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北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
「ラーマガ」THE RAMEN MAGAZINE
#046 新年号

・北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
・2015年1月10日発行(月3回)1月第1号(通刊 第47号)

【目次】

■巻頭コラム
 「新年のご挨拶」(山路力也)

□クロスレビュー「必食の一杯」
 つけ麺 たけもと@雪が谷大塚「東京軍鶏そば」

■ラーメン実食レビュー

【北島秀一】
  つけ麺 たけもと@雪が谷大塚「鶏と魚介のつけ麺」

【山路力也】
  豚骨匠麺 九州魂@下北沢「海老も薬膳も楽しむ2種つけ麺」
  博多一風堂 関内店@関内「白丸元味」
  金龍ラーメン 御堂筋店@なんば「ラーメン」
  キラメキ・チキンハート〜鶏のきもち〜@山ノ内「とりとんこつらーめん」
  KENZO cafe@中洲川端「ラーメン」
  ホウテン食堂 奉天本家@中洲川端「博多もつニラソバ」
  本格とんこつラーメン 味元@赤坂「味元とろ旨角煮ラーメン」

【山本剛志】
  ラーメンK@朝霞台「ラーメン塩」
  日向屋@佐野「ラーメン」
  はたお商店@前橋「中華そば+鯖の押し寿司」
  我流家@中城村「つけ麺」
  鶏だしgaryu-ya@沖縄市「つけ麺」
  ストライプヌードル@北谷町「ステーキラーメン」
  前田食堂@大宜味村「牛肉そば」

□拉麺人インタビュー 
 知見芳典<麺屋棣鄂 社長>①
 『製麺所を継ぐつもりはさらさら無かった』(聞き手 山路力也)

■異論激論!
 『サービスの在り方について』

□告知/スケジュール

■編集後記


■巻頭コラム
「新年のご挨拶」山路力也

 新年あけましておめでとうございます。2013年にスタートした「ラーマガ」としては2回目のお正月を迎えます。昨年はラーマガの共同編集者であり、ラーメン評論家の嚆矢的存在でもあった、北島秀一さんが逝去された年でありました。ラーメン業界的には「支那そばや」の佐野実さんも急逝された、哀しい一年でありました。

 北島さんが亡くなった時にも書きましたが、ラーマガでは今も北島さんには共同編集者として名を連ねて頂いています。やはり三人で始めたラーマガですから、いつまでもここに居て頂きたいなという思いと、遺された私と山本さんの二人で編集していく中で、北島さんだったらどう考えるか、という視点を忘れないようにしようという思いでもあります。

 北島さんの逝去後から、ラーマガでは多くのラーメン界の論客の方々に寄稿して頂くようになりました。その結果、より立体的で奥の深いラーメン考察が出来ているのではないかと自負しております。今年も今まで以上に充実した内容のラーマガをお届け出来たらと思っていますので、どうぞ御期待下さいませ。

 さて、2015年最初のラーマガです。これまでも北島さんのレビューは毎号欠かさず掲載しておりましたが、新年号では久々に「クロスレビュー」と「異論激論」でも3人が揃い踏みです。ラーマガの中では今も北島さんは生きています。今年も3人のラーマガをどうぞよろしくお願い致します。


□クロスレビュー「必食の一杯」

 一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は雪が谷大塚の人気店『つけ麺 たけもと』の「東京軍鶏そば」を三人が食べて、語ります。

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つけ麺 たけもと@雪が谷大塚
「東京軍鶏そば
」750円

cb368627c2fbc425ac738eed0008c8a195bb0d70北島秀一

 少し前にメインの「つけ麺」のレビューは書いたが、その時に券売機で見かけて気になっていた「軍鶏そば」を食べてみた。前回は夜の閉店間際だったが今回はランチタイムの終わった平日の14時に近い時刻。この時間帯でも常時8割、時々満席と言う具合。やっぱり繁盛している。

 「軍鶏そば」は一言で言うなら鶏清湯(半濁くらいかな)タイプの醤油ラーメン。チャーシューは鶏とレア風仕上げの豚の二枚。メンマは乗らず、これは細切りタケノコかな。一般的な青椒肉絲のタケノコくらいの太さか。金属製のレンゲに揚げネギが載せられて添えられてくる。

 スープの鶏(軍鶏)は、そう風味は強めていないが、最初じんわり、それからぐいぐいと旨味が舌に浸透してくる感じ。口に含んだ時にはやや軽めに感じながらも飲み込む時には重厚な印象が残る。重厚と言いつつ、良いバランスで魚介の風味も入ってくる為か飽きる感じもない。しっかり計算したスープだなあ。 麺は中細くらい。「ざっくり」と「もっちり」と「つるつる」した食感が全部同居しているような、不思議な麺だ。が、これもまた美味いなあ。ヤワ麺好きの私なので個人的にはもう少し茹でてみたいが、ノーマルの歯ごたえもかなり美味しい。具材は二種類のチャーシューもつけ麺で食べた時と同じように美味しい。またタケノコも歯ごたえが良いアクセント。

 本当は「替え玉」にあたるミニ和え麺の「替え竹」にも興味があったが、胃袋的に余力が無くて今回はパス。つけ麺とは全く異なるラーメンだが、どっちもハイレベルだな。ここ数年増えてきた「2~3種類を食べないと真価が分からない」と言う、ラヲタとしては嬉しい悲鳴が出るタイプのお店だと思った。【ラーマガ022号より転載】

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 これまで足を運べていなかった宿題店にようやく。本来ならばつけ麺専門店なのでつけ麺を食べるべきところだが、やはり軍鶏を使った汁そばは訴求力が非常に高く、本来つけ麺よりもラーメンが好きな私としてはどうしてもこちらを選んでしまう。

 清楚なビジュアルは落ち着きを持っていながらも、食欲を強烈に喚起させるもの。スープは上品な味わいの鶏出汁で、軍鶏の風味をさほど強めることなく魚介と醤油をバランス良く配している。麺は村上朝日の麺でザクッとした食感とモチっとした食感がある個性的な麺。麺単体で味わうとなかなか存在感があって美味しいのだが、比較的調味も控えめで繊細な味わいのスープと合わせると、若干親和性に乏しい印象を受けた。また、麺の量が通常で200gと比較的多めなのも気になった。麺とスープのバランスを考えると麺は160gくらいの方が良かったのではないかしら。もしくはスープを少し多くするか、丼自体を変えるか。いずれにしても麺が多い(スープが少ない)という印象を覚えるバランスだった。

 さてこうなるとやはりつけ麺が気になるところ。今さらではあるけれど、近々再訪してつけ麺や他のメニューも試してみたい。地元の年輩のお客さんも少なくなく、地元に愛されていることが伺える。こういうお店には長く続いて欲しいなぁと切に願う。

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 「つけ麺」を看板に据えながら、醤油味の汁そばも提供しているこちら。「軍鶏」という響きに期待が増幅される。軍鶏が持つ力強さを感じつつ、すっきりした清湯のスープなので口当たりは重くない。最近多い「鶏清湯スープの醤油味」と見た目には近いものがあるが、力強くバランスを取っているので、それらと同一視されることはないだろう。

 具には鶏と豚1枚ずつのチャーシュー、タケノコとネギにカイワレ。いずれもがスープを邪魔せずそれぞれの味も楽しめる。特に細切りしたタケノコは味も染み、食感のアクセントにもなっている。

 少し気になったのは麺。中細と中太の中間くらいの太さで、スープに対しての相性で考えると、ざっくりとした食感がスープに対しては浮いていたかもしれないと思える。この麺はつけ麺にマッチしそうだけど、汁そばならば、もう少し茹でて、スープと一体化した味を感じてみたいとも思える。

 もう一つ気になったのが、金属製のレンゲに乗せられていた揚げネギ。揚げネギ自体はスープへの味変効果もあり、味に深みが加わってくる。それ自体はいいのだが、丼が大きく手に持ってスープを飲めないので、レンゲでスープを飲みたい時に使えないという問題が発生する。一旦揚げネギを麺の上に乗せ、味が変わる前のスープをレンゲで飲もうとしたが、レンゲに揚げネギの香りがついていて少し印象が変わってしまった。まあ、レンゲをもう一つもらえばよかったのかもしれませんが。

 それはさておき、「鶏と魚介のつけ麺」や「煮干そば」などもあり、他のメニューも試してみたいお店である事は確か。駅からも近いので、沿線の人は気軽に訪問してほしいと思った。

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つけ麺たけもと
東京都大田区南雪谷2-12-6
東急線「雪が谷大塚」駅より徒歩2分


■ラーメン実食レビュー

 数あるラーメンの中で、今食べるべきラーメンはどれなのか 三人のラーメン評論家が日々食べ歩いた数多くのラーメンの中から、特に印象に残ったラーメンをピックアップしてご紹介。「ラーマガ」でしか読む事が出来ない、渾身のラーメン実食レビューです。

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【つけ麺 たけもと@雪が谷大塚】
「鶏と魚介のつけ麺」800円