• 「林原めぐみ1st LIVE -あなたに会いに来て-」行ってきました。

    2017-06-12 10:067

    「林原めぐみ1st LIVE -あなたに会いに来て-」参戦してきました!


    まだまだライヴの余韻が覚めやらない中ですが、沢山の方がチケット落選されたようですのでちゃんと書いておこうと思います。


    感想からいっちゃうと、やられたな!って感じです!




    ライヴの構成は一環してめぐさんが出演された作品のキャラクター達がめぐさんに招待されて中野に集まって来るという短い劇のようなやりとりがあり、それに続いてその作品に関連した曲を歌うという流れです。


    ステージには生バンドもなく、セットもシンプルというか簡素というか、その作品をイメージさせるアイテムが配置されていて、セクション毎に出される仕組み。


    作品毎に挿入される寸劇でも、作品名やキャラクター名は一切出てきません。


    こうして文章にするとピンとこないかもしれませんが、キャラクター達の声が聴こえた瞬間のあの感動ったら。


    僕はミンキーモモや万能文化猫娘はリアルタイムで観ていなかったのですが、セイバーマリオネットやシャーマンキングはリアルタイムの世代です。


    不思議なことに、キャラクター達の声を聴いた瞬間に蘇るのはその時期その時期の情景でした。


    中学生や高校生の頃のあの部屋、ラジカセ、雑誌、夏休みの光景等。


    ああ、そうか。


    あなたに会いに来るというのはこういうことか。


    ぐっとこみ上げるものがありましたね。




    歌われる曲は段々と最近の作品にものなっていき、昭和元禄落語心中からの岡崎律子さんトリビュートパートでようやくMCが入りました。


    そこまでの寸劇の中で、何度か夢が叶わなかった人、というワードが出てきており、自分自身も中学生の思い出の中で「この頃見ていた夢を叶えることは出来なかったなぁ」とちょっとセンチメンタルになっていたのですがが、運が運を呼ぶんだよ!と強くおっしゃっていたのが印象的で凄く励まされました。


    歌はもういいかな、と思う度に人や機会やアイディアや空間が歌う力をくれた、ともおっしゃっておりましたが、そういう出来事を自分から引き込めるパワーというか、イメージを持てるメンタリティがあったゆえに林原めぐみという人はしかるべき場所としてそこに立っているのだろうなと思いましたね。


    軍艦島の映像と共にとても綺麗なエンディング。


    まぁ、流石にこのまま終わるとは思っていなっかったですけどww


    終演のアナウンスをぶった切ってリナ=インバースが乱入!


    いやー、今年一番の上がりっぷりでしたよ、僕は。


    無意識にうおー!って出てましたからね、声がww


    客席後方からめぐさんが登場もGive a reasonの冒頭で歌詞を忘れて歌わないというハプニングwww


    お陰で泣かなくて済みましたww


    スレイヤーズメドレーはほんまにあかんで!


    ぶわーっと色んな記憶が溢れてきましたw


    最後はJust Begunでライヴ終了。


    めぐさんがハケた後に音声だけでMC?メッセージ?が。




    本当にね、こんなライヴが出来るのはめぐさんだけですよ。


    ありがとうございます。


    僕は、自分に会えました。





    欲を言えば、ロストユニバースとか、ラブひなとか、超有名所のエヴァ、コナンとかも中野に来て欲しかったですけどw


    でも、多分林原めぐみという人をずっと見て来た人にとってはこの構成が一番響いたと思います。


    あ、今気付きましたけど、Tokyo Boogie Nightも虹色のスニーカーもやってない!


    これは2nd LIVEに期待ですね!




    ちなみに生めぐさんは写真や動画で観るよりちっさい!細い!五十路?見えない見えない!


    そんな感じでしたww




    「林原めぐみ1st LIVE -あなたに会いに来て-」、こういう感じでございました。


    拙い文章でしたが、行けなかった方がちょっとでも楽しい気分になれたら良いなと思います。


    僕自身、30代も半ばにさしかかろうとするタイミングでこのライヴが観れて本当に良かったと思いました。


    いやぁ、色んな人の思い出に寄り添えるって、本当に凄い。




    もっかい言いますね。


    ありがとうございます。


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  • ようやく「君の名は。」観ました。

    2017-03-12 00:50

    いやー、これ、めちゃめちゃおもしろいですね!

    ていうか事前に聞いてた話と全然違うんですけどwwww

    普通の青春系恋愛映画だと思ったらなにこれガチじゃないですか!wwww


    ということでちょっと「君の名は。」について書いてみますね。


    まず、この映画は大きく分けて2つの側面から見ることが出来ると思います。

    普遍的要素とSF/ファンタジー的要素です。

    大きく2つにわけてはみましたが、これらを構成しているファクターは多岐に及び、内包するテーマの多さに対して「結び」というお題目を使って物語の整合性、物量を感じさせないスピード感は見事の一言でした。

    では、それらのファクターをもう少し具体的に見ていきます。


    まず、この映画を特異足らしめているSF/ファンタジーサイドから。

    冒頭から出てくる「ティアマト彗星」には思わず笑ってしまいました。

    ファンタジー系のゲームや小説にはおなじみの、竜の姿で出て来ることが多いあのティアマトですよw

    色んな説があるようですが、ゲームや小説に出てくる時は十中八九悪役です。

    なんでこんな名前にしたのか、とまず思うわけですよ。

    そしたら、彗星が2つに割れるわけでしょう?

    ティアマトは、退治されたあと2つに割れて天と地になるんですが、そのまんまじゃないですかw

    にやにやが止まりませんでしたね。

    それから、主人公の片割れ三葉は神社の巫女です。

    そう、こちらは日本の神話の世界のお話ですね。

    お神酒をご神体に奉納する神事なんかは有名ですが、そこに加わる「結び」の概念。

    これには舌を巻きました。

    結び、という言葉で色んなものが内包されている今作ですが、その考え方の拠り所は日本の古来からの観念が下敷きになっているようなんです。

    まずは、時間の概念。

    現代では時間が定量的に進むという観念が感覚的に普通のことではありますが、古来の人はもちろんそうではなく、ひとまとまりであったり、前後の感覚が曖昧であったりしたわけです。

    その感覚については、現代人の我々にも実はそう遠いものではなく、例えばハイデカーの「存在と時間」で言及されているような、時間的なまとまりを包括的に感じることは普通にあります。

    例を挙げると、「楽しかった思い出」。

    それは時間的断片でなく、一つの塊として感じられる何かがあると思います。

    そいういった感覚の積み重なりが、時間なんですね。

    瀧くんと三葉の二つの時間が結びあって繋がったわけですが、そこには3年のズレがあり、その接点のズレが未曾有の大災害から人々を救ったのですね。

    時間と空間が曖昧になる黄昏時に、二人は出会います。

    二人が出会う事が出来たのは、「結び」があったからです。

    この結びを象徴するモノが、組紐。

    糸の寄り集まりを時間や人の縁に見立てているわけですが、時間を糸に見立てるのはどちらかというとSF的。

    なぜなら、糸を編むと捩れたり、向きや方向が変わるからなんですが、ここで日本古来の感覚的時間の概念とリンクするわけですよ。

    三葉の生活環境では、執拗に伝統や古くささが描写されており、それは自然の風景や神社での神事、組紐を編む時の言い伝え(口伝)、果ては住居や神社に設置された機械類までもが全て古さや観測点からの時間的距離を表していました。

    対して、瀧くんの生活環境はこれでもかと言う程に最先端。

    タブレットでテレビを観る父なんかはその象徴ですが、都会的なビル群や商業施設、登場するデバイス全てが最先端で、これでもかと現代科学の恩恵が描かれている。

    最先端と伝統の体現であったからこそ、リンクした、それがしっかりと描かれているわけです。

    おそらく瀧くんが中途半端な地方都市に住んでいたらリンクしないんですよ。

    感心するのはこの必要な描写の中に同時進行で違う要素も入れ込んでくる所です。

    すげーな、とついつい漏らしてしまいました。

    それが、結びが表す要素の2つ目、人やモノの縁。

    RADWINPSの主題歌、「前前前世」は大ヒットしましたが、この曲を意識するとこの三葉と瀧くんの縁は何代も前からずっと繋がっていた、ということになります。

    劇中でもおばあちゃんと三葉に入った瀧くんの会話でそれが表されています。

    恐らく、日本古来の感覚からいくと前世というよりは代々続く縁、という方が正しいと思います。

    この縁は色んな形で表現されており、組紐はもちろん、それを切る鋏も象徴的に使われていますね。三葉の髪を切った鋏、瀧くんが見た三葉の出生時の臍の緒を断ち切る鋏。

    その他に開閉するドアのモチーフも縁の繋がりを表しているようで(まぁ閉まるのは一度だけで、つまりは縁が途切れたのは一度だけなんですが)、この辺のセンスも良いなと思いました。

    途切れた縁を繋ぐ口噛み酒なんかも選びのセンスが独特ですよね。

    ご神体は恐らくあの湖を作った隕石の破片なんだろうと思いますし、それを祀る神事があって、っていうSFとファンタジーが自然に同居しているこの部分も素晴らしい。

    とにかくSF/ファンタジー的要素テンコ盛りで、アニメ大好き〜レベルのファッションオタクでは手に負えないですよ、ほんとに。

    敬遠されているガチオタの方はぜひ一度観てみることをオススメします。



    では、普通の映画としての良さ、普遍的要素について書いていきたいと思います。

    僕は青春映画に絶対外せない要素として、人間的成長があると思うんですね。

    子供から大人への移り変わりの中で、不安定だった自分という要素が確固たる存在へと成る、それが青春という時期だと思うからです。

    それをどう表現するかに監督や演出の手腕が問われるわけです。

    この物語の中で面白いのは、瀧くんは男になり、三葉は失った母と父を乗り越えて大人になる、という部分。

    瀧くんサイドは、バイト先の大人のお姉さんと、普通に高校生している友人が対比として描かれ、三葉サイドでは母を亡くしたことから大事なものを見失った父と、それを否定しようとする三葉が描かれています。

    瀧くんは恋というファクターを経て、自我、アイデンティティーを確立していきます。

    序盤から何度も描写されてきた「奥手な」瀧くんは、途切れてしまった三葉との縁を求めて、ついには自分の足で三葉の元へと踏み出す主体的なスタンスへと変化していきます。

    自分という自分の持つ財産を投じて何かを成すことが大人になるということであり、つまりは子を成し、縁を成すということでもあるわけです。

    瀧くんサイドでは、子供時代、というよりも思春期を「夢」というモチーフを使い巧みに描き、思春期の終わりが「夢」からの目覚めとして描かれます。

    夢というモチーフは曖昧な状態、境界線の曖昧な状態のモチーフであり、他者との合一は非常に哲学的なテーマです。

    三葉の出生時に切られる臍の緒は、おそらくフロイト心理学における母と子の自我の境界線が曖昧な状態からの脱却を意味していると思いますし、瀧くんサイドで描かれることは一環して精神的自律、男になる、ということだと思います。

    三葉は古来より続く伝統と、母の死の責任を感じ神社の神官という職を捨て、町長となった父という即物的存在との狭間で居心地の悪さを感じています。

    つまり、どちらも三葉にとってリアリティーがない状態なのですね。

    おそらく、自分という存在もどこかリアリティーがない。

    同年代からの揶揄や、同級生の人生観との対比でそれがより浮き彫りになっていくわけです。

    しかし三葉も恋というファクターを通じて自分と、伝統の象徴である祖母、失った母、即物的な父との繋がりを飲み込めるようになります。

    そうしたことで、三葉は自分を認識し、大人に成る。

    三葉の物語は、乗り越えるべき存在と自分という存在で描かれています。

    物語のクライマックスで、すきだ、と書かれた手を見た三葉は、自分が生きる理由を見つけます。

    名前、わかんないよ、と。

    その勢いのまま町役場に乗り込んだ三葉の、父への台詞は描かれていません。

    一体どういう言葉がそこにあるのでしょうか。

    描かれていない部分には、きっと観ている人それぞれの人生の言葉が入るのでしょうね。

    ほぼ同じシチュエーションで起こった瀧くん入りの三葉との会話で、父は娘ではない、と見抜くわけですが、親と子の繋がりの強さが描かれた良いシーンでした。

    帰路、瀧くんはおれじゃダメなのか、とこぼしますが、それがこのシーンへと繋がって来る。

    結果としてその言葉は間違いなく父へ届き、町の人々は救われます。

    この物語の構造は、一つの描写に複数の意味付けをすることで複合的な構造へと変貌していきます。

    三葉の行動には、災害から人を救うという側面と、父の罪の意識を救うという側面、そして自身を救うという側面が同時に描かれています。

    これをどこまで同時進行的に拾えるのか、でこの映画の評価はガラっと変わると思います。



    恋、家族、そして人の生き死という普遍的テーマに加えて、この映画が評価されるポイントがもう一つあると思います。

    それは、東日本大震災への負の感情です。

    物語のクライマックス、未曾有の大災害から三葉や街の人を救うべく、瀧くんは奔走します。
    三葉の友人の助けを借り、三葉自身が父との確執を乗り越え、遂には大災害から人々を救うことに成功します。

    我々はきっと2人に感情移入していて、隕石が落ちた時の描写、音や映像は、間違いなくあの災害を想起させたはずです。

    そして、救われた人々に、我々は無意識下にあった後悔のような感情を洗われたのではないでしょうか。

    時にフィクションや芸術は現実の厳しさから人を救います。

    監督やスタッフの面々にどれだけの意識があったかわかりませんが、我々は負の意識を刺激されたのは間違いないと思います。


    駆け足でここまで書いてきましたが、どうでしょうか。

    僕はこの映画、評価します。

    少なくとも、映像が綺麗なだけの語るべき内容の無いご都合主義の恋愛映画でないことは確かです。

    そういう評価しか目にしてなかったのですが、そういう論調の評論家は今後相手にしませんねw

    やっぱりアニメだから真面目に本腰入れて観てもらえないのかなぁ。

    凄い映画だと思いますよ。


  • 裏L.A.メタル探訪〜ヘアメタルの90'sを再検証〜

    2014-12-31 23:24

    80's再評価の波はNU METALがシーンに台頭してきた頃から行われていたわけだが、それはKING OF POP、マイケル・ジャクソンの死去により決定的となったと思う。

    その文脈の中で、ヘアメタル勢も評価を取り戻したようだ。

    きらびやかでド派手、かつテクニカルなロック。

    結局人々は音楽に楽しむことを求めていた。

    だが、しかし!

    今回は、敢えて裏L.A. METALの入り口にみなさんを誘おうと思う。

    なぜなら、普通に名盤とかやっても面白くないから!

    グランジ/オルタナが猛威を振るっていた90年代初頭、ヘアメタルバンド達は時代に適応すべく切磋琢磨していた。

    新世代のメタル、PANTERAがカッコ良過ぎたことと、METALLICAがスタイルをヘヴィ&グルーヴィに変化させ大成功したことで、ヘアメタルバンド達も一気にそっち方向へと舵を切ったのだ。

    そして、ほぼ全てのバンドが失敗に終わっている!

    結果、あの時代のヘアメタルバンドは全然面白くないよね、そう世間の評価は定まった。

    だが、しかし!(二回目)

    本当にあの時代のヘアメタルバンドはつまらないのか?

    グランジ/オルタナブームの終焉から20年経った今。

    もう一度真剣に向き合ってみようと思う。



    ・グランジ/オルタナティブの分類


    グランジ/オルタナティブと一括りにされているが、そもそもこのジャンルはかなり雑多なスタイルが当てはまる。

    オルタナティブロック、つまり、型にはまらないロックは大体がそこに分類された。

    NIRVERNAはヘヴィなパンク、PEARL JAMは70'sライクなアメリカンロック、SOUNDGARDENはグルーヴメタルからニューウェイヴ的なサウンドまで幅広くこなし、ALICE IN CHAINSは新世代のメタルサウンドを提示していた。

    グランジ/オルタナティブを代表する4バンドですら、音楽的に纏めることは難しく、むしろ扱う題材等に共通点がある。

    その結果、インダストリアルと呼ばれたNINE INCH NAILSやポップスに近いGARBAGE、分類の難しかったR.E.M.等も含まれることとなった。

    筆者は、今回ピックアップしたアルバムを全て聞き直したのだが、90'sヘアメタルバンドの内容は意外と多様性を持っていることに驚いた。

    十把一絡げに重くてかったるいという評価は間違っていると思う。

    なので、今回は解説や感想の他に特徴が一目でわかるような、


    ・サウンド……音的にどの辺りに分類されるのか?

    ・楽曲の出来……ミュージシャン視点でみた楽曲の完成度は?

    ・オススメ度……聴いてみる価値はあるのか?



    の3つを各アルバム毎につけていきたいと思う。

    では、お付き合い願いたい。




    MOTLEY CRUE / MOTLEY CRUE(1994)



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    01.
    Power To The Music
    02.Uncle Jack
    03.Hooligan's Holiday
    04.Misunderstood
    05.Loveshine
    06.Poison Apples
    07.Hammered
    08.Til Death Do Us Part
    09.Welcome To The Numb
    10.Smoke The Sky
    11.Droppin Like Flies
    12.Driftaway


    80'sメタルの権化、MOTLEY CRUE。

    彼らこそが80'sロックの究極系であると言っても過言ではないだろう。

    その彼らが、ハイトーンで美形のヴィンス・ニールからワイルドで荒々しいジョン・コラビにヴォーカルを変えて出した6thアルバムである。

    結論から言えば、今回聴いた中では出色の出来だった。

    そもそも、リーダーのニッキー・シックスの発言等は元々非常にグランジ的であり、デカダンで破滅的なそのライフスタイルは絶望の裏返しであった。

    彼らのリアルさは作られたものではなく、貧困層から成り上がってきたならず者のもつ迫力だったのだろう。

    1989年発表の「Dr.FEELGOOD」で頂点を極めた彼らだが、その時期にドラッグやアルコールから足を洗い、楽曲の作りや演奏力、サウンドの良さは劇的に高まっていた。

    元々スピードやテクニックで押すスタイルでなかったこともこの作風へと繋がっていると思う。

    ヘヴィかつグルーヴィ、リフで押しまくってくるかと思えば美しいメロディが出て来ることも。

    ニッキー・シックスは希代のメロディメイカーだと思うのだが、この作品でもその能力は遺憾なく発揮されている。

    リズムの作り、ストリングス等の楽曲アレンジ、このアルバムだけで聴けるツインギターの使い方等も特筆に値する。

    素直にカッコ良いのだ。

    今の時代からみれば、アメリカでゴールドディスクを獲得していること自体作品の純粋な良さを物語っているのかもしれないが、筆者はもっと評価されるべきという判断を下したい。

    アルバムが発売された1994年は、カート・コバーンが自殺をし、グランジブームは終焉を迎えようとしていた時期。

    シーンにはRAGE AGAINST THE MACHINEやKORNの足音が聞こえ始めていた。

    もし、あと1年早く出ていたら。

    バンド名を変えていたら。

    いっそヴィンス・ニールのまま出していたら。

    たらればは通用しない世界だが、そうなっていれば評価は変わっていたかもしれない。

    いや、しないか。

    ちなみに、この次のアルバム「GENERATION SWINE」(1997)はオルタナティブロックであり、GARBAGE辺りと比較されそうなポップさがある。

    こちらも出来はとても良いのだが、毎回のように音楽性を変える節操のなさにファンは戸惑ったことだろう。


    ・サウンド……グランジ/グルーヴメタル/アメリカンハードロック

    ・楽曲の出来……☆☆☆☆☆

    ・オススメ度……☆☆☆☆☆




    RATT / RATT(1999)



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    01.Over The Edge
    02.Live For Today
    03.Gave Up Givin' Up
    04.We Don't Belong
    05.Breakout
    06.Tug Of War
    07.Dead Reckoning
    08.Luv Sick
    09.It Ain't Easy
    10.All The Way
    11.So Good, So Fine


    MOTLEY CRUEと言えばRATT、なのだが、今回のこのアルバムは取り上げるか少々迷った。

    なぜなら発売が1999年と他のバンドとは全く事情が異なるからである。

    しかしながら、MOTLEY CRUEから始まり、裏L.A. METALと銘打った以上、やらないわけにもいかない。

    L.A. METALムーヴメントを代表する彼らだが、4th「REACH FOR THE SKY」(1988)辺りから人気が下降し始め、グランジブームもクソもなく90年代始めに解散してしまう。

    その後97年に再結成を果たした彼らが、久々に出したアルバムがこれだ。

    外部ライターを使っている為に楽曲のクオリティは高いのだが、普通である。

    80'sの派手さが影を潜めた、普通に心地よいハードロックアルバムだ。

    いや、本当に曲の出来は良いと思う。

    アレンジやメロディは良いものが沢山あるし、ギタリストのウォーレン・デ・マルティーニの成長も著しい。

    しかしながら、歌がそこまで上手いわけではなく、というよりそもそもスティーブン・パーシーは味や雰囲気、個性的、等と呼ばれるスタイルを楽しむタイプのヴォーカリストなわけで。

    作曲陣や曲の方向性等から推察するに、マネジメント側はAEROSMITH的なヒットを狙っていたと思われるのだが、無理があるように思う。

    重ね重ね言うが、アルバムとしての出来は悪くない。

    だが、それは接頭語に「普通に」というのが付いてくる。

    楽曲がそれなりのクオリティなのにあまり良い評価を与えられないというのは、中々おもしろい経験だった。

    2010年にまた再結成をし、「INFESTATION」を発表しているが、そちらは往年の「らしい」スタイルであり、エネルギッシュな演奏等内容的には充実している。


    ・サウンド……普通の歌モノハードロック

    ・楽曲の出来……☆☆☆

    ・オススメ度……☆




    DOKKEN / DYSFUNCTIONAL(1995)



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    01.
    Inside Looking Out
    02.Hole in my Head
    03.Maze
    04.Too High to Fly
    05.Nothing Left To Say
    06.Shadows of Life
    07.Long Way Home
    08.Sweet Chains
    09.Lesser of Two Evils
    10.What Price
    11.From the Beginning
    12.When the Good Die Young


    MOTLEY CRUE、RATTとくればDOKKENしかない。

    DOKKENと言えばスイートでメロディアスな歌とワイルドでテクニカル、個性的なリフが特徴のバンドだが、ヴォーカリストでリーダーのドン・ドッケンとギタリストのジョージ・リンチの仲が悪く、89年に解散してしまう。

    その後、和解し再結成。

    1995年にこのアルバムを発表する。

    メンバーが少し大人になり、良い雰囲気で作ったとされるこのアルバム(内情は違ったようだが)今回聴いた中では1、2を争う地味さであった。

    要は90'sのサウンドで70'sハードロックをやっているのだが、とにかく地味なのだ。

    ハイトーンを意図的に抑えているのかにメロディに抑揚が乏しく、むしろ音域を限定することで曲の作りはかなり苦心したのでは、と思える。

    アレンジもわりとシンプルめ。

    アルバム通して聴くと割に多彩な作風なのだが、前半にそういった曲が並ぶのでよりそう感じるのかもしれない。

    演奏も上手いので安定しているが、ドラムのミック・ブラウンは元々から前ノリ系のドラマーなので、グルーヴィさという部分ではあまり合っていない。

    ギターは伸び伸びと弾いており、ジョージ・リンチが好きなら聴く価値はある。

    Too High To Fly等、80年代にやっていても良いような曲もあるにはあるし、速い曲もある。

    今から聴けば充分に聴ける内容ではあるが、当時期待を込めて聴いたファンはさぞかしかったるかったことであろう。

    良いリフもある。

    良いメロディもある。

    らしい曲やギターワークもある。

    ただ、地味である。

    この次のアルバム「SHADOW LIFE」ではヘヴィなグルーヴメタルに接近するが、やはりこちらもジョージが好きなら聴いても良い、という内容。

    その後ジョージ・リンチが抜けてからのDOKKENは80'sのような音楽性を取り戻したが、どこか毒味に欠けるサウンドになった。


    ・サウンド……ハードロック

    ・楽曲の出来……☆☆

    ・オススメ度……☆☆




    WINGER / PULL(1993)



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    01.Blind Revolution Mad
    02.Down Incognito
    03.Spell I7m Under
    04.In My Veins
    05.Junkyard Dog(Tears On Stone)
    06.The Lucky One
    07.In For The Kill
    08.No Man's Land
    09.Like A Ritual
    10.Who's The One


    WINGERと言えば、ヘアメタルの代名詞的存在である。

    要は、グランジ全盛時代にダサいメタルの代表としてよくイジられていたバンドであり、ダサさの象徴として祭り上げられていたのだ。

    その理由はと言えば、まずルックスが良かったこと。

    そして、ボー・ヒルというこれまたヘアメタルサウンドを代表するプロデューサーがキラキラなサウンドを構築していたことが理由だと思う。

    しかしてその実体はどうだったのか、と言えば、実はそうでもない。

    メンバー全員が既にスタジオミュージシャンやバックバンドのメンバーとして実績があり、楽器の演奏は上手い。

    楽曲に関してもシンプルでトラディショナルなロックンロール主体のモノが殆どだ。

    随所に盛り込まれるアレンジや各メンバーの技量からすると、もう少し派手というか、凝った曲を演っても良いようなものなのだが、そこに拘りが感じられるバンドだった。

    そういえば技量があるがあえてシンプルなロックンロールに拘ったバンド、というとMR.BIGを思い出す。

    要はMR.BIGから灰汁の強い、失礼、個性的な部分を抜いた感じであった、と捉えて頂くとわかりやすいと思う。

    で、今回取り上げるこのアルバム。

    グランジ全盛の1993年にリリースされ、ダークだ、ヘヴィだ、と物議を醸したアルバムなのである。

    一聴してまず思うのは、1st、2ndと一体どう違うのかわからない、ということだ。

    相変わらず楽曲の主軸はトラディショナルなスリーコードロックンロールであり、メロディも基本的には同じようなものだ。

    ダークだ、という指摘についてはプロデューサーが交代した結果でしかないように思う。

    ギターは少しヘヴィになったが、分厚いコーラスワークや空間系のエフェクトを多様するのはボー・ヒルの特徴だ。

    それが無くなっただけではないか。

    元々セッションマン出身ということもあり、リズム隊も優等生的で非常にコンパクトなサウンドに纏められている。

    つまり、重さを感じることは殆どない。

    アルバムを通して聴くとシリアスな側面を感じるが、いかにもシンプルでストレートなロックンロールアルバムだと思う。

    このアルバムにソッポを向いたファンは、結局の所WINGERそのものではなく、ボー・ヒルのプロデュースを含むキラキラサウンドが好みであったのだろう。

    WINGERファンを自任するなら、もう一度このアルバムを手にとってみるべきだ。


    ・サウンド……ストレートなロック

    ・楽曲の出来……☆☆

    ・オススメ度……☆☆




    DEF LEPPERD / SLANG(1996)



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    01.
    Truth?
    02.Turn To Dust
    03.Slang
    04.All I Want Is Everything
    05.Work It Out
    06.Breathe A Sigh
    07.Deliver Me
    08.Gift Of Flesh
    09.Blood Runs Cold
    10.Where Does Love Go When It Dies
    11.Pearl Of Euphoria


    80'sメタル、MTVブームの火付け役、DEF LEPPARD。

    80年代に天文学的なセールスを上げた。

    常々思うのだが、ヴォーカリストのジョー・エリオットの時代を読む力はとても優れている。

    このアルバムは1996年にリリースされており、グランジのムーヴメントは完全に終息していた。

    あえてこの時期を狙ったのだとすれば非常に賢明な選択だったと思う。

    しかし、このアルバムの内容は商業的には完全に失敗だったと言わざるを得ない。

    1993年、グランジ全盛時代にリリースされた未発表曲集「RETRO ACTIVE」はシングルヒットも生み、アメリカでプラチナムを獲得。

    1995年にリリースされたベストアルバム「VAULT」はなんとアメリカで400万枚以上の売り上げがあった。

    この流れの文脈を読んでわかるのは、グランジの風が吹き荒れる中にあっても80's的な、DEF LEPPARDらしいものをファンは求めていたということだ。

    つまり、DEF LEPPARDのファンは“時代”とは既に乖離していたのだ。

    こういった流れを一度横に置いておいて、もう一度このアルバムに収められた楽曲を聴いてみたい。

    改めてこのバンドのソングライティング能力、アレンジの上手さ、細やかなサウンドの作り等には圧倒される。

    あれだけのヒットを飛ばしたのはフロッグではなかった。

    ドラマーのリック・アレンが事故で片腕を失ったことにより早くから電子ドラムを使っていたことも幸いし、デジタルな味付けもすんなりと聴ける。

    楽曲の方向性はオルタナティブロックやポストグランジと呼べるようなもので纏められており、時にはオルタナポップと表現しても良いような曲もある。

    本国イギリスでは既にグランジに対するカウンターとしてブリットポップが大流行していたが、DEF LEPPARDは敢えてアメリカに標準を合わせていたであろうことが伺える。

    80'sのハッピーな部分を極限まで濃縮したような前作、「ADRENALIZE」(1992)からの落差を考えればとんでもない触れ幅なのだが、それ自体がDEF LEPPARDのポテンシャルの高さを示している。

    オルタナとして聴いても、充分に聴けるクオリティだ。

    THE SMASHING PUMPKINS辺りを狙っていたのだろうか。

    なんにせよ、96年という時代が求めたサウンドであったことは間違いない。

    誤算だったのは、アメリカへもブリットポップは飛び火しつつあったことだろう。

    アメリカでもGARBAGEやTHIRD EYE BLIND等、オルタナバンドもかなりポップなものが出てくることになるし、メロコア/ポップパンクのムーヴメントも起こりだす。

    結局、MOTLEY CRUEにせよDEF LEPPARDにせよ、トレンドに追随を始めた時点で勝負は決まっていたのだろう。

    アルバム単位で聴いた時に、このアルバムは間違いなく出来が良く、曲も良いし、演奏もツボを抑えていて心地良い。

    アレンジや楽曲の作りは参考になる部分も多い。

    なまじ時代を読む力があったために、ヒットしなかっただけだ。

    次作「EUPHORIA」では楽曲のモダンさはそのままに80's的なサウンドメイクをもう一度取り入れた。

    これが96年という時代に出ていれば、プラチナム到達もあったのではないか。

    ようやく最近になってDEF LEPPARDは時代よりもファンを対象にした活動へとシフトしている。

    ジョー・エリオットの時代を読む能力なら、若いバンドのプロデューサーをやってもおもしろそうだが。


    ・サウンド……オルタナティブ/ポストグランジ

    ・楽曲の出来……☆☆☆☆☆

    ・オススメ度……☆☆☆☆




    SKID ROW / SUBHUMAN RACE(1995)



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    01.My Enemy
    02.Firesign
    03.Bonehead
    04.Beat Yourself Blind
    05.Eileen
    06.Remains To Be Seen
    07.Subhuman Race
    08.Frozen
    09.Into Another
    10.Face Against My Soul
    11.Medicine Jar
    12.Breakin' Down
    13.Ironwill


    ヘアメタル勢としては最後発のバンドと言える、SKID ROW。

    ガンズを筆頭とするストリート指向のメタルバンドだ。

    歌詞の内容もデビュー当時からシリアスなモノが多く、銃社会の問題を扱っていたり、ストリートに生きる若者の叫びをストレートに表現していた。

    もともとヘヴィな音像であったが2nd「SLAVE TO THE GRIND」(1991)ではヘヴィさやスピード感は増し、パンキッシュな曲等も盛り込み音楽的な拡散も見せ、アルバムは全米1位に。

    そして今回取り上げる3rd「SUBHUMAN RACE」である。

    ヴォーカリストのセバスチャン・バックが作曲に関わり始めたことでよりヘヴィかつグルーヴィな方向へと進んだと言われる本作。

    具体的に何が変わったか、と言えば、メタルっぽいリフやメロディが減少して粘っこいリフやメロディが増えたということ。

    まぁはっきり言ってセバスチャン・バックが関わっていない曲がSKID ROWっぽくてカッコ良かったりする。

    こういう作りのはっきりしたアルバムは扱いに困ったりもするのだが、敢えてセバスチャンの関わった曲について言及するなら、曲の展開にリフレインパートが多過ぎるように思う。

    リフや展開の練り方が雑というか、シンプルというか。

    歌で無理矢理ねじ伏せるスタイル、というと解り易いのではないだろうか。

    良くも悪くもセバスチャンの曲がこのアルバムの個性を明確にしている為、結構カッコ良い曲の揃ったアルバムではあるのだが、印象は薄い。

    バンドとしても“My Enemy”や“Frozen”等、よりヘヴィグルーヴな方向へは向いていたとは思う。

    同時に、“Riot Act”や“Get The Fuck Out”の流れを汲む“Bonehead”、“Subhuman Race”といった曲もあり、二曲のバラードのクオリティも高い。

    サウンドメイクのお陰で平坦に聞こえるが結構起伏のある構成にはなっている。

    今回扱った他のアルバムにも言えることだが、この頃はカラフルにサウンドを彩るのが流行っていなかったのだろう。

    筆者がSKID ROWで一番好きなのは1stだったりするのだが、3枚のアルバムはどれも中途半端な印象がある。

    そういう意味で言えばSKID ROW的平均点はあるか。


    ・サウンド……グルーヴメタル

    ・楽曲の出来……☆☆☆

    ・オススメ度……☆☆☆




    POISON / NATIVE TONGUE(1993)



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    01.
    Native Tongue
    02. The Scream
    03.Stand
    04.Stay Alive
    05.Until You Suffer Some (Fire And Ice)
    06.Body Talk
    07.Bring It Home
    08.7 Days Over You
    09.Richie's Acoustic Thang
    10.Ain't That The Truth
    11.Theatre Of The Soul
    12.Strike Up The Band
    13.Ride Child Ride
    14.Blind Faith
    15.Bastard Son Of A Thousand Blues


    ヘアメタル=POISON。

    言わずと知れたド派手かつおバカロックンロールバンド。

    ヘアメタルの語源はこの人達のことではなかろうか。

    わりと全員イケメンで、かつ演奏が下手クソだったので、WINGER以上にバカにされた。

    ルックスばかりに目が行きがちだが、音楽性に目を向けてみよう。

    1st「LOOL WHAT THE CAT DRAGGED IN」(1986)、2nd「OPEN UP AND SAY… AHH!」(1988)では期待通りおバカで下手クソだが底抜けに明るく能天気なロックンロールを展開している。

    しかしヒットしているだけあって、実はソングライティングのセンスはある。

    ライヴやPV等ルックスで耳目を集め、シンプルなロックンロールの中に小技を効かせる、方法論としてはKISSに近いか。

    続く3rd「FLESH & BLOOD」(1990)では一気に演奏力が向上する。

    歌詞もかなり真面目なものが増え、普通の人でも聴ける内容になった。

    そして、ギタリストをC.C. デヴィルから超絶上手いリッチー・コッツェンに交代してリリースされたのが今回取り上げる4th「NATIVE TONGUE」だ。

    ギタリストの交代は個人的には大成功だと思う。

    なんせ上手い。

    しかも、音楽的な懐が深い。

    バンド全体の音楽的ポテンシャルが一気に向上した。

    バンドを離れる直前のC.C. デヴィルの姿はyoutube等で確認出来るが、明らかにバンドをよりパンキッシュな方向へと誘導しようとしていた。

    それに対してこのアルバムの内容は、よりトラディショナルなサウンドを指向している。

    ブルーズやファンク、ゴスペル等の要素が盛り込まれ、バンドとC.C.の音楽的乖離は明白だ。

    ここまで来るとルックスだけのバカバンドという枠で語るのは不可能だろう。

    バンドとしても、ミュージシャンシップを示したかったに違いない。

    90年代初頭までのインタヴューを見ると、ヴォーカルのブレット・マイケルズはかなりジョン・ボン・ジョヴィを意識していたようなのだが、POISONとしてはBON JOVIの「KEEP THE FATH」(1992)のような役割をこのアルバムに期待していたのだと思う。

    比べるのも何だが、残念ながら説得力で遠く及ばず。

    期待通りの成功は得られなかった。

    このバンドの個性や勢いの部分がどこにあったのか、その辺りを考えればこのアルバムはやはり地味だ。

    リッチーの加入はPOISONの毒味をマイルドにしてしまった。

    ブレットの歌にもう少し説得力があれば。


    ・サウンド……ブルーズロック/アメリカンハードロック

    ・楽曲の出来……☆☆☆

    ・オススメ度……☆☆☆




    WARRANT / DOG EAT DOG(1992)



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    01.
    Machine Gun
    02.The Hole In My Wall
    03.April 2031
    04.Andy Warhol Was Right
    05.Bonfire
    06.The Bitter Pill
    07.Hollywood (So Far, So Good)
    08.All My Bridges Are Burning
    09.Quick Sand
    10.Let It Rain
    11.Inside Out
    12.Sad Theresa



    POISONと同系のバンドといえばWARRANT。

    2番煎じと呼ばれることもある。

    WARRANTもPOISONと同じように派手なルックスに明るいロックンロールで人気を博したバンドだ。

    WARRANTもアルバム毎に成長を感じさせる。

    と言っても二枚なのだが、演奏力や表現力の向上は1st「DIRTY ROTTEN FILTHY STINKING RICH」(1989)と2nd「CHERRY PIE」(1990)を比べれば明らかだ。

    しかし音楽性をレイドバックしていったPOISONとは違い、WARRANTはヘヴィグルーヴ路線へと接近した。

    プロデューサーにSKID ROWの2ndを手がけたマイケル・ワグナーを迎え、サウンドのイメージもまんまSKID ROWの「SLAVE TO THE GRIND」を狙ったという。

    非常にわかりやすいが、WARRANTはここにシアトリカルな表現等も盛り込んでおり、“April 2031”や“Andy Warhol was right”等はSAVATAGEやMARILLIONを思わせるような楽曲である。

    アルバムを通して聴くと、SKID ROWっぽい曲と、細やかでシアトリカル/ドラマティックなアレンジの曲が混在しており、どちらにせよそれまでのポップでキャッチーなイメージとはかけ離れている。

    個人的にはマイケル・ワグナーのサウンドはドラムが薄く、ヘヴィな音像にはそぐわないと感じる。

    いっそ後者の路線に絞った方がアルバムとしては面白かったかもしれない。

    POISONの二番煎じにしておくには勿体ないバンドだ。

    ソングライティング能力の高さは素直に認めるべきだが、やはり“バンド“としての個性や素養というものがある。

    “Machine Gun”をリーダートラックにしたのが間違いだったのかもしれない。


    ・サウンド……ヘヴィメタル/シアトリカルメタル

    ・楽曲の出来……☆☆☆☆

    ・オススメ度……☆☆☆




    L.A. GUNS / VICIOUS CIRCLE(1995)



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    01.Face Down
    02.No Crime
    03.Long Time Dead
    04.Killing Machine
    05.Fade Away
    06.Tarantula
    07.Nothing Better To Do
    08.Chasing The Dragon
    09.Kill That Girl
    10.I'd Love To Change The World
    11.Who's In Control(Let 'Em Roll)
    12.I'm The One
    13.Why Ain't Bleeding
    14.Kiss Of Death


    L.A. GUNSと言えば、GUNS N' ROSESの立ち上げ時のメンバー、トレーシー・ガンズを中心に元GIRLのフィル・ルイスや元W.A.S.P.のスティーヴ・ライリー等のメンバー構成でデビューしたワイルド系ロックンロールバンド。

    ワイルドな1st「L.A. GUNS」(1988)でデビュー。

    より聴き易くなった2nd「COCKED & LOADED」(1989)からはのシングルヒットも出て人気を確立。

    3rd「HOLLYWOOD VAMPIRES」ではよりスリージーにレイドバックしたサウンドを聴かせた。

    が、1995年に発表した4th「VICIOUS CIRCLE」は全く違う方向性を持ってシーンに登場した。

    殆どのバンドがトレンドを追いかける中、L.A. GUNSはパンクを通りこしてハードコアなエッジをこのアルバムに持ち込んだ。

    ある意味で非常にオルタナティブなサウンドである。

    実は筆者はこのアルバムだけ完全な初見であったのだが、こういうアプローチで来るとは思っていなかった。

    3rdまでの流れでいけば、POISONやBON JOVIのような、トラディショナルな、もしくはアーシーなサウンドになっているのだろうと予測していたからだ。

    このアルバムで聴けるサウンドは、1stよりもさらに激しく、ヘヴィさよりもスピードやワイルドな過激さを感じる。

    曲の作りこそスリーコードだったりもするが、リフで押しまくる曲も結構あり、演奏にも気合いが入っている。

    “Chasing The Dragon”等、らしい曲もあるにはあるが、“No Mercy”等1stのサウンドが好みならこのアルバムに収録された楽曲は多いに気に入ることだろう。

    ルーズでスリージーな側面はあまり見られず、前ノリでタイトに決まるリズムが気持ち良い。

    元々そこまで注目度は高くなかったと思われるのだが、そこからさらにマニアックなサウンドスタイルへと移行した為に、評価を下げるもクソも知名度自体が相当低くなったのではなかろうか。

    せめてL.A. GUNSのファンだけでも再評価してあげたいアルバムだ。


    ・サウンド……ハードコア/ハードロック

    ・楽曲の出来……☆☆☆

    ・オススメ度……☆☆☆




    EXTREME / WATING FOR THE PUNCHLINE(1995)



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    01.
    There Is No God
    02.Cynical
    03.Tell Me Something I Don't Know
    04.Hip Today
    05.Naked
    06.Midnight Express
    07.Leave Me Alone
    08.No Respect
    09.Evelangelist
    10.Shadow Boxing
    11.Unconditionally


    “More Than words”のヒットで一気にブレイクしたVAN HALEN型アメリカンハードロックバンド。

    音の定位までVAN HALENなのは恐れ入るが、VAN HALENよりも圧倒的に器用なのが特徴である。

    3rd「Ⅲ SIDES TO EVERY STORY」(1992)ではコンセプチュアルなテーマで明確な個性を提示し、完成度の高い楽曲は高い演奏力と相まって日本やイギリスでの人気を確固たるものとした。

    そのまま個性爆発路線を突き進むかと思われた1995年に発表されたのが今回取り上げる4th「WATING FOR PUNCHLINE」である。

    どうしてこんなにシンプルに纏めてしまったのか。

    非常に地味である。

    相変わらずみんな上手いし、元々VAN HALEN型なのでグルーヴも充分。

    だが、力技でねじ伏せられる程の個性がないから、2nd以降の作曲能力の高さが評価されたバンドなのだ。

    サウンドはソリッドでタイトだし、リフもカッコ良いものが沢山ある。

    しかしまぁ、もうちょっと色々やってみても良かったのでは、と思ってしまうくらいにとにかくストレートなサウンドのアルバムだ。

    ストレートである分、ファンク+メタルというスタイルではレッチリを思い浮かべてしまうし、アメリカンなノリのハードロックをやればVAN HALENが頭をよぎる。

    多才なのと器用貧乏は紙一重なのだと思い知らされる一枚であった。


    ・サウンド……アメリカンハードロック/ファンクロック

    ・楽曲の出来……☆☆

    ・オススメ度……☆☆




    QUEENSRYCHE /HEAR IN THE NOW FRONTIER(1997)



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    01.
    Sign Of The Times
    02.Cuckoo's Nest
    03.Get A Life
    04.Voice Inside
    05.Some People Fly
    06.Saved
    07.You
    08.Hero
    09.Miles Away
    10.Reach
    11.All I Want
    12.Hit The Black
    13.Anytime / Anywhere
    14.spOOL



    今回取り上げる中では一際異彩を放っているQUEENSRYCHE。

    そう、このバンドはL.A.メタルに擦りもしないプログレメタルバンドである。

    なぜこのバンドを取り上げるのか?

    このバンドはルックスがアレだったので、どうやらヘアメタルとして認識されているようなのだ。

    1990年発表の4th「EMPIRE」からのシングルがコンパクトでヒットしたことも影響しているかもしれない。

    で、問題のアルバムが今回取り上げる6th「HEAR IN THE NOW FRONTIER」だ。

    発売当時は正統派のプログレメタルバンドとして名を馳せていたバンドがシーンに迎合した!と批難された一枚。

    今改めて聞き直してみようと思う。

    結論から言えば、最近のアルバムよりずっと良い出来のアルバムだ。

    ギタリスト、クリス・デガーモの脱退はバンドにとって本当に痛手だったのだと痛感させられる。

    リフはグルーヴィなものになっているし、リズムもグルーヴ重視、サウンドも乾いたものになている。

    しかし、今聴けばアレンジ等はかなり練られていることがわかる。

    はっきり言って、5th「PROMISED LAND」(1994)よりよっぽど解り易いのではないか。

    ギターワークも今聴けば充分扇情的だ。

    クリス・デガーモとバンドを脱退したヴォーカリストのジェフ・テイトはもう一度一緒にアルバムを作って欲しいと思った次第。


    ・サウンド……オルタナティブメタル

    ・楽曲の出来……☆☆☆☆

    ・オススメ度……☆☆☆☆




    ・総括


    今回は敢えて評価の低いアルバムばかりを聴き続けてみたのだが、結論から言うと世間の評価はほぼ正しい。

    どんなに力作であっても、WARRANTなら「CHERRY PIE」を聴いて欲しいし、“Talk Darty To Me”も聴かずにPOISONは語れないのだ。


    どんなバンドであろうと、音楽で食っていくという大きな目標、夢に向かって四苦八苦し、ようやく他人から求められるようなスタイルを確立してきたのだ。

    時代というのは時として残酷であり、そのようやく手に入れた成功を一瞬にして奪い去ってしまうこともある。

    そうした状況の中で、積み上げてきた努力を自ら否定し、前へと進もうとしたこれらのバンドには、まず敬意を表したい。

    敬意を表した上で評価を下させて頂く。


    今からでも聴く価値があるのは、MOTLEY CRUEの「MOTLEY CRUE」とDEF LEPPARDの「SLANG」だけだ。


    POISON、WARRANT、L.A. GUNS、QUEENSRYCHEについてはメタルファンなら聞き直すべき。


    SKID ROW、WINGERはバンドのファンなら買っても損はしない。


    RATT、DOKKEN、EXTREMEについてはコレクション目的のマニア、ギタリストのフリーク、その他特殊な事情がなければ聴く必要はない。


    この企画をやるに当たって、一応前後のアルバムも聞き直した上で言えることは、結局バンドがどれだけ本気なのかということだ。

    勝負しにいっているアルバムは、やはりそれ相応に聴き応えがある。

    また、MOTLEY CRUEやPOISONのように、単純にメンバーチェンジ後のメンバーが前任者よりも上手い場合も良い結果に繋がるようだ。


    しかし、せっかく手に入れた顔と名前を放棄するのは非常に勿体なく思うのは筆者が売れないバンドマンだからなのだろうか。


    こんなに低評価の作品ばかり聴き続けたので、次回こういう企画をやる時はベタな名盤特集をやろうと決意する今日この頃である。








    おれがやってるバンド、PSYCHO kui METALLICSのライヴの予定です。

    このブログは趣味に走りすぎていて何をやっている人かまったく解らない、と言われましたので。

    2/12 京都 MOJO
    2/15 樟葉 シャイングホール
    2/20 心斎橋 Footrock & Beers


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