• Karpov-Vyzmanavin Tilburg 1993

    2016-02-27 00:40
    ニコ生で途中までしかできなかったので、ここに全て書いておきます。
    4つの選択肢のうちから1つを選んで、最終的な合計点を出す形式です。
    今回は黒視点。

    1.c4 e5 2.Nc3 Nf6 3. Nf3 Nc6 4.g3 Nd4



    English Four Knightsですね。
    4...Bb4、4...Bc5、4...d5がよく指される手ですが、本譜もOKです。
    白は5.Nxe5とはできません。
    5...Qe7の後、ナイトを引けばメイトされ、6.f4 d6 7.Nd3 Bf5も困ります。
    似たような手順に
    1.c4 c5 2.Nc3 Nc6 3.Nf3 Nd4もあり、これも黒としてありうる選択肢です。

    5.Bg2 Nxf3+ 6.Bxf3 Bb4
    6...Bc5もいい手です。

    7.Qc2 0-0 8.0-0 Re8 9.d3 h6 10.Bd2 c6 11.Rac1 d6 12.Bg2 Be6 13.h3



    黒番、ここから開始です。選択肢は4つ。
    a)13...Qd7
    b)13...Ba5
    c)13...Rc8
    d)13...d5

    *****************************************************

    すぐに仕掛けなければならない局面でもないため、13...d5の優先度は低く、1点です。
    また、13...d5はほぼ強制手順と言える14.Nxd5 Nxd5 15.cxd5 Bxd2 16.dxe6 Bxc1
    17.exf7+ Kxf7 18.Rxc1で難しい局面になります。黒がエクスチェンジアップでは
    ありますが、優勢とまでは言えません。この局面を見通せたならボーナス1点です。
    13...Rc8も後々役に立つ可能性はありますが、今すぐ必要な手ではないため2点。
    13...Ba5は3点です。cファイルにダブルポーンを作れない以上b4のビショップに
    ...Bxc3の狙いはなく、であれば...Ba5-Bb6(Bc7)といった具合で使い直すのが
    最善となります。13...Qd7は2点ですが、13...Qd7 14.Kh2 Ba5まで見通していたなら
    3点です。

    13...Ba5 14.a3

    a)14...Qd7
    b)14...d5
    c)14...Re7
    d)14...a6

    *****************************************************

    難しく考える必要はありません。
    14...Qd7と14...d5は2点。14...Re7と14...a6は1点です。

    14...d5 15.b4

    a)15...Bb6
    b)15...Bc7
    c)15...d4
    d)15...dxc4

    *****************************************************

    15...d4はマイナス1点。15...dxc4はマイナス2点。悪手です。
    15...Bc7は1点。15...Bb6は2点です。白がc5と突いて来ればd5への
    圧力がなくなり白のg2のビショップの働きが悪くなるので、白のc5を
    恐れる必要はありません。

    15...Bb6 16.Na4



    a)16...Bc7
    b)16...Bd4
    c)16...dxc4
    d)16...Qd7

    *****************************************************

    16...Bd4は0点。16...dxc4は1点。黒からセンターを放棄するのはあまりいい手
    ではありません。16...dxc4 17.dxc4 Bxc4 18.Bxh6 Bxe2 19.Qxe2 gxh6の
    タクティクスが見えていたらボーナス1点です。16...Bc7はやりたくなりますが
    0点。17.Nc5が厄介です。16...Qd7は2点。通常の駒の展開を続けるいい手です。

    16...Qd7 17.Kh2

    a)17...d4
    b)17...Rac8
    c)17...h5
    d)17...g5

    *****************************************************

    中盤戦、といった様相ですね。
    17...d4は1点。悪い手ではありませんが、黒からセンターを閉じる必要もありません。
    17...h5と17...g5は0点。まだこういう手を指すタイミングではありません。
    17...Rac8は2点。白のcxd5に備えるいい手です。

    17...Rac8 18.Rcd1

    a)18...Qc7
    b)18...Qe7
    c)18...Bf5
    d)18...Bd8

    *****************************************************

    18...Qc7はマイナス2点。19.c5で困ります。18...Qe7と18...Bd8は1点。
    18...Bf5は2点。少しずつ駒の位置を改善していきます。このビショップが
    間接的に白のクイーンに当たっていることを意識できていたなら、ボーナス1点です。
    ビショップやルークは間を遮る駒を取っ払った、盤の端までの駒の利きを常に
    意識しておくと有効に使える場面が多くなります。とりあえずクイーンのいる筋に
    ビショップとルークを置いておこう、はバカにできない指し方です。

    18...Bf5 19.e4

    a)19...dxe4
    b)19...dxc4
    c)19...Be6
    d)19...Bg6

    *****************************************************

    19...dxe4は20.dxe4 Bh7 21.Bxh6があるためマイナス1点。19...dxc4もマイナス1点。
    19...Be6は1点。19...Bg6は2点。ビショップは白クイーン同じ筋に置き続け、
    eファイルはルークのために空けておきます。

    19...Bg6 20.Nxb6 axb6
    考えるまでもないのでボーナスで1点差し上げます。

    21.Bc1



    a)21...d4
    b)21...dxe4
    c)21...dxc4
    d)21...b5

    *****************************************************

    ここは勉強になると思います。
    21...d4は1点。悪くはありませんが、22.f4を食らいます。21...dxe4と21...dxc4も
    1点。これらの手もまた悪くはありませんが、黒からセンターを崩してしまうのは
    少々もったいないです。21...b5は2点。22.cxd5 cxd5でbファイルに孤立ダブル
    ポーンができるのが気になるかもしれませんが、このダブルポーンはオープン
    ファイル上になく、また白がこのポーンを攻める手段も少ないため弱点には
    なりえません。b5のポーンは純粋にクイーンサイドでスペースを主張し、
    白からのa4を抑制するいいポーンになっています。また、白が放置すれば黒から
    ...bxc4があり、後のd4と合わせてdファイルにパスポーンを作る狙いが生まれます。

    21...b5 22.c5

    a)22...Ra8
    b)22...Rcd8
    c)22...Red8
    d)22...Rf8

    *****************************************************

    ルークの位置をどうするかという問題。
    22...Ra8はオープンファイルにルークを運ぶ手ですが、a3のポーンはb2のビショップ
    1つで守れており攻めの見込みがないため、1点です。
    22...Red8は1点。22...Rf8は2点。22...Rcd8が最善手で、3点です。
    ルークはオープンファイルか、オープンファイルになる可能性のあるファイルに
    置くことで力を発揮します。白の前の手でcファイルが開く可能性が消え失せたため、
    cファイルにあるルークをオープンファイルになる可能性のあるdファイルへ動かすのが
    最も理に適った手となります。

    22...Rcd8 23.Bb2

    a)23...d4
    b)23...Qc7
    c)23...Ra8
    d)23...Qe6

    *****************************************************

    23...Ra8と23...d4が最善でないのは今までの流れでわかると思います。これらは1点。
    23...Qe6は24.Rde1で間接的にクイーンに当てられ対応を迫られるので0点。
    23...Qc7が間接的に白ルークに当てられずセンターへの影響力も維持できる
    最善の位置で、2点です。

    23...Qc7 24.Rfe1

    a)24...d4
    b)24...dxe4
    c)24...h5
    d)24...Nh7

    *****************************************************
    24...d4と24...dxe4は1点。まだこれらの手を指すタイミングではありません。
    また、白にQe2-exd5でe5のポーンへ圧力をかけるプランがあることを見通せて
    いたなら、ボーナス1点です。24...h5は0点。何の足しにもならない手です。
    24...Nh7は3点。局面が求めている手です。

    24...Nh7 25.Qe2



    a)25...dxe4
    b)25...d4
    c)25...Rd7
    d)25...Nf8

    *****************************************************

    白にはexd5からe5のポーンを取る狙いがあるため、その対処になっていない25...Rd7と
    25...Nf8はポーン損になってしまいます。25...d4は1点。26.f4を食らいます。
    25...dxe4は2点。適切なタイミングでdファイルを開く手です。

    25...dxe4 26.dxe4

    a)26...Nf8
    b)26...Rxd1
    c)26...Re7
    d)26...f6

    *****************************************************

    少々難しくなります。
    白の狙いはRd3-Red1でdファイルにルークを重ねることです。
    26...Nf8は27.Rd3 Rxd3 28.Qxd3で白にdファイルを取られます。
    28...Rd8には29.Bxe5 Rxd3 30.Bxc7 Rxa3 31.f4!が辛く、
    28...f6は29.Rd1 Ne6 30.Qd7 Qb8!で受け身ながらもなんとか凌げます。
    この手順が見えていれば2点ですが、そうでなければ26...Nf8は1点です。
    26...Rxd1と26...Re7も1点。ルーク交換等に備え予めe5のポーンを
    守っておく手が最善で、26...f6は3点です。

    26...f6 27.h4

    a)27...Bf7
    b)27...Rxd1
    c)27...Rd7
    d)27...Nf8

    *****************************************************

    ナイトの組み替えの準備ができている局面なので、27...Nf8が3点。27...Bf7は2点。
    28.Bh3と来られると若干白がやりやすい形です。27...Rxd1は1点。
    これもまたルーク交換後のBh3で白が少しやりやすい形。
    27...Rd7はわざわざBh3に当たりに行っているので0点。

    27...Nf8 28.Rxd8

    a)28...Rxd8
    b)28...Qxd8

    *****************************************************

    まさか間違えたりしないですよね。
    28...Rxd8が1点、28...Qxd8はマイナス1点です。
    クイーンで取り返せばRd1が来て、白の展開のお手伝いになってしまいます。

    28...Rxd8 29.Rd1

    a)29...Rxd1
    b)29...Bf7
    c)29...Ne6
    d)29...Re8

    *****************************************************

    dファイルを自分から明け渡す29...Re8はマイナス1点。29...Rxd1は1点。
    29...Bf7は2点。29...Ne6は3点。この手からd4のマスを使いたかったがために
    Nf6-Nh7-Nf8という手を指したし、黒からd4と指してポーンでd4のマスを埋める
    ようなことはしなかったのです。24...Nh7の時点でこのプランが見えていたなら
    ボーナス4点、27...Nf8の時点で見えたならボーナス2点です。

    29...Ne6 30.Rd3

    a)30...Bf7
    b)30...Rxd3
    c)30...Nf4
    d)30...Rf8

    *****************************************************

    30...Nf4はマイナス3点。30...Rf8はマイナス1点。もはや説明は不要。
    30...Rxd3は1点。まだ黒から交換する必要はありません。30...Bf7は2点です。

    30...Bf7 31.Qd1

    a)31...Rxd3
    b)31...Nd4
    c)31...g6
    d)31...Qc8

    *****************************************************

    この局面で重要なのは、ダブルビショップvsビショップナイトのエンドゲームに
    なった場合、ダブルビショップを持つ白に分のあるエンドゲームになることです。
    31...Rxd3は3点。流石に重ねられると放置できません。31...g6と31...Qc8は
    1点。白にRd6の狙いがあることを見通していたならボーナス2点です。
    31...Nd4はポーン損になるのでマイナス1点。

    31...Rxd3 32.Qxd3



    a)32...g6
    b)32...g5
    c)32...b6
    d)32...h5

    *****************************************************

    32...g5は黒陣に弱点を作るだけなので0点。32...g6と32...h5は1点。
    33.Bh3で白が少しやりやすい形です。32...b6が3点。cxb6と来ても、ルークが
    1つもない局面ではc6のバックワードポーンは弱点になりません。
    大事なことなのでもう一度。ルークが1つもない局面ではバックワードポーンは
    弱点になりません。バックワードポーンが弱点になるのはルークがいる時だけで、
    ルークがいなければ簡単に守り通すことができ、駒の動きが制限されることも
    ありません。

    32...b6 33.cxb6 Qxb6
    選択の余地なし。ボーナスで1点差し上げます。

    34.Qd2

    a)34...c5
    b)34...Nd4
    c)34...Qd8
    d)34...Kf8

    *****************************************************

    ナイトの冒険が実を結びます。34...Nd4が3点。35.Bxd4 exd4と来てもこの
    パスポーンはクイーンで簡単に守り通せます。34...c5は2点。34...Qd8は
    マイナス1点。純粋なダブルビショップvsビショップナイトのエンドゲームは
    ダブルビショップを持つ白にのみチャンスがある形です。34...Kf8はマイナス2点。
    わざわざQd6+を許す必要はどこにもありません。

    34...Nd4 35.Bc3

    a)35...Qd8
    b)35...c5
    c)35...Kf8
    d)35...Be6

    *****************************************************

    ダブルビショップを持つ白に若干の可能性がある局面なので、黒が目指すのは
    ドローです。ドローを目指す場合は、ピースではなくポーンの交換を進めるのが
    正しい指し方になるので、ここでの最善は35...c5で3点です。他は1点。

    35...c5 36.bxc5 Qxc5 37.Bb4
    黒の36手目に違和感を感じないのであればボーナス1点です。

    a)37...Qb6
    b)37...Qc6
    c)37...Qc2
    d)37...Qc4

    *****************************************************

    37...Qc4はわざわざBf1で当たる位置になっているので1点。37...Qc2は前述の
    通り純粋なダブルビショップvsビショップナイトのエンドゲームにしてしまう手
    なので0点。37...Qb6はcファイルを白クイーンに譲ってしまうので1点。
    37...Qc6が最善で、2点です。

    37...Qc6 38.Qc3

    a)38...Qxc3
    b)38...Qc4
    c)38...Qe8
    d)38...Bc4

    *****************************************************

    流石に間違えて欲しくない局面です。38...Bc4が2点で他が0点。

    38...Bc4 39.Qe3



    a)39...Nc2
    b)39...Qc8
    c)39...Qa6
    d)39...Kh7

    *****************************************************

    恐らく39...Qa6でもドローにはできるだろうが、わざわざ指す必要のある手でも
    ないので0点。39...Qc8と39...Kh7は1点。39...Nc2は2点。白の持つわずかな
    有利を削り取ります。

    39...Nc2 40.Qd2

    a)40...Nxb4
    b)40...Nxa3
    c)40...Be6
    d)40...Bb3

    *****************************************************

    これまでの解説から、もはや考えるまでもないはずです。
    40...Nxb4が2点。白からダブルビショップとわずかな有利を奪い去ります。
    40...Be6と40...Bb3は0点。40...Nxa3はマイナス2点。

    40...Nxb4 41.axb4

    a)41...Qc8
    b)41...Qa8
    c)41...Qc7
    d)41...h5

    *****************************************************

    白クイーンのいかなる侵入をも拒む41...Qc7が3点。41...Qc8と41...Qa8は1点。
    41...h5も1点ですが、エンドゲームにおいて動かす必要のないポーンを動かす手は
    後々悪い意味で響いてくることがあるので、あまり薦められません。

    41...Qc7 42.Bh3

    a)42...Qc6
    b)42...h5
    c)42...Kf7
    d)42...Kh7

    *****************************************************

    42...h5はマイナス1点。わざわざ白ビショップと同じ色のマスにポーンを
    動かせば後々標的にされて面倒です。42...Qc6もマイナス2点。43.Qd8+を
    許す必要がどこにあるのでしょうか。42...Kf7と42...Kh7は1点。

    42...Kf7 1/2-1/2

    合意のドロー。白は黒のミスを期待して指し続けましたが、徒労に終わりました。

    ではポイントを合計してみましょう。

    16以下:ブランダーを避けるため、予想できる手はしっかり予想しましょう。
    17~32:少し考えないと見えないような手もしっかり考えないと、ブランダーの元になります。
    33~50:恐らく細かいタッチの要求される局面をうまく指しこなせていないと思われます。
    51~64:よく見えていますね。いい結果です。世界チャンピオン相手のドローは初めて?
    65~:素晴らしい。こういったタイプの試合が好きなのですか?


    以上、生放送でやろうとするもWindows10の更新が入りできなくなって
    しまった試合の全体でした。楽しんで読んでいただければ幸いです。
    出典はGraeme Buckley著の『multiple choice chess』でした。
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