気になったニュース ~プロ(農家)から見た感想~
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気になったニュース ~プロ(農家)から見た感想~

2017-02-22 18:23
    2/20にニコニコニュースにて以下のような記事を見かけた。

    「さつまいもが10トン余っています」→あっという間に注文締切 Twitterで予想外な展開を迎えた神田大浦農場に話を聞いてみた
    http://news.nicovideo.jp/watch/nw2652071

    本職として非常に気になる点がいくつかあって、コメント欄で少しふれましたが、文字数制限で言い足りないので、余計なお世話を重々承知で、ブロマガに書こうと思います。


    ニュースを大まかに説明すると、
    ・埼玉県のある農場で2015年20トンのさつま芋『栗安納芋』を栽培・収穫
    ・トラブルで買付契約をしていた企業が閉鎖。廃棄する。
    ・翌年(2016年)、廃棄を避けるため栽培面積を半分にする
    ・ところが、栽培方法を改善したところ 16トンも収穫。
    6トンの売り先はあるが、10トン余る。また廃棄になる危険。
    ・その内容をツイートしたところ、注文が殺到した。

    コメント欄を見ていると、比較的「いい話」「販売の成功例」的なとらえ方が多いように見受けますが、私としては全く逆の感想です。
    その理由を以下に記していきます。


     ①『栗安納芋』って?ブランド???  

    まず、気になったのがブランド名。
    これ、甘いと評判で一時ブームにもなった「安納芋」とは別物である。
    そもそも、安納芋の産地である種子島で栽培され、その組合から出荷された安納芋以外に「安納芋」という名称を付けることはタブーのはずである。
    仮に、同じ品種を使用していたとしても(これ自体も公けにはないことになっているはず)種子島の組合から出荷したものでなければいけない。
    なのに、埼玉産で「安納芋」?
    頭に「栗」とつけてごまかしているが、明らかにネームバリューを狙っているし、実際コメントでもあの「安納芋」であると誤解している人が多く見受けられる。


     ②本当に余ったの?最初から狙ってない?  


    20トンもの売り先を失って、栽培面積を半分に。
    つまり、単純計算で言って10トンぐらいは収穫する見込みだったってことですね。
    んで、翌年6トンの売り先はあるけど…って、そもそも4トンどうする気だったの?
    売り先に見込みがないまま10トン栽培するって農家としてありえないと思うんですが…

    これね。普通の出荷(市場出荷)してる農家ならありえないんですよ。
    市場というのは、市場法というので守られていて、出荷されたものは必ず値段がつく(豊作だとすっごい安かったりはしますが)ようになってます。だから、みんな売れ残りを心配せず、栽培できるんですよ。
    だから、単一作目で大量に栽培するタイプの経営では、直売などには(売れ残りが怖いから)参戦しずらい。っていうの一般的です。
    少なくとも普通は直売+市場出荷ってして、その辺のリスクを回避するのが普通です。

    では、なぜこの農場はそれをしていないのか。それは、①があるからです。
    そんなグレーな販売の仕方、組合に入っていたら許されません。
    かといって、埼玉産のなんちゃら芋って普通に販売しちゃったら単価下がるんですよ。
    特にこの農場は「無農薬」をうたってますので、普通の組合に入って一緒に出荷しちゃうとメリットなくなっちゃう。
    だから、市場出荷しないんじゃなくて、できないんだと思います。

    そういうリスクを最初から分かったうえで栽培しといて、余っちゃったー助けてーってなんか嘘っぽいっていうか、責任転嫁というか…


     ③栽培手法を変えたら収量増えた?  


    面積半分で10トンのはずが、16トン収穫できた。
    コメントでは「豊作とかあるからしょうがないよね」的なものを見かけましたが、これも疑問。
    私の知る限りの知識では、確かにサツマイモは天候による収量の差が大きいです。ですが、記事にも書いているように、今回は天候ではなく、栽培手法による豊作のようです。
    栽培手法変えて1.6倍って、正直その前どんだけ下手だったの?
    特に収量に影響しそうな栽培手法の変化は、恐らく、品種・時期・土壌・栽培管理ぐらいのものです。
    そして1年で変化をしていることを考えると、土壌はほぼないでしょう。
    品種を変えてしまうとブランドも名乗れないはずなので、これもナシ。
    時期も特に変わってない様子。
    栽培管理だけで、1.6倍?んなバカな。
    前年ある程度失敗してないとならない数字だと思いますよ。
    だとすると、②の数字も変なんですよ。
    推測ですが、前年の20トンの時点で収量なのか、状態なのかが良くなかった。だから栽培手法を変えた。つまり、もっと収量増やそうとしたわけですよね?
    ってことは、翌年半分にして10トンじゃなくて、もっと採ろうとしてた。
    なのに6トンしか売り先ない。ますますイミフ。


     まとめ  

    まだまだ細かいところで「変だなぁ」って思うところはあるのですが、ホントに長くなるのでこの辺で。
    とにかく言いたかったのは、この記事を読んだ印象は、「経営(売り先やら栽培計画やら)失敗しちゃったのを、うまいこと言って消費者に買わせて解決した」でした。
    これを美談とまではいかないにしても、いい手法みたいにとらえられているのが、なんか我慢できませんでした。
    農業の大変さってもっと違うところだと思うんですよ。あんまり舐めないでいただきたい。

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