2015年01月09日 留置所②
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2015年01月09日 留置所②

2015-02-11 19:34
    寝付けない。頻繁に目が覚めてしまう。普段の私なら玄関だろうとパソコンデスクの前だろうと、場所を選ばず寝付くことが出来る。そんな私が深い眠りに着けないのだ。
    夜は消灯され、小さい電気が付く仕組みだが、トイレのみ、そのまま薄暗い灯りが覗かせる。

    朝を知らせる灯りが付いた。この起こされ方は修学旅行を思い出い浮かべる。右下の窓にほうきが刺さっている。私が勇者なら剣を抜きドラゴン退治をしに悪い魔法使いを討伐していた所だが、逆に討伐され牢獄されては世話がない。
    掃除をするのか。寝起き早々この労働は身体に堪える。布団をたたみサッサッサ。チリトリ無いけどサッサッサ。雑巾渡されゴシゴシゴシ。バケツの水をトイレで流してはいおしまい。牢が閉まっているので待機していると畳の上には髪の毛だらけ。まあそんなものだ。

    順々に雑巾とバケツを片付け、そのまま洗面に入る。言い忘れていたが寝る前に返却したコップはほうきと一緒に渡される。
    暫くすると朝食だ。コップを出して下さいの号令がかかり、私はコップを差し出す。
    「熱いのとぬるいのどっちが良い? 」「ぬるいの」
    白飯の上には漬物か乗せられている。後から味噌汁が配膳され食事を摂る。
    大の野菜嫌い。目の前の味噌汁には野菜がざく切りになって入っている。ざく切りのキャベツ、ざく切りのニンジン、大根、普段食べないのでよく分からない野菜諸々。器の過半数を野菜で占めている。残すわけにもいかず、口の中に味噌汁を入れながら野菜を噛み砕き、喉に流し込む。
    やっとのことで食べ終え、器を戻した。

    「運動の時間だ」
    運動。通常ならラジオ体操やジョギングを連想するだろうか。読んでいる人も何をするのか考えてみて欲しい。なんだろう。



    連れてかれた先で男性1人、ドアに向かって腕を動かしていた。
    よく見るとドアには鏡が付けられ、男は顔に向かって腕をU字に動かしているのが分かる。髭剃りと爪切りが置かれ、地面には段ボールが敷かれていた。スーパーで見掛ける商品名が印刷されA段の段ボールだ。A段は厚さ5mmになっており、幅広く使われる万能段ボール。キーボードに例えるならCherry MX茶軸のような扱いを受けている。

    昔からペンを握るときに爪が食い込んだら切るような人間なので爪切りは無視して髭を剃ることにした。電動シェイバーは何年ぶりだろうか。ひさしぶりだねぇ。
    帰ってきたらメルクールに浮気したことを謝らなくてはならない。剃り終わったら歯ブラシで掃除をする。

    「本替えだ。」
    表紙カバーの外された本が並んでおり、図書館みたく背表紙の下側に数字が書かれたシールが貼られている。
    小説なんて涼宮ハルヒとゼロの使い魔しか読んだことがない。当然本棚を眺めても未知のタイトルしか並んでいない。
    見かねた看守に知ってる映画とかないのかと訪ねられたが、あいにく映画には疎く、最近観たのが「アイカツ!」と言う体たらく。だがあれは素晴らしかった。これまでのアイカツ!歴史を振り返っている気持ちになり、大空あかりちゃん率いる3期メンバーにバトンを渡す意味でも観ておいた方が良いだろう。
    閑話休題にして本棚に戻す。うーん、この中で知っているタイトル…あ、夏目漱石の坊っちゃんは知ってるぞ。永遠の0も聞いたことがある。ガール・ミーツ・ガールは似たタイトルのアニメがあったよな。3冊選び終え、再び牢に戻る。

    「入浴の時間だ」
    外で入るお風呂ほど面倒なことはない。なんせ私はパイパン至上主義なのでツルツルなのだ。いや剃ったのは数日前なのでチクチクだ。
    着替えを取りに行き、昨晩渡された石鹸を手にしいざニューヨークへ。
    お風呂の温度は45度。少し熱めなので水を入れて調整をする。私が入ったときには先客がおり、銭湯には入れないタイプの人だった。
    「何をしてここに来たの?」「え…まあちょっと 」
    着替えをする横にはプラスチックのシートが立て掛けられ、その先が風呂場だ。かけ湯をしかけたら座ってからするようにと見張りの看守に言われ、しゃがんでかけ湯を行った。熱い熱い熱い!
    ふー、やはりいきなりは熱い。シャンプーらしき容器が置かれていたのだ髪を洗おう。非常に泡立ちの良いシャンプーだ。キュキュッと鳴らないので石鹸ではない。
    タオルで身体を洗うのは何年ぶりだろうか。普段はスポンジの入った物?にボディーソープを付けて洗っている。1回押すだけで充分泡立つので、何度も押している方はお試しあれ。
    タオルではらちが明かない。タモリ式を思い出し、手を使って洗うことにした。やっぱり手ではらちが明かない。タオルでry
    股間のスポンジをホームベースにして洗ってると言う話を耳にするが、残念ここは針ネズミだ。
    我が家は追い焚きが壊れており、長いこと湯船に浸かっていなかったのでじっくりと浸かることにしよう。直ぐに出よう。
    突き抜けになっていて見張りが居ては落ち着く暇もない。私が最後なので風呂掃除を言い渡された。風呂の線を抜き、お湯が抜けるのを待ちながら洗面具を片付け、湯が抜ける途中からゴシゴシと洗い出す。
    シャワーが付いておらず、蛇口に中途半端なホースが刺さっているだけ。お湯の勢いが出るはずもなく、早めに掃除を開始し、残り湯でゆすぐ必要がある。

    すっかり湯冷えしてしまったが、留置所は冷暖房完備なのでそこまで寒くはない。ドライヤーが無いので髪がベタベタのままだ。小学校でプールから上がってきた女の子達もこんな感じで授業を受けている。そう思うとこのままでも良い気がしてくる。
    そう言えば洗濯は向こうでやると言ってたな。着替えた衣類は置いておくか。
    窓ガラスはワイヤーが入っており、手前にはポールが何本も付けられている。そこたタオル掛け、部屋へと戻った。

    「風呂場にあった着替え、これ2番のだろ?ロッカーに戻しておくからな。
    ウスッ。

    やることもなく暇だから本でも読むか。選んだ3冊の中で最も薄い坊っちゃんにしよう。
    ぱっと見の印象は暴れん坊力士松太郎が更正して真面目になった感じである。
    現代文に訳されてるとは言え、原作を遵守し一部の言葉遣いは原文ママ残してある。挿絵が無い所か隙間を探す方が大変なくらい文字で埋め尽くされている。
    文学少女がアニメとして映画化されたとき、数多くの人々が文学小説の難しさに座説したと耳にしたが、まさにその通りだ。少し読んでは休憩して、また読んでは休憩の繰り返し。言葉遣いもそうだが普段使わない言葉が多く使用され、読むのに一苦労。読めるんだけど時間がかかる。英文を読むとこんな感じになるのだろうか。

    看守が部屋の前で立ち止まった。何事かと思ったら検察庁に移動するとのこと。
    そうか、ついにここともおさらばになるのか。せっかくの1人部屋だったのに残念でならない。
    本とコップを渡されたトレイに入れて、再び渡たすと暫く待機するように告げられた。

    移動が始まる。手錠を付け二重ロックもされ、繋がれた紐を腰にぐるぐる巻きして連結される。
    面会室に連れられると他の拘置者が待機していた。ここで待機するように言われ、辺りを見渡してみる。



    こんな感じだ。警察官に呼ばれ、容疑者達を移送することでお馴染みの車に乗せられる。




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