■「ラーマガ」本誌に載せきれなかったレビューを掲載する「ラーメンレビュー増刊号」です
「ラーマガ」本誌では、各号で7件の個別レビューを掲載しています。遠征や連食などで、そこに収まらない私のレビューを、随時「ら~マニア共和国」で掲載します。
今回は広島汁無し担担麺と東海地方の遠征、堀切菖蒲園の新店3軒をあわせて、13軒のレビューを掲載します。ラーマガ本誌と合わせてお楽しみください。
□目次
1.広島汁無し担担麺レビューを無料公開!
・梵天丸@五日市
・くにまつ@立町
・武蔵坊@中電前
・キング軒@中電前
・麻沙羅@袋町
<本誌56号で「麺屋三郎」「まるの」「髙松」「喜多楽」のレビューを掲載>
<本誌57号で「玉ぐすく」「一陽軒」「らんまん」「博多一丁」のレビューを掲載>
<本誌58号で「すみれ」「Menkouともや」「麺屋さくら」「昭和呈」のレビューを掲載>
・ばりばり軒@一宮<博多とんこつラーメンの人気店>
・山田屋@市役所前<うどんや丼物が並ぶ老舗食堂の中華そば>
・中山うどん@桜<きしめんと中華そばのミックス?>
・おかめ堂@伊勢松本<おかみさんが作るラーメンとお好み焼きとたい焼き>
・うをよと@常滑<伝統の"競艇ラーメン"を継ぐ者>
3.堀切菖蒲園の新ラーメン店レビュー
1.広島汁無し担担麺レビューを無料公開!
【梵天丸@五日市】
「汁無し担担麺ミニ」400円
広島遠征初日8軒目。2011年に開店し、2014年に現在の場所に移転してきた。閉店した「麻辣商人大芝店」で働いていた人の店で、広々とした店内にはカウンターとテーブル席が並んでいる。メニューは多く、汁無しだけでなく汁ありの担担麺や、豚骨ラーメンもある。汁無し担担麺については持ち帰りも可能との事。
「汁無し担担麺」をミニサイズにしたのでボリュームは控えめ。麺は東京浅草開化楼の中太麺で、青ネギと肉そぼろが麺を覆っている。辛くない「0」から激辛の「4」までの間で選べる辛さを「3」で指定したが、これが結構辛い。豚骨スープを少量加え、ラー油と花山椒がたっぷり入っているので、かき混ぜて啜るごとに辛さが鼻を抜けていく。天日干しして苦味を抑えたという青ネギがシャキシャキとした食感で辛さを緩和させ、肉そぼろは辛味を吸収してくれる。卓上には「自家製ラー油」「自家製辛口えびラー油」「花山椒」「唐辛子」「黒酢」といった味変アイテムが並んでいるので、辛さや痺れを増したい時、逆に緩和したい時にはそれらを活用できる。
同行者のとんこつラーメンは豚の味がちゃんと出ている豚骨醤油味で、すっきりした口当たりの中にコクを感じるもの。どちらを食べても飽きが来ない。
かき混ぜて 辛さがネギの 間抜き
赤麺 梵天丸
広島県広島市佐伯区五日市中央7-5-11
JR山陽線「五日市」駅からバス「五日市落合」下車徒歩1分
【くにまつ@立町】
「汁無し担担麺3辛」580円+「ミニライス」30円
広島遠征2日目2軒目。広島汁無し担担麺の「中興の祖」と呼べるのがこの店。もともとは長野県松本市でラーメン店を営んでいたが、広島汁無し担担麺の祖である「きさく」の味に惹きつけられて、2009年に広島へ移住。汁無し担担麺のレシピを公開した事で、広島市内に汁無し担担麺の大ブームを引き起こした。そんな店に敬意を表して開店時刻に訪問。辛くない「0辛」から激辛の「4辛」、そして芝麻醤を使わずに独特の辛さを表現した「KUNIMAX」や、中華そばなどの限定メニューが並んでいる。こちらでも汁無し担担麺の持ち帰りが可能。私は3辛をミニライス付きで注文。
ラー油と芝麻醤がきいた、醤油ベースのタレは鶏ガラスープもブレンドしているので、麺と絡めてもスルスルと食べられる。味付けして炒めた挽肉とネギを、たっぷり掛けられた花椒をしっかりかき混ぜれば、更に食欲に勢いがついてきて、一気に食べ終わってしまう。卓上には「酢」「鎮江香酢」「一味」「七味」「担々麺のタレ」が並んでいるので、味変も思いのまま。ミニライスをタレの中に投入してかき混ぜれば、麻辣ごはんとなってこれもクセになる。次回はKUNIMAXの方も食べてみたい。
汁無しに 心が有って 広まった
中華そば くにまつ
広島県広島市中区八丁堀8-10
広島電鉄「立町」停留所から徒歩5分
【武蔵坊@中電前】
「芳醇醤油ハーフ4辛」350円
広島遠征2日目3軒目。お好み焼き店をやっていた人が汁無し担担麺にハマり、くにまつで修業した後2013年に開店。スープに入れる鶏や野菜の量を増やし、調味料の味付けにも独自の工夫を凝らして、個性ある店を作り上げた。こちらの汁無し担担麺は、芝麻醤を使った「濃厚胡麻」と、使わない「芳醇醤油」の2種類。辛さは「0辛」から「4辛」と、更に辛いメニューも。持ち帰りも可能。汁あり担々麺やラーメンはメニューにない。時折限定で「シンガポールなすカレー」が提供されているそうだが、この日は食券機で売切表示。どっちにしようか悩んだけど、個性がありそうな芳醇醤油を、ハーフサイズがあったのでそちらで注文。
ラー油の味がシャープに舌を襲うが、陳皮や八角、高麗人参などを加えているというだけあって、辛さ一辺倒にならない味に、少量のスープが深みを加えている。ストレート麺を、タレや挽肉、ネギと絡めればさくさくと食べられる。上に乗っているのはセロリで、辛みのリセットと香りづけの効果を出している。
卓上には「青」「赤」「若」の3種類の山椒に、花椒、ラー油、醤油ダレがある。特に山椒の違いが楽しいので、是非ここでそれらの違いを楽しんでみてほしい。次回は濃厚胡麻だなぁ。
山椒を 三種揃えて 立ち上がる
汁なし担担麺 武蔵坊
広島県広島市中区富士見町5-12
広島電鉄「中電前」停留所から徒歩7分
【キング軒@中電前】
「汁無し担担麺3辛」580円
広島遠征2日目4軒目。オフィス街の一角に店を構えていて、12時を過ぎたら一気に行列になっていた。メニューは汁なし担担麺のみで、辛さはやはり「0」から「4」の5段階。ここでも持ち帰りが可能。ラーメンや汁あり担々麺も置かず、汁無しだけで店内は大賑わい。ご主人は「くにまつ」のレシピをきっかけに中国四川省でも学び、自分好みの味にアレンジしていっているとの事。
ブレンドしたタレに中細ストレート麺をあわせ、3種類の山椒を3通りの挽き方で9種類の山椒を作り、季節によってブレンドの割合を変えているとの事。まずは掲示されている食べ方の通り、20回かき混ぜてからいただく。山椒のキレにタレのまろやかさで、一気に食べる事ができる。卓上には山椒、鷹の爪、醤油ダレ、酢が置かれているので、これで味を変えたり、締めでご飯を入れていただく「担々ごはん」にも活躍する。
これまでも、新宿や銀座など、都内でイベント出店してきたが、5月下旬に芝公園に店舗を開店して東京進出。広島の味としてどこまで浸透するか、注目のポイントです。
広島の 味で東京 殴り込み
汁なし担担麺専門 キング軒 広島大手町店
広島県広島市中区大手町3-3-14
広島電鉄「中電前」停留所から徒歩2分
【麻沙羅@袋町】
「あぶりチーズ乗せ汁なし担々麺」650円
広島遠征2日目5軒目。ご主人は東京で2年間ラーメンの修業をし、地元広島で汁無し担担麺のブームを知る。そこで様々な店を食べ歩き、オリジナルの汁無し担担麺を目指すしたとの事。メニューは汁無し担担麺専門だが、チリトマトやあぶりチーズを乗せたアレンジメニューや、夜限定の「スープ入り汁無し担担麺」という不思議なものも。こちらでは辛さと痺れに分けて「0」から「4」の5段階から選べるようになっているので、辛さ「3」痺れ「4」で注文。
八角やシナモン、クローブなども入れて辣油を作っているとの事。そのため、確かにカレーっぽいスパイスも感じるが、決してカレー粉を入れたわけではない。そういえば、この店名もカレー屋さんっぽい。魚介スープを少量加え、手もみ麺の上から山椒をかけている。この麺が力強く、かき混ぜれば啜り心地のよいもの。チーズを炙る際に、チーズに隣接した麺も軽く炙られ、そこが独特の食感を示している。チーズの中に球状で入った挽肉は、牛と豚の合挽き。そのためか、チーズとの相性がとても良い。汁無し担担麺の魅力をきちんと示しながら、それ以外の味も楽しめる所が、人気のポイントかもしれない。
まっさらの キャンバスに描く 土地の味
汁なし担々麺 麻沙羅
広島県広島市中区大手町2-6-8
広島電鉄「袋町」停留所から徒歩1分