2014年12月11日 差し押さえ①
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2014年12月11日 差し押さえ①

2015-01-22 12:51

    「お母さんから直ぐに帰ってくるように電話があった。」
    そう告げられたのは残業をしている最中だった。
    私は電話を変わり、事務員の人から同じ内容を聞かされた。誰かが不幸に遭ったのか、それとも事故で救急車で運ばれたのかと心配になり慌てて母に電話を掛ける。
    受話器を受け取った母は想像とは違った冷静な対応。兎にも角にもここに居てはらちが明かない。上司に挨拶をし、帰路に向かった。
    道中様々な事が頭を過る。「帰ったら話す。」と言うことは少なくとも誰かが不幸に逢った訳では無いと選択肢を消した。続いて私自身の事で呼び出された可能性を考えてみる。
    真っ先にニコニコ動画へアップロードしたアニメの本編が浮かんだ。削除されても観れるようにしようと考え、コメント欄にtorrentとPDのダウンロード情報を書いてしまった。文字を背景と同化させ通常では見えないようにしていたが、権利者からすれば言い訳でしかない。それが最も高い可能性だと思う。
    次に、インターネットでの音楽配信が怪しいと思った。私は常に音楽が聴ける環境。簡単に言うと垂れ流し続けていたのだった。そのスレッドでは賛否両論だったが、ここで止めてしまったらレスに屈したこととなる。それは何としても避けるべき状況だったが、それよりも先ずは配信が問題視されることを避けるべきだった。
    後悔先に立たず。やってしまったことは取り返しが付かないし、仕方の無いことだ。相手からすれば仕方の無いで済まされる事態では無いが、それは双方の考え方の差異なので今議論すべきではない。そもそも一人家へ向かっている最中なので議論も何もないのだが。
    違法アップロードが原因なのは確定として、次は家へ帰る理由を考えた。
    今直ぐに帰る理由はただ一つ。家に何者かが待機しているからだ。警察は朝に来ると知っていたから違う。だとしたら権利者かその弁護士が来ていると推測する。だが裁判官からの開示請求が無い限り、私の身元を知る手立てが有り得ないことも知っていた。個人での請求を行う場合、通常はプロバイダ側から私宛に同意を求める通知が来る。いや以前来たことがあったのだ。その件は既に解決していたのでこの一見とは完全無縁。それは間違いない。
    ここで考えたところで出来ることは身構えることくらい。なんせ起きる前なら対策の仕様もあるのだが、事件が進んでしまってから対策なんて遣りようがない。そもそもパソコンが今からの目的地。つまり自宅にあるのだから積んでいる。
    そうこうしている内にと家へと着いてしまった。帰るときの日課であるポストを見ようと思ったが、そんな事態で無いことは既に予測済みだ。真っ直ぐ家の玄関を開ける。
    そこは異様な光景であった。狭い玄関に所狭しと置かれた見知らぬ靴。何とか他の靴を踏まないように意識を集中しながら玄関を入ると旅行鞄が見えた。遥々とここまで来たのだなと思いながら立ち止まる。

    「アラシー君だね。私○○県警の○○と言う者です。」

    遂に来たか。もう後戻りは出来ない。観念して彼等の指示を従うこととした。
    少し話が聞きたいと、両親とは別の部屋に連行され「何か思い当たる伏しはあるかな」の問いに答えた。
    一つは動画投稿サイトへのアップロード。もう一つは音楽のアップロード。配信と言う言葉は避け、大雑把に答えた。
    「その音楽はどこにアップロードしたのかな?」
    配信は無関係だと察し、torrentとPDへアップロードしたと答えた。
    「PDにどんな曲をアップロードしたのかな?」
    正直なとこと全てのタイトルは覚えていない。なんせ100以上のファイルをアップロードしていたので、私は思い浮かんだアニメのタイトルを述べた。
    「○○(アニメの作品名)はアップロードしなかった?」
    あ…はい、しました。この調子である。自分でも何を上げていたのか記憶の彼方へと置き去っていたのだった。
    こうしたやり取りを何度か繰り返し、実際にパソコンを見せてほしいと言われ部屋へと案内した。

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