『デス・レース2000年 HDニューマスター/轢殺エディション』(1975)
みんな大好き最低映画界の最高傑作『デス・レース2000年』が「轢殺エディション」で再発です! 退廃した未来社会で大人気の大衆娯楽は「たくさん人を轢き殺した車にボーナス得点(老人子供ならさらに高配点)」という最低すぎる大陸横断カーレース。最高にイカした殺人仕様改造車が一般市民をガンガン下敷きにしつつ悲壮感ゼロのハイテンションで駆け抜けます。レーサーの面々は怪人フランケンシュタイン(ダースベイダー風)、マシンガン・ジョー(無名時代のシルヴェスター・スタローン)などこれまた馬鹿キャラ揃い。ストーリー、美術、キャラ、その全てが奇抜で安っぽくてアホかっこいいB級カルト不朽の名作! DVD特典も盛りまくりで必見ですよ。
『コーマン帝国』(2011)
そしてこの大傑作『デス・レース2000年』を作った「B級映画の帝王」ロジャー・コーマンをめぐるドキュメンタリーがこちらの作品。低予算&短期間撮影で監督作は50作、製作は400作以上。その大半が下世話で低俗なB級映画で、撮影中の鬼のようなドケチ伝説は数知れない無敵の銭ゲバ男、コーマン。過酷な撮影には低賃金で学生や若手スタッフをコキ使っていた漆黒のブラック企業・コーマン帝国ですが、なぜかコーマンにしごかれた若者はその後ハリウッドで大成し(マーティン・スコセッシ、フランシス・フォード・コッポラ、ジェームズ・キャメロン、デニス・ホッパー、ジャック・ニコルソン、ロバート・デニーロetc.)、いつしか彼の撮影隊は”コーマン・スクール”と呼ばれるまでに……。パワフルなインディ魂と映画愛にあふれた変なおじさんコーマンの一代記は、「濃ゆい」の一言です。
『浮浪雲 BOX』(1978)
コーマンといえば銭ゲバ、銭ゲバといえばジョージ秋山ですが、そのジョージ秋山の漫画が原作の名作ドラマといえばこちら『浮浪雲』。大コケしたビートたけし版(1990年~)もありますが、今回ボックス版が発売されるのは傑作の誉れ高い渡哲也版(1978年~)。脚本は『北の国から』の倉本聰で、妻役は若き日の桃井かおり。制作が石原プロであるせいか、佐藤蛾次郎や志賀勝など”その筋の人”や、谷啓、笠智衆などの渋い脇役、さらに最終回にはゲストで石原裕次郎も出演します。毎回流れる「このドラマはフィクションであり、時代考証その他かなり大巾にでたらめです」という居直りテロップの通り、時代劇の常識を破るアナーキーな演出が魅力。観た後しばらく一人称は「あちき」、語尾は「でんす。」という喋り方こそが最高にクールだという錯覚にとらわれるでんす。
それでは皆さま、いえなかシネマで良い週末を!