#18『 痴漢が減らない2つの理由(前篇)』~フェロイーズ・ナンセンス牧師のどっちらけ劇場~
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#18『 痴漢が減らない2つの理由(前篇)』~フェロイーズ・ナンセンス牧師のどっちらけ劇場~

2016-06-22 12:22




    休みの日は
    京阪電車で
    河原町へむかい


    大型書店へ
    立ち寄って
    のんびり
    小一時間をすごす






    わたしの
    おすすめする本は
    ”観光ガイドブック”


    せっかく
    関西にいるのだ
    神社仏閣の多い
    京都をめぐるのがよいだろう







    本を物色し終えたら
    薄暗い地下道をぬけて
    行きつけのカフェへ・・・



    ”日本に来てよかったこと”
    それは
    コーヒーが
    美味しかったことだ!






    ナンセンス「うーん・・・
    きょうもいい香り」









    ナンセンス「やあ ごきげんよう
    わたくしの名は
    ”フェロイーズ・ナンセンス”

    今日は
    私の休日の過ごし方を
    ご紹介いたします」





    先程のガイドブックに載っていた
    ”嵐山”という
    スポットが気になった

    ここから
    そう離れていないらしい
    せっかく時間もある
    ならば行くしかない!!

    そう思い立って わたしは
    もう一度
    地下道へもぐり
    最寄りの駅へむかった・・・

    ”今日はいい週末になりそうだ”

    そんな予感を抱きながら
    小気味よく歩いていると

    前方の
    遠くのほうから
    とてつもなく大きな声が聞こえてきた・・・



    ????「だれかー!!
    駅員さん 呼んでー!!」


    男性の声だ







    なんだ なんだ?と不審におもっていると

    また声がする・・・


    男の声「おい!だれか!
    駅員さんを、早く!!」


    何かが起きている・・・
    だけど 一体 なにが??


    全貌の見えないその疑問に
    答えるかのように

    私の目のまえに
    1人の男が
    姿をあらわす・・・

    私は立ち止まって
    その男をじっと凝視した・・・






    小太りの男が
    必死の形相で
    私のほうへと駆けだしてくる

    さっきの叫び声は
    間違いなくこの男を止めろと言っている

    どういうわけがあるかは
    知らない・・・

    だけど
    改札を無視し
    柵を飛び越え
    後ろを気にしながら
    追われるように
    やってくるこの男は
    あきらかに
    不審者だ!





    わたしは
    ポケットに手を突っ込み
    てのひら
    いっぱいに”浄土”を握りしめた・・・

    高鳴るむねの鼓動を
    感じながら
    男とすれ違うほんの一瞬に
    全神経を
    集中させる・・・

    けっして的(男)を
    外してはならない!

    ワンショット(一発)で
    仕留めなければ!!



    不審者の男「はぁ はぁ はぁ はぁ・・・」


    ナンセンス「・・・・・・・・くらえっ」







    ナンセンス「あやてぃいいいいーーーん!!」

    不審者の男「ぐわぁあああああーーーっ!!」



    浄土はみごと
    男に命中・・・


    ところが
    年甲斐もなく
    大きなジャンプをしたのが災いしたのか
    私は着地に失敗し
    足を挫(くじ)いてしまった!



    ナンセンス「いたたたたっ」

    不審者の男「目が目がぁあああ!!」





    わたしは立っていられなくて
    痛めたほうの足を抱えながら
    仰向けになって悶(もだ)えた・・・

    ”手ごたえは十分にあった
    しばらくは
    奴のほうも
    起きあがってこれないだろう”

    なんて思いながら
    男のほうを振り向いてみると なんと!!




    もう
    立ち上がろうと
    しているではないか!!

    なんという執念!
    なんという生命力!

    よほど
    捕まりたくないのだろう
    さっきより
    目をギラつかせて
    走りだそうとしている!!



    こりゃいかん!
    こんな野獣を
    街に放(はな)ってなるものか!

    心の中でその危機感が
    募(つの)ったその瞬間・・・


    幸運なことに
    助け船はやってきた!!






    1人のおとこが
    奴の前に立ち塞がり
    ”通せんぼ”してくれているのだ!

    想いは通じた!
    日頃のお祈りが報われた!

    わたしは
    突然あらわれた
    救世主にこう懇願する・・・

    ナンセンス「そいつを捕まえてくれ!
    絶対に逃がさないでくれ!!」と・・・


    なのに
    その男のとった行動とは!!







    ひょいと避けて
    あっさり
    奴に道を空けてしまったのだ!!

    いったい
    どういうつもりだ!?

    捕まえてくれと
    頼んだではないか!?

    わたしは呆然となった




    ナンセンス「おい! まて! とまれー」

    と叫んでも
    不審者が
    止まってくれるわけもなく・・・

    はしり去っていく不審者の背中と
    救世主だと信じていた男の背中が
    わたしから
    どんどん遠ざかっていき・・・


    やがて
    2人とも見えなくなった・・・





    ナンセンス「痛いっ!!」



    また
    痛みがぶり返してきた

    いや 正確には
    痛みはずっとあったはずで・・・

    感情の発露のなかで
    痛みを忘れていただけ
    だったのかもしれない・・・


    それにしても
    不思議なのは
    この国の国民性・・・

    どうしてだろう?

    うずくまって
    苦しんでいるこのわたしに・・・




    だれひとり
    手を差し伸べようとしないのだ・・・

    みな
    わたしと目を合わさずに
    通り過ぎる・・・

    まるで
    道端のゴミ屑(くず)を
    避けていくかのように・・・

    これが
    日本人か・・・

    穏やかなふりして
    なんて
    冷酷な人種なのだろう!


    そう思って
    絶望しかけたけれど・・・

    案外
    そうでもないようだ・・・

    空気のように
    無視され続けるこんなわたしへ

    とても好意的であたたかい
    小さな眼差(まなざ)しを感じとることが
    できたのだ・・・





    その視線を受けて
    わたしは
    すぐさま立ちあがる

    『わたしのとった行動に
    恥ずべきことなど
    何ひとつないではないか!』
    と自分に言い聞かせ、
    こころを鼓舞しながら、
    わたしはふたたび
    歩きだした

    <後篇へつづく>
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