【考察・解説】名探偵コナン ゼロの執行人
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【考察・解説】名探偵コナン ゼロの執行人

2018-05-06 04:44

    先日(2018/05/04)話題のコナン映画最新作を見てきたので、感想を書いていこうと思う。



    劇場公開日 2018年4月13日
    青山剛昌原作の人気アニメ「名探偵コナン」の劇場版22作目。サミット会場を狙った大規模爆破事件を発端に、コナンと公安警察が衝突するストーリーが展開し、劇場版20作目「名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)」に続き、謎の男・安室透がメインキャラクターとして登場する。)



    ①扱っている題材

    (A)人工衛星
    人工衛星を扱った作品はかなり昔から存在する。アニメ作品でいうならば『バトルプログラマーシラセ』(2003年)や『サマーウォーズ』(2009年)が代表的である。前者は旧ソ連の廃棄衛星を軌道修正して落下させるシーンが描かれており、後者でも衛星の落下ポイントを修正するシーンが描かれている。




    (B)IoT
    言葉自体は最近になって流行してはいるが、前述の作品はもとより、「島根にパソコンなんてあるわけないじゃん」との明言を産み出した『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』(2000年)においてもその片鱗はうかがえる。
    最新の科学というのは、技術進歩によってすぐに陳腐化してしまう。SFとしては古典化してしまっている題材をどう作品に活かしていくのかが重要である。
    なお、劇場版コナン第一作目『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』(1997)の単純な爆弾テロと比べればかなり進化してはいる。



    (C)ドローン

    ドローンはかなり最新的な技術であるため、扱っている作品はまだない。洋画ではポツポツ出現し始めてはいる。
    如何せん、航空法の縛りがあるため、自由に描けない部分も存在する。SFの役割はそういったレギュレーションに対して道徳や倫理を提供するものではなく、夢を与えるものだと思っているので、道交法を破ってカーチェイスを繰り広げたり、通信傍受法なんのその盗聴しまくるスパイシーンのほうが見ていて純粋に楽しいはずだ。

    アメリカの航空宇宙局をハッキングしたり、ノートパソコンで衛星の軌道計算をしたり、柳田理科雄風に言えば「空想科学」ではあるが、そこを捨象したとしても十分に楽しめる。


    ②組織対立
    相棒や大捜査線シリーズ同様、捜査ものの定番である。

    個人的に興味深かったのは公判前整理手続きについて丁寧に解説している点だ。
    司法制度改革の一環(平成17年)として導入された制度で知っている人はあまりいないだろう。
    ”ケー弁”につていも触れている。
    実際にケータイ1本で活動している弁護士はネットの噂ではよく耳にするものの、実際には見たことも聞いたことも無い気が。。。
    いずれにしても劇中では、弁護士や検察官が重要な人物として描かれている。

    起訴便宜主義や起訴独占主義という明確なワードすらでてこなかったが、この点、公安組織の対立軸の中で検察権力の脆弱性(捜査能力の限界)として描かれている。

    公安体制や裁判(逮捕→起訴→裁判)の流れについても子供にわかりやすいように簡潔明瞭に提示されている。
    2時間という時間内に証拠や心理状況、トリックなどを盛り込みなおかつ司法体制や警察権力を解剖しようとすると退屈なものになってしまう嫌いがあるが、それをアクションシーンを入れることによってテンポを良くしている。退屈感どころかむしろ物語にグッと引き付けられてしまった。これが噂の水戸黄門理論であろうか。。。

    今まではミステリー小説は安楽椅子探偵物ばかり読んでいたが、これからの時代はハードボイルド探偵ものが再び人気を勃興させるかもしれない。

    ③アクションシーン
    『ダイハード』や『ラッシュアワー』のような迫力のある街中アクションに仕上がっていた。
    昨今日常の謎系の短編型推理が流行っているなかで、アクションのある探偵ものはかなり珍しく感じる。
    実写版『オリエント急行殺人事件』(2017年)はアクションこそあれ、老紳士ポワロが自分の体に鞭打って無理してアクションしているように映ってしまい、盛り上がるはずがむしろ萎えてしまった。
    やはり、アクションシーンは若いイケメンに限る。仮面ライダー理論と呼ぼう。
    推理ヲタ歓喜、子どもたち歓喜、腐女子歓喜の三拍子がそろっている稀有な作品だ。

    安室さんもこんなに飛ばすなら時速200キロ以上出るドイツ車を愛用すればいいと思うが、180キロ上限の日本車にあえてした理由もイケメンそのものである。


    ④まとめ

    「ゼロの執行人」が死亡していたはずの協力者を再び世間に生き返らせたように、
    魅力的なキャラクター・安室という人物が古典的な題材を前衛的に蘇らせたのだ。



    タイトルを「ゼロの執行人」という人物名称にしたのもそういうことなのであろう。
    昨今の邦画アニメの中では格段に出来のいい、いや良すぎる作品として評価したい。
    次回作にも大幅な期待をよせて構わないと思う。


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