北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
■ラーメン活動月報(1月)
□告知/スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
『グルメイベントの怪しい落とし穴』山本剛志
これまでラーマガのコラムでは、ラーメンイベントの意義や課題について語り、成功するだけでなく失敗に繋がる落とし穴もあると語ってきた。しかし今、それどころではない大きな問題が発生している。「グルメンピック」と名付けられたイベントがそれである。
このイベントは「2020年東京オリンピックに向け、日本各地のグルメを世界に発信」をスローガンにして、2017年2月に東京と大阪で開催されると告知され、各飲食店に資料が郵送されていたという。昨年後半から、ラーメン店主がFacebookなどで「これってどうなの?」と公開して話題になっていた。出店希望の250店舗以上から出店料として20~80万円、延べ6000万以上を集めていたが、2017年1月になって突如「開催延期のお知らせ」を送付。「これって詐欺なのでは?」と報じられ、出資者が被害者の会を作るなどの動きに繋がった。主催者側は「2月末までに返金する」としてFAX番号を告知しつつも、本社を退去して取材に応じず、FAXも繋がらない状況。返金期限が守られなければ刑事事件になるため、状況は予断を許さない。
「グルメンピック」は、公開されているホームページも作りが雑で、リンクが繋がっていないなど不審な点が多かった。勧誘された人がFacebookやブログなどで紹介している資料を見ると、イベントに慣れたラーメン店主が訝しがるのも納得できる。まず、東京会場の日程が「土日を除く2週間」となっていて、グルメイベントの書き入れ時である週末に開催されない。運営会社にイベント開催の実績が全くなく、本社も移転を繰り返している。本社の電話番号を調べた人もいて、怪しげなハーブを売っている会社と同じだと判明。何故か運営事務局は沖縄にある。1日で3~5万人を集客すると言いつつ、広告代理店やメディアとのタイアップがない上に、SNSへの拡散もされていない。
その一方で、厨房設備や店舗スタッフを用意しますといったり、売上が想定を下回った場合は返金保証をするといった安請け合いをしている一方で、保健所から厳しく指導される米飯の販売にも規制がないなど、衛生管理などに懸念を感じさせる。「本来40万円の出店料を今なら20万円で」という煽り文句も不自然。開催延期を発表する3日前まで勧誘の電話をかけていたといい、この規模のイベントを実施可能と判断していたか、甚だ疑問に思える。
ラーメン店の大半は、Facebookなどの繋がりでこのイベントを疑問視していたが、それを知らずに振り込んでしまったお店もあるらしい。彼らが悪意を持って詐欺を行ったかは現時点で断言できないが、材料の仕入れや交通機関のキャンセル料といった所で既に損害を受けている店もある。今後もこういった詐欺行為が出てくるかもしれないが、お店の方にはここで挙げた「不審な点」をまずはチェックして、参加の可否を判断してほしい。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は昨年12月に移転リニューアルオープンした「麺や厨」の「うっ鶏そば」を山路と山本が食べて、語ります。
「うっ鶏そば」750円