平成22年度からスタートし、美術家の川俣正氏の「スカイツリーの建設によって隅田川河岸に新たな景観が作り出されている」という考察を元に展開されています。
川俣氏のライフワークともいえる「ワーク・イン・プログレス」は、公的組織や地方自治体に空間的なインスタレーションを制作し、完成までのプロセスを作品とみなす手法。東京インプログレスもこの手法を基本としています。
変わりゆく都市景観の観測拠点として、隅田川エリアに完成させた物見台「汐入タワー」「佃テラス」「豊洲ドーム」。3棟そろっての公開は来週月曜日、2013年11月4日までになります。
豊富な木材が使用されている点もこのプロジェクトの特徴です。
「汐入タワー」(2010年)
隅田川河岸に佇む「汐入タワー」。ゆるやかに流れる隅田川を眺めながら、刻々と変化する東京の街並みを概観できます。
「佃テラス」(2011年)
木々の間をすり抜け、迂回するような形で建てられた「佃テラス」。展望台からは日常と少しだけ違う視点で、隅田川の水面とその先にそびえ立つスカイツリーの景観を楽しめます。
「豊洲ドーム」(2012年)
ユニークな3つの中でも特に注目すべきは、廃材などを集めて建設された物見台「豊洲ドーム」。外観が木のキャンプファイヤーのように見える物見台です。
約20トンの東京の木造家屋廃材を集めて建設されています。
晴れた日には、重なりあった廃材の隙間から光が差し込み、風が通り抜けます。外を覗けば、たゆたう隅田川河口の水景と、対岸の高層ビル群が並ぶ東京の街並みを眺望できるという貴重な空間です。
7年後には東京オリンピックをひかえています。東京が歩む、過去、現在、未来…。
ぜひこの機会に「東京」を再考してみてはいかがでしょうか。
[東京インプログレス]
Photo : Masahiro Hasunuma