北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
【北島秀一】
味の工房 菜苑 本店@浅草「タンメン」
中国ラーメン揚州商人 新横浜店@新横浜 「排骨ワンタン麺」
すみれ 新横浜店@新横浜 「正油ラーメン」
らーめん鶏喰~TRICK~@吉野町「味玉鶏醤油」
白河中華そば@仲町台「中華雲呑麺」
麺や維新@目黒「塩らぁ麺」
ばいこうけん 東京@東京「しょうゆ」
龍旗信 関西空港店@関西空港「龍旗信ラーメン」
らーめん セアブラノ神@四条大宮「背脂煮干そば」
新福菜館 本店@京都「中華そば(並)」
ソラノイロ salt & mushroom@麹町「ソラの肉ソバ」
鮮魚らーめん 五ノ神水産@淡路町 「かけらーめん 雲丹搾り」
みそ味専門 マタドール@北千住「贅沢濃厚味噌らぁ麺」
三忠食堂@弘前「中華そば」
中華そば にぼし(☆☆)@聖愛中高前「煮干中華」
■拉麺人インタビュー
□クロスコラム
■異論激論!
□告知/スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
「私は味噌ラーメン派です(笑)」山路力也
先日、テレビ朝日の深夜番組「侃侃諤諤」で「醤油ラーメンと味噌ラーメン、今食べるべきはどちらか?」というテーマを扱った。ラーメン店主さんやラーメン評論家、ラーメン好きなどがそれぞれの立場で醤油ラーメンや味噌ラーメンについて熱く語り合い、そのVTRをスタジオで見ているMCの太田光さんがジャッジする、という内容だ。私もその論客の一人として出演させて頂いた。
最初に企画段階でお話が来た時に、ディレクターさんが「山路さんはどちら派ですか?」と聞いてこられので「どちら派でもないですから、どちら派でもいいですよ」と答えた。しかし大半のラーメン好きの方たちはここで「醤油」と答えるのだろうと思う。それは醤油の方がスープの素材の味が分かりやすく、高度なことをやっているようなイメージがあるからだろう。また、どこかで「味噌好きは味音痴」のように思われている空気感も無いとは言い切れない。通ならば醤油(もしくは塩)というのがセオリーのように思う。
「恐らくラーメン評論家さんやラーメン好きの方たちの多くは醤油派と言うでしょうから、僕が味噌に回った方がバランス良くなるのではないですか?」と聞いたら、読み筋通りフードライター、ラーメン評論家、ラーメン好きの誰もが醤油派だと(苦笑)。そこで私は「味噌ラーメン派」として味噌ラーメンについて熱く語って来た。ノンポリの私は自分の主張よりも番組が面白くなる方を迷わず取る。
私が味噌ラーメンを推す主張の骨格はこうだった。「味噌ラーメンは調理段階で野菜などを炒める音や香りが感じられ、食べる前から聴覚や嗅覚を刺激する。食べる前から美味しさを感じられるのは味噌ラーメンのアドバンテージである」「味噌ラーメンはスープ、具材、味噌ダレを中華鍋で一緒に調理する。決められた量のスープとタレを計量して入れて混ぜるだけの醤油ラーメンよりも、遥かに高度な調理技術が必要となるばかりか、スープに熱も入り、スープとタレと具材の旨味がしっかりと乳化して美味しさが格段に高まる」
人間とは面白いもので、そんなことをカメラの前で力説していると、本当に味噌ラーメンの方が料理としての完成度が高い食い物なのではないかと、自分自身で思うようになってきてしまった(笑)。なので、きっと今年は例年よりも味噌ラーメンを食べる率が高くなるだろうから、美味しい味噌ラーメンのレビューも是非御期待頂きたいと思う。ちなみに、番組の結果としては「醤油ラーメン派」の勝利。理由は太田さんが味噌汁が嫌いだからということだった(笑)。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は支那そばやで3年半の修業を経た若き店主が昨年12月に独立開業した『らぁ麺 すぎ本』の「醤油らぁ麺」を三人が食べて、語ります。
「醤油らぁ麺」700円