北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー『必食の一杯』
秀ちゃんラーメン@肥後白石「ラーメン」
□告知/スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
『汁無しの可能性』山路力也
個人的にはこれまで「汁無し」というものに対してあまり興味を持てずにいた。ラーメン原理主義を隠し持っている私としては、やはりスープの中に麺が入っていてこそラーメンであり、百歩譲って麺とスープが分離したつけ麺は許せるとしても、スープそのものがなくなってしまった「汁無し」はどうにも受け入れ難いものがあったのは事実である。
もちろん中国料理には古くから「拌麺(ばんめん)」と呼ばれる汁無し麺の文化があり、イタリアンのパスタも同様であろうが、汁無し麺自体を否定しているわけでは決してない。あくまでもとラーメンの一ジャンルとしての汁無しはどうなのか、という意味である。
いまだラーメンの一ジャンルとして汁無しを認めたくはない自分がいるが、その一方で日本独自の汁無し麺文化は注目すべきところが多いと感じている。中国の拌麺やイタリアのパスタとも違う独自性が感じられるのが日本の汁無し麺だ。それはやはりタレと油のバランスと、何より旨味の使い方に他ならない。タレはもちろん肉味噌や魚粉などでさらに旨味を強調させる。やはり日本のアドバンテージは旨味なのだと感じさせる。
ラーメンでは旨味をスープに落としこみ、独自の汁麺文化を生み出した。同様に旨味をより強調、特化した形の日本の汁無し麺文化が発展していくのではないか。ならば、ラーメンの派生形ではなく「汁無し」「油そば」「まぜそば」などの汁無し麺を一ジャンルにした方が良いのではないか。この料理の総称を「まぜそば」と定義して「まぜそば文化」を推し進めていくことは出来ないか。ラーメンから混ぜそばが独立する日を夢見ている。
□クロスレビュー『必食の一杯』
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は9月にオープンした話題の新店「六坊担担面」の 「日式汁なし担々麺」を、山路と山本が食べて、語ります。
六坊担担面@池袋