#2『 神童 』~松陰・吉田寅次郎の一生~
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#2『 神童 』~松陰・吉田寅次郎の一生~

2016-05-30 00:40










    寅次郎(あ~ん・・・)


    文之進「いつまでメシを食っとるかぁ!!」





    寅次郎「いてっ!」










    文之進「だらだらと過ごすな
    朝はもっとも貴重な時間ぞぉ!」


    寅次郎「すみません・・・」




    文之進「ところで、おまえ・・・
    教授見習になってどれくらいだ?」


    寅次郎「はい。2年になります」


    文之進「もう2年か・・・
    ならば ”見習”という甘えを
    捨てよ!
    朝は皆より
    早うにあがって
    講義の準備でもせい!」


    寅次郎「はい」


    文之進「おまえはただの幼童ではないぞ。
    ゆくゆくは
    毛利家三十六万石の山鹿流兵学師範である!

    おまえが
    一日勉学を怠れば
    国家の武は
    一日遅れることをこころしておけ!」


    寅次郎「はい」






    文之進「ったく・・・
    いつまでもあどけない顔をしおって
    先が思いやられるわい」


    お滝「ちょっと叔父さま!
    その格好で
    外へ行かれるのですか?」


    文之進「へっ?」






    文之進「うわぁぁああっ!!」








    ******


    おつう「今日の叔父さま・・・
    やけに
    そわそわしておられましたね」


    お滝「そりゃあ
    お殿様の御前で講義をする
    誉(ほま)れ高き日なのですから・・・
    舞い上がるのも
    無理ないでしょう」




    寅次郎「母上。おつうさん。
    行ってまいります」


    お滝「寅じ!
    気をつけていきんさいよ~」










    ******



    村の子供「わーい わーい!」





    村の子供「ん??」








    村の子供「へへへへ・・・」







    村の子供「ぎゃはははは!!!!」










    ******



    寅次郎が明倫館につくと・・・





    なかでは
    慌ただしく
    館内を動き回る塾生たちの姿があった・・・







    寅次郎「・・・・・」


    塾生「あっ 寅次郎殿!」





    塾生「どエラいことになりましたよ~!!
    朝から
    わたくしどもは
    てんてこ舞いです!」









    一方そのころ お城では・・・



    文之進「えっ!
    それは
    どういうことでしょう??」




    門番「だから
    さっきから言っておろう!
    殿は
    朝から外出されておるのだ!」


    文之進「そんなはずは・・・
    わたくし
    玉木文之進、
    お殿様の命(めい)により
    お城へ参ったのでございますぞ?

    なぜに
    ご不在なのでしょう?」


    門番「日を
    間違えたのではないか?」


    文之進「いいえ
    そんなはずはありません
    まちがいなく
    お約束は本日です」


    門番「では
    場所が違うのであろう?」


    文之進「・・・・・・あっ!」






    門番「おい おぬし!
    どこへ行く!!」


    文之進「どうも
    お手間を取らせました~!!
    わたくし
    急ぎますので
    これにて失敬しま~す」


    門番「おい!待てっ
    待てと言っておろうが!!」




    文之進(はぁ・・・ はぁ・・・
    いかんっ!
    これは不味いことになった!

    まちがっておったのは
    このわしかもしれん!!

    もしも
    場所が明倫館で・・・

    万が一にも
    殿をお待たせするような
    事態になったら・・・

    わしの首のみならず
    お家の
    取り潰しじゃ!!

    急がねば!
    一刻も早く 急がねばなるまい!)








    町娘 A「それでね・・・
    そのお店に
    素敵なかんざしがあったのよ」


    町娘 B「ほんとに~??」


    町娘 A「今度一緒にまいりましょう」





    文之進「どいた どいたっ
    そこをどいとくれぃ~!!」


    町娘「きゃぁあああーーーー!!」





    文之進(あっ!!!
    あれは!!)




    文之進「殿の籠(カゴ)っ!!!
    やはり
    嫌な予感は
    的中してしもうたぁああああ!!!!」






    文之進「殿・・・ との・・・ 
    殿ぉぉぉおおお・・・・」






    文之進「殿はどの部屋にいるんじゃ!! 
    ・・・んっ??」









    文之進(おいおいおい・・・
    これはいったい
    どういうことだ???)





    文之進( なぜに
    おぬしが
    そんな場所(講壇)におるんだ!?)






    寅次郎「・・・これにて
    本日の講義 ”武教全書”のうちの
    ”戦法篇”を終了いたします・・・」


    文之進(はぁ? 
    なにをいっておるんじゃ??

    おまえ、
    誰に向けて
    講義しておるのだ??)





    バサンっ!!!









    パタパタパタパタ・・・・



    文之進( へっ??

    ・・・
    ・・・・・
    ・・・
    ・・・・・・・・!!!!)




    文之進「ひぃいいいいぃ!!!」





    文之進「殿!
    そこにいるのは
    殿では
    ござらんかっ!!!!」


    家臣 A「貴様ぁ!!
    殿に向かって なんと
    無礼な言葉遣い!!

    この場で
    ただちに
    切り捨ててくれる!!」



    殿「まぁ よい!
    そちはすこし黙っておれ・・・」


    家臣「ははぁ~」





    殿「寅次郎と申したな?」


    寅次郎「はっ」


    殿「まだ若年でありながら
    みごとな講義であった。

    そなたの知識・教養が
    わが藩の未来を照らす
    一筋の
    光となるだろう」


    寅次郎「わたくしのようなものには
    勿体なきお言葉でございます」


    殿「うむ・・・

    では
    そちに何か
    褒美を取らせよう
    なにが望みじゃ? なんでも申してみよ」


    寅次郎「勿体なきお言葉、どうか
    お気遣いなく・・・」


    殿「いらぬと申すか・・・

    では最後に
    おぬしの
    師の名前を
    聞かせてはくれぬか?」



    寅次郎「はっ!

    そちらにおわします・・・




    "玉木文之進"、その人こそが
    わが師でございます。

    与太郎だった
    このわたくしめに
    膨大な知識、教養を授け
    ここまで導いてくださった
    わが藩きっての経学者であります」









    ******


    おつう「こりゃ
    なにかの冗談?
    ろくに
    仕事にありつけなかった
    あの叔父さまが

    ここにきて
    出世するとはね~」


    お滝「それも
    ”八組証人役”っていう
    立派な官職につけるなんて・・・

    これで
    わたしたちの生活も
    少しは楽になるわ~」


    おつう「 ”わしは
    畑さえあれば あとはなんもいらん!”
    なんて
    言ってたのは
    どこのどなたさんだったでしょうね?」




    文之進「おい おい おいおいおい!!」





    文之進「なにを
    ふたりだけで盛り上がっとる!
    みんな
    腹を空かせてまっておるのだぞ!

    さっさと準備して
    こっちに来い」


    お滝「はいはい(笑)
    いま行きますよ」








    文之進「よし!
    全員揃ったところで 

    さぁ
    合掌して・・・・・ 
    ・・・・・・



    せいのっ!






    文之進「 いっただきまーーす!!」










    文之進「うぅ~い・・・ よしよし
    かわいいのぉ 

    もっと
    そばに来んかい!




    文之進「わしの
    可愛い かわいい 寅じろう~

    わしは おぬしのことが
    大っ好きじゃぞい! うぃ~い
    うぃ~い♡」


    <#3へつづく>
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