露木行政書士事務所・露木幸彦と申します。
さて前回までは元・光GENJIの大沢樹生さんのケースを題材に、
離婚のタイミングで親子DNA鑑定を行った相談事例をご紹介しました。
今回はその続きです。
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http://ameblo.jp/yukihiko55/
些細な喧嘩が原因で、この夫婦は別居に至ったのですが
妻に気持ちが通じたのか、
別居から半年後、妻が「子供と3人でアパートに暮らしたい」と
言ってきたのです。
結婚から別居までは彼の実家に暮らしていたのですが、
そのことも妻のストレスの原因だったのかもしれません。
「やっと帰ってくてくれる!」
彼はそのことを大変喜び、すぐにアパートの契約をしたのですが、
妻に入居日を尋ねたところ、いきなり手の平を返すかのごとく
とんでもない返事をしてきたのです。
「やっぱり一緒に暮らしたくない。離婚して欲しい」と。
さすがの彼もいい加減、堪忍袋の緒が切れたようで、
もはや離婚に反対する気力は残っていませんでした。
また子供が小学校に入学するタイミングなので、
これ以上、宙ぶらりんな生活を続け
この件を長期化させるわけにはいかないという
事情もあったようです。
確かに子供とは血がつながっていません。
しかし、彼は子供のことを可愛がっており
今まで、いろいろなところに遊びに行き、楽しい思い出が残っているので
最後は「子供のために」離婚する決心をしたのです。
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しかし、彼のケースは、ただの離婚ではありません。
「ただの離婚」だって、慰謝料や財産分与、
年金や保険などで揉めに揉めるのに
今回の場合、「子供をこのまま『自分の子』にしておくべきかどうか」という
非常に難しい、難しすぎる問題に直面せざるを得ないのです。
離婚と同時に「自分の子」ではなくなるのなら、
もう少し、話は簡単です。
ただ、実際のところ、何の手続もしなければ、
妻が親権者、彼は非親権者となり
子供に対して養育費の支払義務、
面会を求める権利、そして子供には相続権が発生します。
これは「ただの離婚」と同じなのですが、
それは嫌なら、子供との縁を切らなければなりません。
具体的には家庭裁判所に「親子関係不存在の訴え」を
申し立て、彼と子供がDNA鑑定をし
その結果、「親子ではない」という鑑定結果が出れば、
裁判所がその職権で戸籍を修正するという流れです。
今までの戸籍は、彼と子供が親子だったけれど
「親子だ」という記述は削除され、
また子供の戸籍の父親欄は「空欄」になるのです。
このように彼にとっても、
子供にとっても人生を左右するほどの大問題なのですが
彼はどのような決断をしたのでしょうか?
「子供の将来を考えて、迷いに迷ったのですが・・・・
露木先生のおっしゃる方法で
親子の縁を切ることに決めました。」
彼は「産みの親」と「育ての親」を
はっきりさせることを選んだようです。
もちろん、血のつながりを重視するという意味で、
おかしなことではないのですが
とはいえ、気持ちのつながりに目をむけると、
なかなか複雑でもどかしい部分も多いのです。
もう少し、彼の話を聞いてみましょう。
「息子は自分のことを実の父親だと思い、慕ってくれたので
当然、断腸の思いでした。
しかし、妻が自分に対して、
裏切り続けたことを思うと、やはり憎いことは憎いのです。
そんな性格の妻ですから、息子のことを曖昧にしておけば、
あとあと揉めるのは確実ですし、もし、今でも本当の父親と
やり取りがあるのなら、息子もそっちに行った方が
最終的には幸せになれるだろうし、きっと私のことを忘れてくれるでしょう。
そう願いたいのです!
それはそれで私は立ち直れないかもしれませんが・・・」
彼はそんなふうに苦しい胸のうちを明かしてくれました。
苦渋の決断だったことがひしひしと伝わってきて、
聞いているこちらも胸が苦しくなりますね。
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さて、彼は子供との血縁関係を明らかにする道を選んだのですが
具体的には家庭裁判所に対し、
「親子関係不存在の訴え」を申し立てる必要があり
それに伴い、細かい手続についての相談が続きました。
「こういう経緯なので、お互い、
お金のやり取りをしないことで決着できそうですし
おかげ様で離婚はすんなり決まりそうです。
先に離婚届を出して、妻側に子供の親権を移し
その後で『親子関係不存在の訴え』を
行えば良いのでしょうか?」
具体的にいうと、離婚前に親子関係を取り消すと、
その時点で親権者は夫婦2人から、妻1人に切り替わります。
その状態で離婚する場合、離婚届のなかで
親権者を選ぶ必要はなく、自動的に「妻が親権者」となります。
一方、離婚後に親子関係を取り消す場合、
その時点ではまだ、彼は子の父親なので、親権を持っています。
ですから、離婚届のなかの「親権者の欄」には、
妻の名前を書かなければなりません。
どちらにしても、最終的には親子関係を取り消すのだから、
結果は同じなのですが、手続の難易度がやや異なります。
これはどういうことでしょうか?
離婚前なら、妻は早く離婚したいがために、
すんなりDNA鑑定の手続に協力するでしょう。
一方、離婚後ですと、元夫と連絡をとりたくないがために、
裁判所に出頭しなかったり鑑定に協力しなかったり、
子供を鑑定機関に連れて来なかったり、
不誠実な態度をとる可能性があります。
もちろん、妻としては、早く本当の父親を
「本当の父親」にしたいのでしょうから
最後には観念するでしょうが、せっかく離婚できたのに、
また妻に振り回されるのでは何をやっているのか分かりません。
ですから、やはり、面倒なことは離婚前に綺麗さっぱり
済ませておくのが賢明です。
彼は追加でこんな質問をしてきましたが、
それに対するアドバイスは、上記の内容で事足りるでしょう。
「もし、親子関係不存在の訴えをしている最中に、離婚届を出すのは
あまり、望ましくないのでしょうか?
と言いますのも、子供は4月から小学校にあがるので、
できれば、4月までに離婚届を出し、住民票を移動させたいのです。
親子関係不存在の訴えが終わるのは
3ヶ月後という話でしたので、4月までに間に合いそうもありません。
とりあえず、DNA鑑定まで済ませておき、
3月中旬くらいに離婚届と転居届を出してしまい
5月頃に親子関係不存在の訴えが終わるという
流れでもよろしいでしょうか?」
そして最後の最後ですが、彼はこう言い残し、相談を終えたのです。
「このような相談をしなければならないこと
自体が本当に悲しいです。
だって何の罪もない、可愛い子供を傷つけて
しまっているのだから。とても辛いです。」
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