、なりふり構わぬ選挙戦を展開した。23日には、共産党を『シロアリ』と批判していた民進党の前原誠司元外相や細野豪志元環境相ら保守系議員までもが小池氏や生活の山本太郎代表らと札幌市で街頭演説を実施。共産党機関紙『赤旗』は池田氏を自前候補のように連日紹介した。※もと記事は『産経新聞』「【衆院ダブル補選】追い風吹かず「野合」共闘に限界か…参院選に向け票差以上に大きいダメージ」2016年4月25日配信を参照」というものである。

     これを読み上げ、「共産党とSEALDsが協力すると負ける法則がある」と表現している(動画2分過ぎ)。これは今回選挙をみればその通りであろうが、安易に自民党は安泰だと思いすぎなのではないだろうか。



     上にあげた動画内での野党側への投稿者による指摘はおおむね異論はない。むしろ、KAZUYAの投稿動画内で補選における野党陣営は、選挙戦において「論点がズレている」と指摘したことは、筆者としても的を得ているように思える(動画2分40秒過ぎ)。

     しかしながら、野党がダメだからといって選挙で自民党が問題なく選挙で勝てるとも一概にいい切れないのではないか。そこで、今回選挙が行われた北海道第5区の過去実施された選挙を見直してみたい。




     上の表は過去の選挙における自民党の得票と、非自民票(自民公認候補以外の得票を合算)、そして投票率を北海道選挙管理員会の過去記録などから記したものだ。この表から読み取れることを簡単にまとめてみよう。まず、小選挙区導入以後の選挙では郵政解散選挙、アベノミクス選挙、そして今回の事実上与野党一騎打ちとなった2016年補選以外は非自民票が自民票を上回っていた。

     次に2005年の郵政解散選挙と2009年の政権交代選挙での大量得票差は小泉首相の劇場政治による小泉自民党対自民党抵抗勢力という野党の存在感を希薄化させた選挙と、もう一つは日本政治の転換点として本格的な非自民党による政権交代を行うことを目的とした選挙という点で、非常に高い投票率がもたらされた。よってこの2つの選挙は今回考慮する必要はない。

     そして2005年と2009年を除けば投票率が59%、おおむね60%以上の選挙であれば、自民党の得票率は50%を切っている。自民党実力者が選出されている選挙区においてでも、必ずしも圧倒的な得票を得ているとはいいがたい。見方を変えれば、対立候補の知名度や多人数の立候補による票の分散化によって相対的に高い得票を得ているといえる。

     さらに、郵政解散選挙を除けば、選挙で投票率が高くなると自民党の得票率は下がる傾向にあるといえる。逆にいえば、ときの首相が選挙のときに「無党派層は寝ていてくれたほうがいい」と発言したように、選挙が注目されず、低投票率になれば自民党にとって有利である。

     以上のことが理解できよう。そして今回の2016年補選について考えてみたい。

     動画でも取り扱われていた2016年補選で1万票差が出た結果として考えられることは、

    1、
    自民党の実力者である町村氏の強力な地盤を和田が引き継いでいたため選挙を有利に展開できた。

    2、
    野党統一候補は無名の新人を起用し、かつ無所属によって選挙戦におけるハンディを背負っていた。

    3、
    野党側は民共連携を強調しつつも、民進党支持層における右派や共産党支持層における左派はそれぞれ共産党、民進党に積極的に協力してまで野党統一候補に投票しようとは思わなかった人びとが少なからず存在した。

    4、
    野党統一候補の出現に危機感を抱いた無党派内にいる潜在的保守層が自民党へ投票した。

    この4つが仮説として考えられうる。

     4つの仮説について具体的な分析はデータがなく、専門知識も乏しいため一概にいうことはできない。だがあえて指摘させてもらえば、まず、最後の潜在的保守層の票の掘り起こしは、投票率からみて可能性は低い。

     そして2番目の池田候補の選挙におけるハンディは、当初は圧倒的に自民党有利が伝えられていたなかで、むしろ接戦に持ち込んだと評価されているが、無所属で立候補した池田は、各種団体からの支援を受けていたとはいえ、選挙カーの使用制限や、配布するビラの枚数制限などを抱えていた。このことから池田のハンディによって1万票が出た理由として一定の理由にはなりうる。

     これらに対して3番は計量分析が行えないので推測の域を出ることはない。だが、イデオロギーの幅が広い野党間で連携するうえで、投票に非協力的な支持者の存在は考えられる。たとえば、4月26日の「クローズアップ現代+」において、NHK政治部の田中記者によればNHKの独自調査の結果から、「今回の選挙で、共産党の支持層の99%、民進党の支持層も90%が池田氏に投票している」という。

     前回選挙の第47回選挙では民主党は約94,000票あまりを獲得していた。そこから90%を差し引けば、9,400票となる。そして投票率は前回より約1%少なかった。第5区有権者は45万人あまりであることから、全投票数の1%は約4,500票である。先ほどの民進党支持者で池田に投票しなかったとされる10%=9,400票と、今回選挙で投票しなかった約1%=約4500票を合算すれば13900票となり、おおむね今回の得票差と近い数字になる。NHKの調査方法にもよるが、共産党支持者のほとんどは民進党との統一候補であることを理解しつつ池田に投票した。しかし、民進党支持者には共産党との統一候補には投票しがたいと考えている層がいると考えられるのかもしれない。単純な計算であるが、この3番は可能性として十分に考えられるだろう。

     また3番の仮説に合わせて、1番目の町村が築き上げた地盤、組織を引き継いだことが今回の12,000票差が出た理由として妥当なのではないだろうか。


     今回は、問題の掘り起こしと今回の補選における得票差の仮説の提示に議論がとどまってしまった。推論の域を出ないとはいいつつも、安堵して自民党が勝利するわけではないことは今回の補欠選挙における選挙戦の展開をみて明らかではないだろうか(補選の展開については前回のブロマガ参照)。

     野党が自民党を下して選挙を勝利するためには次のことを意識する必要がある。逆をいえば、それに対して自民党は気をつけなければならないということでもある。すなわち選挙の争点を明確化して国民の関心を高め、投票率を上げる戦略をとったうえで、戦術的に野党が統一戦線を形成し、各党支持者に理解してもらったうえで、候補を一本化して自民党との一騎打ちを行えば、自民党はいくつかの選挙で野党に敗れる恐れがあるということだ


    参考として

    ・ゆっくり保守チャンネル投稿動画「【ゆっくり保守】敗北から目を背ける自称リベラル達。」4月25日投稿。

    ・KAZUYA CHANNEL GX投稿動画「北海道補選で自民党勝利 共産党とSEALDsが絡むと負ける法則」4月25日投稿。
    「クローズアップ現代+衆院『北海道5区補選』若者は政府・与党支持?安倍首相ひと安心か「18歳選挙権の参院選」4月25日付。

    ・ブロマガ「備忘録」「与党候補が支持された北海道第5区補欠選挙」4月24日投稿。



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