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【Tips】捩ボーン・IKボーンの基礎とモデルのギミック解説(ねじれ対策)
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【Tips】捩ボーン・IKボーンの基礎とモデルのギミック解説(ねじれ対策)

2018-03-07 19:56

    くぅ&みぃの配布物一覧に戻る

    ※個人の理解まとめなので、間違っている部分もあるかもしれないと思って
     読んでくださいませ。


    はい、こんにちは。
    眼鏡男子いいよね!って言っていたら、物欲センサーに阻まれて全然しげはるが
    図書館に来てくれなかった者です。(きょーかさんより後に来るとか……!)


    このブロマガは、知っているようでよく分からない捩ボーンとIKボーンの基礎知識の
    解説がてら、↓の動画で使用しているモデルに使っているちょっとしたギミックの
    解説をしています。

    モデルをDLして実物を見ていただいたほうが、以下の解説が分かりやすいかもしれません。

    物理演算関連の小ネタは別のブロマガにまとめようと思っているので、ここで紹介する
    真新しいギミックは「角度をつけた襟IK」くらいです。
    もしお時間があればお付き合いください。


    1.前提

    (1)ポリゴンの苦手な回転

    ポリゴンには「苦手な回転」があります。

    たとえば、ここに1本のストローがあります。


    これを使って説明しましょう。
    立体空間において、基本の回転は3種類です。

    ①上下回転

    普通に曲がります。

    ②前後回転

    これまた普通に曲がります。

    ③ねじり回転

    ぐちゃっとなっています。めきょってます。
    ストローにとってかなり無理のある動きだということがわかりますよね?

    モデルのポリゴンにとっても、これは同じです。
    ねじり回転は鬼門!
    これはぜひとも覚えておいてください。


    2.ねじり対策

    (1)腕ポリゴンをねじ切れさせない ⇒ 捩ボーン

    準標準ボーンの中に「腕捩」と「手捩」ボーンがあります。
    プラグインで入れるから、細かいことはよく知らないというモデラーさんも
    いらっしゃるでしょう。
    実はこれらのボーンは、ポリゴンをめきょっとさせないためのボーンです。

    ポリゴンがねじ切れてしまわないための方法の1つが、ちょっとずつ捩じるという
    方法です。

    腕ボーンにとっては
     ねじり回転 = ローカルX軸
     前後回転  = ローカルY軸
     上下回転  = ローカルZ軸
    です。

    腕捩ボーンを使用するモーションは、腕ボーンにはローカルX軸回転をさせていません。
    腕ボーンでねじるのではなく、腕捩ボーンでねじっているからです。

    準標準ボーン追加プラグインで左腕捩ボーンを作成すると、左腕捩ボーンと
    一緒に左腕捩1~左腕捩3という非表示ボーンが増えていますよね?
    左腕捩1は 左腕捩からの回転影響の付与率が0.25、
    左腕捩2は 左腕捩からの回転影響の付与率が0.5、
    左腕捩3は 左腕捩からの回転影響の付与率が0.75に設定されています。

    つまり、まとめるとこうなります。

    前後と上下の回転は腕ボーンの時点で終わっています。
    (前後と上下の回転は肩付近でコンパクトに終わっていないと、関節ではなく
     軟体動物の動きになります)
    ですが、ねじり回転だけは段階的に分散されていることが分かると思います。

    ですのでモデルのウェイトはこの順番のグラデーションになります。



    このようにウェイトを乗せることで、ひじのあたりまでかかって、ポリゴンを
    ちょっとずつねじっているのです。
    これだけゆっくりねじれば、ポリゴンもねじ切れません。
    捩ボーン万歳!

    というわけで、モデラーにとっては、皆様に捩ボーンを使っていただけると
    心底ありがたいのです!

    「腕ボーンをねじり方向に回転しない」というのは、ボーン構造がそうなっているのでは
    なく、モーションを作成してくださる方がそう使ってくださっているだけなので。


    捩ボーンでのねじ切れ対策は、
    「モデルを使う方との協力の上で成り立っている」
    という大きな特徴があるのです。



    そこで、皆様にぜひともご紹介しておきたいのがこちらの便利ツール!


    標準ボーンで作成されたモーションなど、捩ボーンを使用せずに腕やひじボーンの
    ねじり回転を使用しているモーションを捩ボーンを使用するモーションに変換して
    くれる便利ツールなのです!!
    ぜひ! ぜひ使ってくださいませ!!!


    ……ところで、お気づきでしょうか。
    捩ボーンを使ってくれと言っている割に、このモデル、ひじから先の袖部分が全部
    ひじボーンだけのウェイトになっていますね。
    手捩ボーンはどうした? と言われそうです。
    この先は、捩ボーンではない方法でねじ切れ対策をしています。



    (2)ひじから先のポリゴンをねじ切れさせない
      ⇒ ポリゴンを切っておく


    実はこのモデル、袖の中身と袖のポリゴンがつながっていないのです。

    袖の中身






    模式図で書くと


    こんな感じ。
    緑の袖(手首方向からの覗き込みのときに不自然にならないよう、折り返しつき)と
    黄色で示した手首~手のポリゴンが、完全に分離しています。

    手捩ボーンを使用したモーションの場合、
     袖部分 = ひじボーンにウェイト = ねじり回転なし
     手部分 = ねじる! (このモデルでは一応、手捩2~3も使っていますが、
                 完全に手捩ボーンにウェイトを乗せてもいいくらいです)
    となるので、中身だけがねじれ、外側の袖はまったくねじれません。

    上の模式図の黄色の部分を持ってねじっても、緑の部分はねじれないままで問題ないのは
    お分かりいただけると思います。

    袖口のポリゴンと手首のポリゴンがあまりにも近いと中身をねじったときに
    ポリゴンが突き出てしまうおそれがあるので、その点だけ注意が必要ですが、
    ポリゴンを分けておくとどれだけねじっても何の問題もないので、楽ちんです。

    ただしこれも、「ひじボーンでねじらない(手捩でねじる)」という使い方を
    していただかないと、あんまり意味がない構造です。
    ひじボーンでねじり回転をすると、ひじ関節部分で一気にねじることになり、
    ねじ切れてしまうので……。

    ノースリーブなど、素肌の見えているモデルでは、途中でポリゴンを
    切っておくことは難しいので、その場合には(1)のように、
    捩ボーンたちにグラデーションでウェイトを乗せていくことになります。



    (3)襟まわりのポリゴンをねじ切れさせない
      ⇒ 襟IKボーン


    体の動きでよくねじるのは、腕やひじだけじゃありません。
    困るのが、首回り。
    さすがに真後ろを向くことはないと思いますが、短い範囲で結構ねじります。

    基本的に首元は、体部分と服の部分でポリゴンを分けておく方法が使えます。

    ですが、その場合もっと大きな問題として、
    首が横を向いたとしても、洋服の襟は回らないはず
    という問題があります。




    でも、襟のウェイトを全て上半身2に乗せてしまうと、前後や横に倒したときに、
    首と一緒に動いてくれないので、首がつきぬけてしまいます。


    襟のポリゴンは、

     前後回転(Z軸回転)と左右回転(X軸回転)のときは首と一緒に動く
     ねじり回転(Y軸回転)のときだけは回転しない

    という特殊な動きを求められているのです。


    しかも。
    首に関しては、捩ボーンは普及していません。
    誰も使わないなら、捩ボーンにウェイトを塗っても意味はないので、捩ボーン以外の
    方法で、ねじりとそれ以外の回転を分離しなければなりません。

    そこで今回ご紹介するのが、襟IKです!

    T0R0様のブロマガで紹介されているので、モデリング上級者の方はそちらをご覧
    いただいたほうが説明がコンパクトです。
    ここでは、もう少しかみ砕いてIKとはなんぞや?から説明してみようと思います。


    【IKとは】
      IKとは、ボーンを動かす仕組みの1つです。

    ■普通のボーンの場合

    まず親ボーンを動かして
     

    それから子ボーンを動かします。
     

    MMDモデルでいえば、体幹 → 腕 → ひじ → 手 → 指 の順番で
    ボーンの動きを決めていきます。

    ですがこの方法、不便な場合があります。
    それが、
    末端のボーンの到着地点を、ビシッと決めたいとき!

    机の引き出しに手を持っていきたい場合など、はっきりとした目的地があるとき、
    体幹から順に角度をつけていく方法では、どうしても最後の到着地点の場所が
    合わせにくい!

    そこで登場するのが、IKなのです。
    IKは(普通のボーンとは逆に)、
    子ボーンの到達地点から、親ボーンの角度を逆算して動かします。

    足IKは、足先が地面に着くように、ひざとももの角度を自動計算しています。

     普通のボーン:親→子の順に動く
      親ボーンがどの向きを向いたかで、子ボーンの位置が決まる

     IKボーン:子→親の順に動く
      子ボーンが目的の位置に来るように、親ボーンの向きを決める


    たとえるなら
     IK : アメちゃん
     IKターゲット :アメちゃんにホイホイされる子(おびき寄せられるターゲット)
     IK影響下ボーン:子どもに振り回される親(・祖父母……)
    みたいな感じです。

    子どもはアメちゃんのある場所に行こうとしますので、その親は、子どもが行く場所に
    振り回されて向きを変えるのです。



    実例で見てみましょう。
    QM式しげはるにはあまり見やすい例はないので、MMD標準付属モデルの
    あにまさ式初音ミクVer2の左髪IKを見てみます。



    左髪7(左髪6ボーンの表示先)と、左髪IKの場所はぴったりと重なっています。

    ボーンの設定画面(見やすさのため、ボーン順序を入れ替えています)


    それぞれの設定項目を詳しく見てみましょう。

    ①「性能」チェックボックス

    IKボーンは、「回転」「移動」「IK」の全てにチェックを入れます。
    そして、手動で操作するボーンだと「表示」「操作」にチェックが入ります。

    ②IKターゲット

    IKターゲットとは、そのIK地点に来てほしいボーンです。
    IKで動かそうとしているボーンの表示先ボーンになります。
    (IKで動かすボーンの先は、相対設定ではなく、表示先ボーンを作成する必要があります)

    このミクモデルの場合、左髪6の先っぽがIKの場所に来てほしいので
    左髪7(左髪6の表示先ボーン)がIKターゲットです。

    ③Loop・単位角

    IKは、「子ボーンが目的の場所に来るように、親ボーンの角度を逆算で決める」仕組みです。
    その逆算の正確性や緻密さを設定するのがこのLoopと単位角です。
    ここは、少し分かりにくい設定項目ですので、赤字の部分だけ分かってくだされば、
    あとは何となくでも流しておいてください。

    Loopは逆算のための計算テストを行う回数なので、
    Loopが0の場合、そのIKは無効です。
    Loopの数字が大きいと、計算の正確性が上がります。
     Loopの数値はなんとなく5~10くらいをよく見る気がします。
     IK影響下ボーンがたくさんある場合には、あまり小さい値を入れないほうがいいです。

    単位角は、ボーンの角度を何度きざみで計算するかという値です。
    (ただしこの数値の単位はたぶん、よく見る360度の「度」ではなく、ラジアンかなー?)
    例えば20度きざみとして計算するより、10度きざみとして計算するほうが
    繊細な角度で曲がります。
    ですが、長いボーン列をIKで動かす場合には、
    10度きざみで計算すると先の方のボーンが動くだけで目的地に着いてしまうのに対し、
    20度きざみで計算すると根元の方のボーンまで使ってなめらかに曲がって目的地に
    着くようになる場合もあります。
    そもそも単位角の数値の単位も分かりにくいので、他のモデルで使用されている
    単位角の数値をそのままコピペしてみるなど割と適当に設定しています。

    ④IKリンク(IK影響下ボーン)

    Linkというところに書かれているボーンリストが、そのIKで動かすボーンたちです。
    このボーンリストの上から順番に、ボーン列の先に近い方から並べます。

    子どもの保護者連絡先リストなので、子どもに近いほうから並べてください。
    IK(アメちゃん)に誘われて、ふらふらとついていくIKターゲット(子ボーン)に
    ついて動くのは、まずは直接の親であり、おじいちゃん、ひいおじいちゃんは
    親が動いても届かなかったときに一緒に動いてくれる感じなのです。
    このリストに名前がない「左髪1」については、(左髪2の親であっても)
    IKの影響をまったく受けずに、普通のボーンとして動きます。
    (左髪2は、子ボーンとして左髪1についていきながら、子どもたちを遠目に
     見守って、必要とあれば子どもたちのために動く)

    自分でIK設定をする場合の方法
    まずIK影響下に入れたいボーンを選択して右クリック→「Indexコピー」を選択
       

    IKボーンを選択し、IK Linkのところで右クリック→「Indexコピーから追加」
     

    これで、IK影響下ボーンリストに加わります。
    (複数のボーンをまとめてIndexコピー→追加することもできます)

    また、IKには角度制限をつけることができます。
    MMDモデルにおいて、角度制限をつけることができるのは
    (捩ボーン以外では)IKボーンだけです!!

    左髪IKには角度制限はついていないので、ミクさんの足IKを見てみましょう。


    IK影響下ボーンリストから左ひざを選択すると「角度制限」にチェックが入っています。
    (下の入力窓に数値を入力したとしても、「角度制限」にチェックを入れないと
     角度制限は働かないので注意)
    X軸方向(ひざボーンにとっては前後回転)が「-180から-0.5」の範囲で回転できますが、
    Y軸方向(ひざボーンにとってはねじり回転)とZ軸方向(左右回転)はできない設定です。

    もし、角度制限にチェックを入れたけれども、
    どこかの軸については角度制限をしたくないという場合には、
    「0」から「-1」など、上限値が下限値より小さくなるように値を入力します。


    このIKによる角度制限は、ボーンの動きを思い通りに制御したいときにとても
    重要な機能です。ただし、IKの角度制限はボーンのローカル軸ではなく、
    常にグローバル軸での制限しかできないという弱点があります。
    (腕ボーンのねじり回転をIKで制限しようとする場合に問題になりますが、
     このあたりの詳しいことはまたの機会に)




    【IKの動きの特徴】

     IK : アメちゃん
     IKターゲット :アメちゃんにホイホイされる子(おびき寄せられるターゲット)
     IK影響下ボーン:子どもに振り回される親(・祖父母……)

    ・子どもはアメちゃんのある場所に行こうとする
     (届かないなら、IKのある方向に向かって力いっぱい引っ張る)
    ・親は、子どもが行く場所に合わせて向きを変える
    ・IK影響下ボーンにおじいちゃんボーンがいたとしても、おじいちゃんが動くのは
     親だけでどうにもならない場合だけ

        

        

    ・子どもはアメちゃんのある場所にたどりつければそれでいいので、
     アメちゃんがななめになっていても気にしない!
     (IKは目的地なので、IK自体が回転していてもそれを無視する!)



    髪IKをY軸回転させているのですが、髪のボーンが回転していないことが
    分かるでしょうか?
    この図で分かりにくい場合は、ご自分でミクさんの髪IKを(物理演算OFFで)
    回転させてみてください。
    どちらに回転させたとしても、左髪2~6はまったく動かないことが
    分かると思います。

    IKは「どこにあるか」という場所だけが問題なのであって、IK自体が
    回転していようがそんなことは些細な問題なのです。
    (ただし、IKに子ボーンがある場合、IKが回転すればIKの子ボーンは回転する)


    【襟IKの原理(基本)】

    やっと話が襟IKに戻ってきました。
    襟IKは、「IKボーン自体の回転は、IK影響下ボーンに影響しない」という
    IKの性質を使っています。

    図で説明します。
    一番単純な、首ボーンの真上に頭ボーンがあるモデルで考えます。

    ①モデルのボーンは、こんな感じで並んでいます。
        

    ②首ボーンを複製して襟ボーンを作ります。
     図では分かりやすいように横に並べて書きましたが、
     首ボーンと襟ボーンは同じ位置、襟先ボーンは頭ボーンと同じ位置です。
        
     襟ボーンの親は上半身2、表示先は襟先。
     襟先ボーンの親は襟、表示先はなし。

    ③襟先ボーンと同じ位置に、襟IKボーンを作ります。
     襟IKのターゲットは襟先ボーンにし、襟ボーンをIK影響下ボーンにします。
        
     襟IKボーンの親ボーンを首ボーンにします。

    すると……
    首ボーンを横に倒してみます(Z軸回転)。
       
    襟IKは首IKの子ボーンなので、首ボーンの回転につられて動きます。
    IKターゲットは、IKの場所まで動くので、襟ボーンはそれに引っ張られて
    回転します。
        
    そのため、首ボーンと襟ボーンがぴったりと重なる状態になります。
    首を前後に倒した場合(X軸回転)も同じように、首ボーンと襟ボーンは
    一緒に動きます。

    では、首ボーンをねじってみましょう(Y軸回転)
           
    この状態で首ボーンをねじった場合、首ボーンは真上を向いていますので、
    襟IKの場所は動きません
    襟IKは首ボーンにつられて回転していますが、位置としては変わらないのです。

    ですので、襟ボーンはまったく動きません

    襟にIKを仕込むことで、
    ねじり方向の回転だけを完全にキャンセルすることに成功しました!


    あとはここにポリゴンのウェイトを乗せましょう。
     服の襟のポリゴンは、襟ボーン
     首のポリゴンは、首ボーン

    それぞれウェイトを乗せれば大丈夫です。



    【襟IKの構造(T0R0様版)】

    T0R0様のブロマガで紹介されている襟ボーンは、実はこれよりもう少し複雑です。

       
    首ボーンと同じ位置に、もう1つ「襟IK親」というボーンを作ります。
    襟IK親の親ボーンは上半身2で、表示先は襟IKボーンです。
    襟IKボーンの親は、首ボーンではなく襟IK親に設定します。

    そしてミソとなるのがこの部分!


    襟IK親ボーンに、首ボーンの回転影響を設定します。
    ここでは回転付与率が0.8とされています。
    こうすることによって、首ボーンが前後左右に40度傾いたとき、
    襟ボーンは32度だけ傾くことになります。

    襟が首から少し離れているとき、
    首ボーンの前後左右の傾きも、首ボーンそのままの回転量では動きすぎになるので、
    襟ボーンの回転量をこの回転付与率で調整しているのです。

    襟の形状などによって、適切な回転付与率は変わってきますので、
    モデルに合わせて調整してみてください。




    【角度をつけた襟IK】

    ちょっと真新しいギミックの話をしましょう。
    先程まで紹介していた襟IKは、首ボーンの真上に頭ボーンがある場合の話でした。
    したがって、襟IKボーンは首ボーンの真上にあり、襟ボーンは直立しています。

    この襟IKが、首ボーンの真上でなければ何が起こるでしょうか?
    ここで皆さん、↓の動画から、31式kwbtモデルをダウンロードしてきてください。


    このブロマガを書いている時点で、31式kwbtモデルはver.1.01が配布
    されています。
    ダウンロードしたモデルさんのイケメンぶりを堪能したら、ちょっと
    モデルの構造を見てみましょう。

    ボーンリストから「マフラーIK親」「マフラー」「マフラー先」「マフラーIK」
    4つを選択し、「表示」にチェックを入れます。
    襟じゃなくてマフラーになっていますが、襟IKみたいなものです。


    これらのボーンをPmxView画面で確認すると、↓のように
    マフラーボーン・マフラーIKが前傾しています。






    このマフラーIKは、角度制限をしています。

     X軸回転(首を縦に振る方向。前後回転) -100 から 5 まで
       : うつむく方向には100度まで、のけぞる方向には5度までしか回転しない
          ※首がのけぞったときにマフラーが持ち上がるのを避けるため。
           のけぞったとき首の後ろがマフラーに突き抜けますが、
           髪の毛やらマフラーでほとんど見えないのでいいかなと。

     Y軸回転(首を横に振る方向。ねじり回転) 0 から 0 まで
       : 回転しない
          ※マフラーねじりたくない。

     Z軸回転(首をかしげる方向。左右回転) -100 から 100 まで
       : 左右ともに100度までしか回転しない
          ※基本的に人体でそれ以上首を傾ける必要性がない


    この状態で、首ボーンをY軸回転すると何が起こるのか、やってみましょう。

    このマフラーIKは、首ボーンから離れた場所にあるため、
    首ボーンをY軸回転すると、マフラーIKの場所が変わります。


    マフラーIKが移動するので、そのマフラーIKに対応して、マフラーボーンが動く……
    のですが、このマフラーボーンはY軸回転ができないように制限されています。

    Y軸回転ができない、けれどマフラーIKのある場所になるべく近づきたい。



    実はこのマフラーボーンの、真正面から見たときの回転は、
    Y軸方向の回転ではなく、Z軸方向の回転に近い状態になります


    そのため、この前傾したマフラーIKは、
    首ボーンがY軸回転したとき、
    マフラーボーンがZ軸回転します。
    (X軸回転もしますが大きく動くのはZ軸回転です)


    こんな感じに。


    なんでこんなIKが必要なのかというと、
    首ボーンがY軸回転したとき、マフラーがまったく動かないと、
    あごがマフラーに埋まってしまうのです。

    マフラーはねじりたくない。でもあごが埋まるのは避けたい。
    そこで、この前傾したマフラーIKで、
    首ボーンのY軸回転をマフラーボーンのZ軸回転にふりかえ、
    マフラーがあごを避けるようにしてあるというわけです。


    マフラーIKを前傾させればさせるほど、
    首IKがY軸回転したときにマフラーIKが大きくZ軸回転します。



    31式kwbtモデルさんの首ボーンを色々回転させてみていただければ、
    マフラーIKがなかなかいい仕事をしているなと感じていただけるでしょう。

    (もともとは、31式kwbtモデルのβ版の首ボーンが前傾していたので
     それに合わせてIKを組んでみたら、偶然こんなIKができたのです)

    いま、「首ボーンを」色々と回転させてみてほしいと書きました。
    実は……、このモデルのセットアップにちょっかいを出していたときに、
    私がうっかりしておりまして。

    あごってさ、首だけじゃなくて、頭ボーンを動かしたときにも動くよね……?

    頭ボーンの動きに対応するの、すっっっっかり忘れてました!!!
    頭ボーンが回転すると、あごが容赦なくマフラーに突き抜けます。
    なんてこった……;;



    そこで、首ボーンを動かしたときでも、頭ボーンを動かしたときでも
    襟ボーンがいい感じにあごを避けてくれるようにしてみたのが、
    冒頭で紹介したQM式しげはるです。
    もう1回動画プレーヤーを貼り付けるとさすがにうっとうしい気がするので
    動画情報だけ貼っておきます。


    口元が襟で隠れているデザインは、「書きたいことが書けなくなった」という彼の立場を
    表しているそうです。設定しんどい。

    そして首や頭をちょっと動かせばすぐ襟にあごが刺さる。セットアップもしんどい。

    とりあえず、QM式しげはるモデルの、「襟~」という名前のボーンを
    まとめてつかんで、表示ボタンをぽちっとな。
    (基本的に首と頭を動かせば襟が動くので、通常操作で使わないボーンは非表示に
     したほうが使い勝手がいいかなと、積極的に非表示にしてあります)



    そして表示されたボーンがこちら。


    実はこの眼鏡のつる、外した後にたたみやすいよう、こだわりのローカル軸設定が
    してあります! ……というのは本題ではなく。

    前傾した襟IKが2段になっています。


    ややこしい構造なので分かりやすく伝えられる自信はありませんが、
    何とか解説してみようと思います。


    [コンセプト]
    襟IKに、首ボーンだけでなく、頭ボーンの動きも伝えたい。


    というわけで、首ボーンだけでなく、頭ボーンからも襟IK親に回転付与……
    といきたいところですが、頭ボーンの回転をそのまま襟IKに伝えると、問題が起きます。

    頭だけで小首をかしげたとき、襟が頭と同じように動くと、

    こうなってしまいます。

    実は
    頭ボーンの左右回転(Z軸回転)のとき、襟はほとんど動かないほうが
    自然なのです。


    というわけで、
    頭ボーンの動きから、Z軸回転をなくした動きが知りたい!


    ですが、
    頭ボーンのZ軸回転がまったく襟の動きに影響を与えないようにすると今度は
    頭ボーンを大きくZ軸回転させたときに

    こうなってしまいます。


    襟に対して、頭ボーンのZ軸回転はあんまり伝えなくてもいいけど、
    ほどほどには伝えないといけない!




    そのために使っているのが、「襟0」から名前が始まるIK構造です。
    ここも、斜めにしたIKで回転を他の軸に振り替えています。
    原理はマフラーIKと同じです。

    これで、頭ボーンの動きのうちで、襟が動くべき回転だけを取り出しています。


    [上の段のIK構造]
       頭ボーンのZ軸回転を(X軸と)Y軸回転に振り替え

      襟IK親0  親:首
        回転連動:頭から付与率1

      襟0  親:首
        襟0IKのIK影響下ボーン = このボーンの動きが、襟に伝える頭の回転

      襟0先  親:襟0
        襟0IKのターゲット

      襟0IK  親:頭
        
      ※角度制限の考え方※ 頭の動きのうち、襟に伝えたい範囲を設定
       X軸回転:頭がうつむくとき(マイナス回転)
              →襟が動いて顔をよけてほしい。
               でもあんまり襟が動くと襟がつぶれてしまうのでほどほどに。
            のけぞるとき(プラス回転)
              →襟と頭はあまりぶつからないので襟は動かなくてもいい。
       Y軸回転:頭が回転するときには襟も動いてほしい。
       Z軸回転:頭が回転しても襟は基本的に動かないでほしい。
            (斜めIKなので、他の軸の動きとしてちょっとは伝わる)



    この「襟0」ボーンの回転を襟IKに伝えれば、
    襟IKが頭の動きにも対応できることになります。



    [下の段のIK構造]
       上の段で取り出した頭ボーンの動きと
       首ボーンのY軸回転を(X軸と)Z軸回転に振り替え

      襟IK親  親:上半身2
        回転連動:首から付与率1

      襟IK親2  親:襟IK親
        回転連動:襟0から付与率0.6

        親:上半身2
        襟IKのIK影響下ボーン = 襟ポリゴンのウェイトをのせるボーン

      襟先  親:襟
        襟IKのターゲット

      襟IK  親:襟IK親2
        
      ※角度制限の考え方※ 襟ボーンの動いていい範囲を設定
       X軸回転:うつむくとき(マイナス回転)
              →襟の形がくずれない程度に動く
            のけぞるとき(プラス回転)
              →のけぞるときに襟が伸びると前から見て不自然。そして
               後ろで首が襟からはみ出しても、このモデルは髪の毛で
               あんまり見えない
              ⇒襟はあまり動かない。
       Y軸回転:襟がねじれるので動いてほしくない。
       Z軸回転:首の動きに合わせて襟が動いてほしい。


    このモデルで襟ボーンの位置が首ボーンより後ろになっているのは、
    そのほうが襟がいい感じに動いたというだけなので、モデルに合わせて
    調整してみてください。
    襟IKの位置は、頭ボーンと重なっている必要はありません。


    自モデルにこの構造を組み込むときは、角度制限のところのコメントと
    ↓の図を参考にしてみてください。


     ※モデルを横から見た図※





    ちょっと複雑な構造ですが、
    この「角度をつけた襟IK」は、こんな風に大きな襟やマフラーがあるときに
    モデルのあごやほっぺがぶつかるのを防ぐのに使えると思います。



    このブロマガを見た三一さんは、もしよかったらkwbtさんに
    もう1段前傾IKを入れてみてください。



    というわけで、今回のモデリングTipsはここまで。

    次回は、前髪や肩までくらいの髪の物理演算設定の小技と
    別演算なのに下側が突き抜けないダブルコートの物理演算の小技を
    解説してみようという気でいます。
    気が向いたら。
    (追記)サラふわ髪の毛編できました!→ar1492866

    朔ちゃんのたもとの設定は、IKの知識が前提になるので、先に
    こちらを説明したほうが分かりやすいかなとこちらから解説してみました。



    この情報が、皆様の素敵なMMDライフの一助となりましたら幸いです。

    みぃ  

     その他のTips→よくある物理演算が滅茶苦茶になる原因とその対策ar410658
            モデルやアクセサリの描画順についてar234462
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